10年以上前に、フラマスターのジョージ・ナオペ氏より「マカナオカラニ(天からの贈り物)」というハワイアン・ネームを頂いてから、正に天からの贈り物のように、次々と奇跡的な出会いや出来事に導かれ、これまでハワイ文化を学んでくることができました。今では私の人生の一部となっているハワイ語の世界と、ハワイアン・カルチャーの素晴らしさを、皆さんにシェアしていきたいと思います。第一回はこちら。
かずこセリッグの「ハワイ語の世界」 第3回 ハワイ語で「マナ」とは? その1
●ハワイアンによる、「マナ」の本当の意味とは?
`Ano`ai ! (アノア?イ!) 今回は、最近日本のハワイの情報誌でも、よく見かける言葉、「マナ」についてお話したいと思います。最近のトレンドによると、マナが強い場所に行くと、自分もマナがもらえてしまうとか… 確かにハワイの山や海はとても気持ちが良くて、私たちを元気にしてくれますよね。でも、それは本来ハワイでいうところの「マナ」とは、また別物のような気がします。 ハワイ語で「マナ」とは、一体どんな意味があるのでしょうか?日本語には、「超自然的な力」、「神聖な力」、「権威」などと訳すことができますが、その力の根源は、神にあるとされています。マナを持っているのは、人間や生き物だけとは限りません。例えば、石、骨、服など、色々な物質がマナを持つことができます。 |
人間が持つマナは、先祖などから受け継いだり、努力や、善行や、「イミハク」と呼ばれる行為などによって大きくなったり、他の者に奪われたり、悪行によって失われたりもします。ハワイアンの間では、身分が高い人は、すなわちマナが大きい人で、自分のマナに見合うような正しい行いをするべき、とされていました。さもないと、マナは失われてしまうと考えられていたので、身分の高い人ほど、マナを追求し続ける事が必要だったのです。マナが大きい人は、神に近い存在とされ、特権も大きい代わりに、多くの責任や制約もありました。古代ハワイでは、一般人にとって、マナは畏怖すべきものでした。一般人がマナの大きい王の影を踏むと、死刑などの厳罰に処せられましたが、その理由は、マナを犯したからだと考えられます。 |
●カメハメハ大王のマナ カメハメハ大王は、王朝を継承する自分の子たちが、自分よりも更に大きなマナを持って生まれてくるように、自分よりも高いマナをもつ、ケオープオーラニを妻にしました(このように、マナを獲得するためにする行為を、イミハクといいます)。ここで重要なのは、妻となったケオープオーラニがカメハメハの姪だったことです。血縁関係が近い者同士が結婚するのは、マナが大きい子孫を儲けるためで、身分が高い人の間だけで行われた、古代ハワイの習慣でした。カメハメハとケオープオーラニの関係は、ニーアウピオと言って、数々に階級分けされた近親結婚の中でも、最高の組み合わせとされ、生まれた子のマナは膨大で、神聖なものでした。(この近親結婚の習慣は、空神ワーケアが自分の娘、ホオホークーカラニと結び、タロや人間が誕生したという神話がモチーフになっていています)カメハメハのマナの追求は、それだけではありませんでした。身分の高い王女とそのカフナだけが、入ることを許された出産場所、クーカニロコで、妻に出産させ、子のマナを更に増大させようとしました。しかし、クーカニロコに向かう途中ケオープオラニの陣痛がおさまってしまい、この計画は、実現しませんでした。こうして生まれてきた王子達は、父であるカメハメハよりもマナが大きいとされていました。ですから、大王のカメハメハでも妻や子のマナを犯さないよう、しきたりを守らなければなりませんでした。(つづく) ※かずこさんは昨年11月にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りいたします。 |
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