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第06回 ワヒアワのバースストーン

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2007年12月06日

第6回 ワヒアワのバースストーン

●王族女性が出産した霊力のこもる岩


バースストーンの上にはペトログリフ(絵文字)も

今回ご紹介する伝説の地は、オアフ島ワヒアワ郊外にある「クカニロコ」。通称「ワヒアワのバース・ストーン」とも呼ばれ、古代、ハワイの王族女性がその上で出産したという岩を中心とした、世にも聖なる史跡です。ホノルルからは、H-2フリーウェイを経て約40分。ワヒアワ郊外に広がる一面のパイナップル畑の真ん中に、「クカニロコ」の史跡があります。赤土の道路の先にユーカリとヤシの木の林があり、木々の間に横たわる赤土にまみれた大小の岩々が、実は大変神聖な岩々なのです。その歴史は11世紀にまで遡り、うち1つが、18世紀までの約700年間、「その上で多くの王族女性が出産した」と言われる「バース・ストーン」です。あまりにも神聖な場所なので、昔は何重にも境界線が設けられ、もちろん王族以外は立ち入り禁止。もし、庶民が足を踏み入れたら最後、処刑されたという、きわめて特殊なエリアだったのです。


史跡入口には、ハワイ州がクカニロコの説明書きも設置

伝説によれば、その岩には産みの苦しみをやわらげる不思議なマナ(霊力)があるとのこと。しかも、その岩の上で生まれた子供は神によって承認され、聖地に漂うマナを授かり、より高貴な存在になると信じられていました。そんな理由から、王族女性はここで出産するため、オアフ島外の遠地からもはるばる旅してきたのだそうです。ちなみに、クカニロコはオアフ島の臍(へそ)の部分、つまり中心にあたるのだそうで、古来「王族を地に結びつける場所」と理解されてきました。「クカニロコ」という地名は、ハワイ語で「内部からの叫びを収める」との意味。また、神が王族の誕生を見届けると雷が鳴り、風が吹き荒れたという言い伝えから、一帯はハワイ語で「音のする土地」を意味するワヒアワと名づけられたと言われています。

●36人の王族男性が出産に立会い


道の左右に並んだ、36人の王族を意味する36の岩(これは複製)

伝説によれば、クカニロコでの出産シーンは次のような感じだったそうです。高貴なる女性が産気づくと、マットに乗せられてバース・ストーンのもとに運びこまれます(出産を前にした王族女性はあまりに高貴で、この地で土に足をつくことを許されませんでした)。バース・ストーンの上にはタパ布(木の皮から作られた布地)が敷かれ、女性は岩に座ってカフナ(神官。医術専門のカフナ、祈祷専門のカフナなど、古代ハワイには様々なカフナがいました)のサポートのもと出産。古代には出生を証明する書類などなかったので、出産のたびに36人の王族男性が集められ、証人として立ち会ったそうです。生まれたベビーはタパ布に包まれて母親と共に近くの寺院に運びこまれ、そこで今度は竹で臍の緒を切る儀式。ここでもまた別の48人の王族が証人として儀式を見届け、やっと王族の誕生が正式に認定されることに。その瞬間、タヒチから渡ってきたという二つの大太鼓が打ち鳴らされ、数マイルにも渡って鳴り響いたそうです。こうして王族誕生のニュースが、近隣の住民にもたらされたのでした。


古代の出産シーンを絵入りで説明したプレート

前述のように、バース・ストーンには産みの苦しみをやわらげる霊力があるとされていた訳ですが、古代の「無痛分娩」の影にはもう一つ、こんな秘密が… この地での出産を前に王族女性は、カフナの指示に従って特別ダイエットに励んだり、直前に薬草を飲んだりもして、出産に臨んだそうです(古代ハワイでは薬草の研究が盛んで、今も書店には「ハワイの薬草」といった類いの本が10冊以上並ぶほどです)。つまりクカニロコでの「無痛分娩」は、岩の霊力と神のサポート、そしてダイエットや薬草療法のコンビネーションにより成されたもの、と言えそう。こんなことを考えていると、科学とミステリーがゴチャマゼになった摩訶不思議な古代の出産シーンが、目の前に浮かぶような気がしませんか?

●地元の人がお祈りに訪れる聖なる土地


一見何でもない大小の岩が、実は霊力のこもる聖なる岩

私ごとになりますが、実は私の夫はワヒアワ出身のハワイアン。一族のほとんどがワヒアワ周辺に住んでおります。クカニロコについてリサーチを進めていた先月のこと。夫の伯母からクリスマスプレゼントにいただいたのが「クカニロコTシャツ」で、そのタイミングの良さにビックリしてしまいました。クカニロコは国、またハワイ州の史跡としても認定されていますが、史跡の管理はワヒアワ・ハワイアン市民クラブという団体が担当。同市民クラブでは白地にグリーンで史跡を描いた記念Tシャツを販売しており、人気を集めているそうです。


数々の王族女性がその上に座り出産したバース・ストーン

Tシャツをくれた伯母も同市民クラブのメンバーで、しかもクカニロコの信奉者とか。ワイアナエ山脈の裾野から広がるパイナップル畑に囲まれたそのエリアは神聖なだけでなく、「とても平和で心休まる場所だ」と、伯母は言います。「クカニロコはオアフ島の中心にあたるところ。そこに立つだけで気持ちが落ち着くので、子供達が小さい時からしょっちゅう連れて行き、一緒にお祈りをしたの。今でも困ったことがあると、私はクカニロコにお祈りに行く」と話してくれました。


誰かが岩にお供えしていったオーキッドのレイ

やはりそれと同じようなことを、同市民クラブの他のメンバーからも聞く機会がありました。その方(ここではK氏と呼ぶことにします)はクカニロコから徒歩数分のところに住んでいるので、いつもの調子で思わず聞いてしまいました。「何かこの史跡で不思議な経験をしたことはありますか? 何かを見たり、感じたり。たとえば夜中に大太鼓の音が聞こえたとか、そんな経験は?」。K氏は、親切にも私のリクエストに応え、K氏の伯母がクカニロコを訪れた時の話をしてくれました。「椅子に腰かけて休んでいた伯母がある瞬間ハッとして右手を見ると、小さなハワイアンの男の子が横に立っており、右手を握っていたとか。そして、伯母に笑いかけると同時に消えてしまった」という、可愛らしくも不思議な話でした。


撮影中にも、次々と観光客が見学にやって来ました

ですが、この話をしてくれた後、K氏はしみじみ言いました。「でも、クカニロコを怪談めいた話の舞台として考えてはダメだよ。ここは先祖の霊力が漂う、大変神聖な場所なんだ。地元の人はここにお参りに行き、エネルギーを吸収し元気になって帰っていく。そういう場所なのだから、恐怖の場として捉えたら、この史跡の重要性を全く分かっていないことになる」。それを聞いて、私は恥ずかしくなりました。というのも、正直なところ私自身、クカニロコをどこかオドロオドロしい場所と考えていたのですから。今回、撮影のためにこの地を訪れた時も、同伴した子供達(6歳と4歳のいたずら盛り)に「どの岩にも触っちゃダメ!」「絶対、足なんかかけちゃダメ!」と怒鳴り続け、すっかり疲れてしまった私。「子供が何か無礼を働いて、罰でも当たったら」と、気が気でなかったためです。


カメハメハ・ハイウェイから史跡へと続く赤土の道路

そんなことを話すと、K氏は言いました。「次にクカニロコに行く時には、心の中でまず自己紹介し、子供達も紹介し、なぜそこを訪れたのかを説明したらいい。そうすれば土地の霊力が保護してくれ、子供達もいい経験とエネルギーを持ち帰ることができる。そして帰る時にも聖地にお礼を言って帰ること」。クカニロコを、ポジティブな聖地として捉えてほしい、と再三強調していたK氏。その言葉通り、この次はお寺でも詣でる感覚で、ビクビクするのではなくリラックスして、クカニロコを訪れたいと思います。皆さんも、ノースショアを訪れる時やオアフ島一周ドライブの折りなど、ぜひ、この地を(敬意を持って)訪れてみて下さいね。

クカニロコ
ワイキキからH-1経由でH-2に入り、7番出口下車。カメハメハ・ハイウェイでワヒアワの町を過ぎ、橋を過ぎて次の信号を左へ曲がるとすぐ。バスならアラモアナ・センターから52番バスで。

(森出じゅん)

この記事が属するカテゴリー: カルチャー, モオレロ
関連キーワード: ノースショア, ワヒアワ,


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1 response to 第06回 ワヒアワのバースストーン

  1. とても興味深く読ませていただきました。
    私はカイルアに住んでおり、バースストーンに行ったのは今回が二度目でした。
    この地をとても詳しく知りたいと思っていたので参考になりました。
    静かで神聖なこの場所が現在のまま保たれる事を願ってやみません。
    2年振りに訪れた今回は、入り口の案内版がへこんでいました。2年前にも既に出産の三枚の案内もなく残念に思いました。
    私はこの地に訪れるたびに、800年前に思いを馳せて敬意を持って入らせていただいています。
    素晴らしい地にお住まいで、また御家族の皆様が守ってくださっていることも素晴らしいです。
    機会があれば詳しいお話をお伺いしたいです。

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