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第9回 ビショップ博物館
●ポリネシアの遺物200万点を保管
博物館は幾つかの建物に分かれていますが、メインとなるのがポリネシアンホールとハワイアンホールです。100年以上も前に造られたこの建物の外壁は、溶岩で仕上げられているのだそうです。また、照明を落とした内部には、稀少な工芸品に混じって神像(一般にティキとして知られていますが、ハワイ語ではキイと呼ばれます)も展示され、一見して重厚&神秘的な雰囲気に溢れています。ハワイアンホールの展示物の中でも見逃せないのが、カメハメハ大王が所有していたという戦いの神、クー・カイリモク(Kukailimoku)像。この像は赤と黄色の小鳥の羽で作られていますが、目の部分には真珠貝が使われ、口元には94本の犬の牙がはめられています。かのカメハメハが崇拝していたという事実に加え、その何とも恐ろしげな様子が大変印象的で、思わず目を惹かれてしまうほどの神像です。
実はミステリアスな展示物以外にも、ハワイアンホールについては不思議な話が囁かれています。たとえば... ホールは吹き抜けの3階建て。天井からは巨大なマッコウクジラの標本が吊り下がっていますが、その周辺、天井の少し下の四方の壁にはグルリと計18体の小さな木彫りの神像が飾られています。カライパホア(Kalaipahoa)と呼ばれる神像で、これらは展示物というより、ハワイアンホールの守護神なのだそうです。このカライパホアについては、こんな話があります。数年前、ホール中央にあるステージでパフォーマンスを行った、あるミュージシャンの体験談です。ある日、彼がステージで演奏中、ふとカライパホアを見上げたところ、像が「右から左に向きを変えた」というのです。木彫りの像がユラユラ揺れるような風が天井近くに吹き込むこともありえず、そもそもカライパホアは壁にしっかりと固定されています。それを見て、彼は「すっかり動転してしまった」ということでした。
もう一人、最近話を伺ったガードマンも、こんな話を打ち明けてくれました。「夜、館内の見回りをしていると、フッと何かの存在を感じる時がある。誰かの冷たい手に触られているような気がしたりね」とガードマン氏。それは、ハワイアンホールや、先史時代の人骨を保管するビショップホールの見回りをしている時に、よく起こるのだそうです。「背後で足音がするけど、振り返ってみると誰もいない」ということもあったとか。「怖くはないですか」と聞くと、「怖いなんてことは全くないよ。誰かに触られたような気がした時は、「私はただ、ここの管理をしている者です」と、つぶやくことにしているんだ。そうするとすぐ、気配が消えてしまうからね」とガードマン氏。 ガードマン氏は、さらにこんなことも言っていました。「とにかくココは、神聖な場所なんだよ。ホールの中だけじゃない。庭にだって、いろいろ古いものがあるんだ」。そう言って彼は庭を案内してくれ、マナ(霊力)のこもるという魚の形をした岩や、ハワイ島のヘイアウ(神殿)前に置かれていたという鮫の神の石像、伝説の小人族メネフネが先史時代に造ったという用水路メネフネ・ディッチ(カウアイ島)の一部である四角い岩など、たくさんの不可思議な岩を見せてくれました。これらの岩の一部には名札と簡単な説明書きがつけられていますが、そうでない岩も「ただの岩ではない」というのが、ガードマン氏の説明でした。 数年前から年間パスを購入しているので、ビショップ博物館をしょっちゅう訪れている私ですが、こうして庭のあちこちにミステリアスな遺物が置かれていることは、これまで全く知りませんでした。今回、それらを一つひとつ確認し、「博物館の敷地内は、古い、聖なる遺物で溢れている」というガードマン氏の言葉を実感しながら、ますます博物館の奥深さに圧倒された思いがしています。 そんな訳で、皆さんもビショップ博物館を訪れた時には、ホール内はもとより庭の方も、ゆっくり散策していただきたいと思います。各展示物の素晴らしさはもちろん、敷地全体に漂う神秘性やマナ(霊気、霊力)にも思いを馳せてくださいね。 ◎ビショップ博物館場所:1525 Bernice St. Honolulu,HI 96817(ワイキキからは2番バスで約30分) 電話:847−3511 営業時間:9:00-17:00(無休) 入場料:$14.95(4才〜12才、65才以上は$11.95。4才未満は無料) ホームページ:www.bishopmuseum.jp ■アクティビティ情報 / ビショップ・ミュージアム (森出じゅん) |