• ハワイ出産物語

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    第12回 小児科医選び


    ●インタビューで選ぶ主治医
    いよいよ、臨月も間近。お腹ははち切れんばかりで、この頃になると、目前の「出産」とその直後に始まる「育児」に関心が移ってきます。ここで忘れちゃいけないのが大事な「小児科医選び」なのです。というのも、日本では、赤ちゃんは保健所で行われる定期検診に連れて行き、病気になって初めて小児科の門をくぐるのですが、アメリカでは定期検診も予防接種も、すべてかかりつけの小児科医が行うシステムのため、誕生と同時に小児科の主治医が必要となるからです。誕生から14〜15歳で小児科を卒業するまでの大事な成長期を見守ってもらう、長いお付き合いになるドクターなので、慎重に信頼できるドクターを選びたいものです。

    ちなみに、わたしが受講した出産準備クラス(新生児ケア)でも、小児科医の選出については時間をとって説明があり、そこで教わった「選び方の基準」とは、主に次のようなものでした。

    加入している健康保険を受け付けているかどうか
    提携先の総合病院はどこか
    クリニックの状況(場所、診察時間、診察室の設備、診察内容、患者数など)
    ドクターのバックグラウンドと人柄(出身大学、経歴、専門分野、子供の扱い方など)
    緊急時の対応(ドクターの呼び出しや電話連絡が可能かなど)

    まあ、この5項目は常識的なガイドラインとして納得できるのですが、何よりも驚いたことは、これらの情報収集は口コミなどに頼らず、複数のドクターに「インタビュー」のアポを取って直接聞き出し、その上で主治医を一人選出しろ、と言うではありませんか?! ヒェ〜、「インタビュー」なんて考えもしなかった事態に、ただビックリ... ドクターの側も慣れたもので、インタビューのための時間枠を取ってあるのが普通だそうで、「遠慮せず、どんどんアポを取りなさい」と指導されてしまいました。それにしても、患者の権利がここまで確立しているなんて、さすがアメリカ。日本では、まだまだ「先生に診て頂く」という意識が一般的なので、なんだかインタビューなんて居丈高で気後れしそうですが、「郷に入れば郷に従え」。さっそく、アポ取りを開始することにしました。

    ●話好き? で決めた主治医
    そうは言っても、5年前の長女の出産当時は、私達夫婦の周りには子供連れの知人も少なく(なんせ、DINKS時代が長かったもので...)、いろいろ聞き回ってみてもピンとくるドクターの名前が挙がらず、「どうしたものか...」と思いあぐねてしまいました。同じ産婦人科に通っていた職場の友人が「私も困って、コササ先生に紹介してもらったわよ〜」と言っていたので、わたしもここはひとつ、付き合いの長いコササ先生に聞いてみることにしました。すると「そうだね〜、日本語もOKだし、ジローはどうかなぁ、ジロー・サエグサ」と、思いつきのような口調で紹介されたのが、現在の子供達の主治医、サエグサ先生だったのです。

    早速アポを取り、夫婦二人で「インタビュー」に向かいました。今思うと、講座で言われた通りの質問項目を大まじめにクリアしていく、決して若くはない国際結婚カップルは、先生の目にはかなり滑稽だったかも... (わたしゃ、ただ小ッ恥ずかしい! 今なら、もっと気の利いたやり方ができそうなものなのに...) でも小1時間もかけて、全部の質問に丁寧に答えて下さいました。先生も結構(かなり?)話好きのようで、そこが大いに夫の気に入るところとなり「いい先生だ。インタビュー回りも結構疲れるし、サエグサ先生に決定!」との一声で、さっさとインタビュー1軒目のサエグサ先生に決めてしまいました。

    インタビュー後は「お世話になります」と電話連絡をしただけで、お会いすることもなかったサエグサ先生。でも、出産直後からはもうべったりお世話になり続けています。これはサエグサ先生に限らず、小児科医のルーティンなのですが、病院から主治医へ出産の連絡が入ると、主治医はその日のうちに赤ちゃんを診に来て、身長・体重など全身の状態をきちんと報告してくれます。もちろん病院側が責任を持って赤ちゃんを管理しているのですが、あくまでも主治医が主導権を握り、何か治療が必要な場合などは主治医が指示を出すシステムになっているのです。そして、入院中は毎日通いで赤ちゃんの診察をし、病室にいる母親に報告をして下さいます。その間、クリニックでは通常通りの診療をされているので、当然、朝一番か診療を終えた後の夕方に病院回りをすることになるため、時々はすごーい時間にお目にかかることになるんですよ! 次女クリスの生後2日目なんて、朝5時に「おはようございま〜す」とサエグサ先生に寝こみを襲われてしまいました。その時の会話はというと...

    わたし:「ゲッ、せ、先生。えっらい早いですね〜(完全に髪の毛も逆立った寝ぼけ状態で)」
    先生:「あ〜、そのままで構いませんよ。今日はあなたが最初なんです。この後、クイーンズも回りますし、ボクは5時勤務開始なんていつもの事ですよ〜。クリニックは9時診察開始なんで、みんなボクは9時出勤と思っているみたいですけどねー、医者の生活はこんなもんです」
    わたし:「ひぇ〜... ご苦労さまです!」

    レジデント医や産婦人科医も朝一番に回診することは知っていたので、6時には起きるつもりだったのに、見事に一本取られてしまいました。

    ●いつもお世話になります
    こうして密なお付き合いが始まり、その後の定期検診は、生後2週間、1ヶ月〜6ヶ月までは毎月、6ヶ月〜1歳までは隔月、18ヶ月、24ヶ月、その後は1年ごと... とずっと続いていきます。その間、病気でも診察してもらうので、子供が小さいうちはホントにしょっちゅう通っている感じですね。それ以外にも、病院へ連れていこうかどうか判断に迷う場合などは、電話で相談させてもらっています(サエグサ先生は呼び出せば、必ず電話に出ていただけます)。

    「いつもお世話になっております!」とはまさにこの事!! つい先日も、5歳の長女ステフが、左腕の骨を2本折る(それも先端が突き出てしまった複雑骨折)というアクシデントに見舞われ、またしてもカピオラニ病院のお世話になってしまいました。夕方、エマージェンシーに駆け込んで、小児整形外科の専門医が緊急手術で骨をつないでくれたのですが、突き出た部分からの感染症予防のために2日間点滴で抗生剤を入れなければならず、入院となってしまったのです。入院中、熱が39度まで上がり、整形外科医は感染症を疑い、ギブスに穴を開けて傷口を見たり... と、大騒ぎになりかけたのですが、ここでもまた回診に来てくれたサエグサ先生に救われました。先生曰く、「全身麻酔の後は、子供は熱を出すことがよくある。高熱が長く続かず、熱が上がったり下がったりしながらも下がっていくならば、感染症の心配はないよ。今診る限りでは、傷もきれいだし、全身状態もいいようだから...」と診断してくださり、結果も言われた通りになったのでした。整形外科医は「ボクは骨のことには自信があるけど、子供の体全体のことはサエグサ先生の看立てが確かだからね」とのことで、一時は入院が延びそうな雲行きだったので助かりました。あ〜、やっぱり、サエグサ先生との濃いお付き合いはまだまだ続きそうです。ホント、先生に足を向けては寝られないわ〜。みなさん、「小児科医選び」はやっぱりハワイ出産の大事なポイントですよ!

    プロフィール(わたしと家族の紹介)

    わたし:愛称「がっちゃん」こと前田和子。ハワイ在住14年目。オペレーション・スーパーバイザーとして大手旅行社に勤務後、長女出産。「ハワイの歩き方」のエディター(育児休職中)で、現在2人の女児(4歳、5ヶ月)の育児に奮闘中。只今の生き甲斐は、子供たちが寝た後にホッとしていただくコーヒーと速読(ヤレヤレ)。
    パパ:ぎりぎり49歳で2女の父になった超遅咲きパパ。ゴルフ三昧の定年人生は望むべくもなく、愛娘のために「死ぬまで働きつづける」のが今後の課題。職業はハワイ諸島の開発予定地の発掘調査を手がける考古学者。特技は子供を放りなげ続けるプール遊び。(当然ながら子供には超好かれます。ここまで体張って遊んでくれる大人はめったにいません)。
    ステフ:長女。現在4歳半。妹を「マイベイビー」と自慢のタネにするのが得意。将来の夢はバレリーナと公言しつつレッスンに通うが、いまだにスキップができない。起き抜けに1枚、食後に1枚、寝しなに1枚と、お絵かきがやめられない元気いっぱいのプリスクール児。園ではクイン君という熱狂的なファン約1名を従えている。
    クリス:次女。2001年9月11日に生まれた強運の持ち主。特技は、夜ひとりで勝手に眠れること。最近自分の足を発見したことがうれしくてたまらない5ヶ月児。腹ばいは苦手。愛称はちいちゃん(ミドルネームがちのちゃんです)だが、近頃はちーちー→ちーにまで簡略化されている。