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ハワイ歩き方事務局
人気連載「ハワイ出産物語」

第07回 恐怖の羊水検査

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2002年04月24日

第7回 恐怖の羊水検査


●高まる不安感
さて、「結果はどうなることやら… 」と不安のままに迎えた羊水検査の日。特に「○○はダメ」などの注意事項は言い渡されなかったので、当日は自分で車を運転してボーリック先生のクリニックに向かいました。一応、帰りは大事をとって、仕事を早引きして付き添ってくれるパパに運転してもらうことにしました。また、検査の前は、羊水検査を体験した「マル高ママ仲間」のアドバイスに従って、甘いものやジュースなど血糖値が上がる食べ物はとりませんでした。何しろ、もし赤ちゃんが激しく動き回って針が刺さりでもしたら、それこそ一大事です。

予約の時間どおりに通された小さな診察室。暗室のように薄暗い造りで、にわかに緊張感が高まります。実は、ボーリック先生には超音波検査で過去にもお世話になったことがありました。だから、診察室に入るくらいで今さら緊張することはないと思うのですが、やっぱり初体験の羊水検査とあって、内心ではドキドキしてしまいます。超音波検査の時はパパも室内に付き添えたので、「今回も当然そうだろう」と思って2人一緒に入室しようとしたら、ナースに止められてしまいました。羊水検査は器具などでかなりの場所をとるので、同伴者は診察室の横にあるモニターで検査を見てくださいとのこと。ガ〜ン!! 「エ〜、そりゃないよ〜! パパには先生に質問したり、いろいろ助けてもらいたいから、わざわざ付き添ってもらってるのに〜!!」と文句タラタラ言いたいところを我慢。「絶〜対ダメなんでしょうか…」とすがってみたものの、きっぱり却下され、渋々ひとりで入室したのでした。「な〜んか、ますます不安感は高まるばかり… 」 

診察台に横になると、さっそくお腹を消毒され、まずは助手が超音波をかけて必要なデータを取ります。胎児の各部位のサイズなどを確認しているようで、時折「これは心臓… 」とか、説明も挟んでくれるので、素人目にはよく分からない部分もあるのですが、とりあえず画面を目で追います。すべて異常はなかったようで、ちょっと一安心したところで、ボーリック先生の登場。実はこの先生、ハーバード大医学部卒の腕利きらしいのですが、如何せん愛想がない… ! いつでも単刀直入、不必要なことは一切言わないので、超フレンドリーなアメリカ人の先生に洗脳されつつあるわたしには、ちょっと怖い… かな? でも、今回は比較的丁寧に「インフォームド・コンセプト」をしてくれ、和んだところで検査開始となりました。

●流れ始めた不穏な空気
まず、お腹にペンで子宮の位置を示すペケ印をつけ、赤ちゃんの身体から一番遠くて大きい羊水のポケットに針を刺します。モニターに針がしっかり写っているのが、なんともリアル… 針がお腹に刺さる瞬間は予想外に痛くなく(ほとんど無感覚に近い)、ス〜ッと入っていくのです。が、羊水がすぐには十分とれず、助手が「まだ足りません」とか言っているうちに、赤ちゃんが何かを感じたのか、いきなり「蹴り」を入れ始めました。マ、マズイ… 「わ〜ん、もうちょっとおとなしくしててよ〜」と心の中で話しかけますが、如何せん、ガンガン蹴りが入ります。でも、そこは先生も手馴れたもの。針先をちょっと引っ込め、足が遠のくまで待機します。動きがおさまったところで再び針を羊水のポケットに戻し、今度はどうやら成功! ドンドン透明な羊水がチューブの中を通っていくのを見て、「ヤレヤレ一安心」です。

針が抜かれた後、先生が超音波で丹念に胎児を診察していきます。「ホッ」としたのもつかの間、ここで何やらにわかに不穏な空気が流れ始めました… モニターには小さな黒点が2ヵ所ほど写り、血流がその周りに集まっているのがピカピカ点滅して見え、先生はそこを行ったり来たり、執拗に眺めています。「エッ、何?? 何があるの〜!!」。いきなり心臓がバクバク言い始めました。「だから、パパに付いてて欲しかったのよ〜。何これ? まさか腫瘍とかじゃないだろーねー?! 先生、早く何とか言ってよ〜!!!」と心の中で叫びつつ、手に脂汗をかきながら待つこと数分(本当はもっと短かかったかも? でも、その時は恐ろしく長く感じたのです!)。とうとう我慢できず、「それは一体、何なのでしょうか?」と恐る恐る聞いてみたところ、「ああ、子宮筋腫。でも筋肉の中だし、小さいし、心配ないですよ。妊娠中も大きくならないはず」と一言。「フ〜、良かった〜」。一気に全身から力が抜けていくのが、はっきり自覚できました。

こうして検査は何事もなく無事終了。所要時間はせいぜい30分強ってところでしょうか? 「画像から見る限りでは異常なし。でも、正確なことは検査結果を待つように… 」との説明が最後にありました。その際、トリプルマーカーの値をちらっとカルテで見たボーリック先生が「オッ、結構確率が高いんだね〜。一応覚悟はするように」と驚いたように一言。そこですかさず、「画像から何か分かったことはないか」と聞いてみました(ぶっきらぼうなタイプの先生には、タイミングよく突っ込みを入れて、情報を最大限ゲットせねば!)。すると先生曰く「あのね〜、それは無理というもんです。あなたはアラモアナ・センターの買い物客を上から眺めて、その中からダウン症の人を見分けられますか? できないでしょう? それと同じです」とのこと。「ふ〜ん… 」。短いが、妙に説得力のある解答に、あっさり引き下がり、横になることもなく、足早に診察室を後にしたのでした。

ひどい目に遭ったのはパパ?
すると、そこで出くわしたのが忘れちゃいけない、入室できなかった「パパ」。何の説明もないまま、じっとモニターを眺めさせられること数十分。何度もしつこくチェックしていた黒点が子宮筋腫であるとは露知らず、「これはいかん。何かあるに違いない… 」と不安になり、思いっきり悲しそうな顔をして、ポツ〜ンと座っていました。トホホ… あっけないほど楽チンだった羊水検査で、一番ひどい目に遭ったのは付き添いのパパだった、というオチが最後についてしまいました(パパ、心配かけてゴメンね)。

さて、気になる結果は? 2週間と告げられた待ち時間よ
り、少し早い10日目くらいの時に、たまたま予定していた定期検診でナースからプラ〜っと教えられました。確か体重測定をしている時に、チラッとカルテを見たナースが、「あら〜、羊水検査の結果出てるわね〜。大丈夫みたいよ〜」と気の抜けた一言。思わず、「キャー良かったぁ〜!!」とお腹が大きいのも忘れ、飛び上がってしまいました(コラコラ…)。あまりの安堵の様子にびっくりしたナースが、これまたもっと気の抜ける一言。「あら〜、何もそんなに心配しなくても良かったのにね〜。あなたみたいに異人種間の結婚だと、ほとんど異常は出ないわよ〜」。ホンマかいな… 真偽の程は分かりませんが、そういう励まし(?)の一言は、検査前に言って欲しかったんですがねぇ…

こうして一連の騒動は目出たい終焉を迎えた訳ですが、もし仮に異常が出た場合、こちらではみんなどのように対処しているのか、見聞きした情報をちょっぴりお伝えしておこうと思います。まず、第一にアメリカらしいと思ったのは、「産む・産まない」という選択肢が、妊婦本人に100%与えられているということ。早期の決断を迫られるこの選択は、誰にとっても生やさしいものではなく、それぞれの家庭の事情や考え方、宗教観などが大きく反映される苦渋の選択なのです。が、出す結論についての是非は別として、自分の人生を自らの手で切り開いていく権利が与えられている点は素晴らしいことだと思います。次に、「産む」決意をした場合。根っからポジティブなアメリカ人は、将来を思い悩んで落ち込んで出産を迎える…  なんてことはしません。まず医療面では、合併症がある場合を想定して、胎児の成長をきめ細かくフォローし、万全な体制で出産を迎えます。また、精神面でも、早くから各種サポート団体と連絡をとり、スムーズに育児に取りかかれるよう必要な情報を集め、体制を整えます。羊水検査を受けたメリットを最大限に生かし、赤ちゃんを最高にハッピーな状態で迎えるための努力を惜しまないその姿勢には、本当に感心させられました。

さあ、検査結果が出た時点ですでに妊娠20週目。マラソンでいう「折り返し地点」に差し掛かりました。次回はこの時期に体験した「妊娠学級」のあれこれ、そうあの「ヒッ、ヒッ、フー」でお馴染みおなじみのラマーズ学級のことを中心にお伝えします。お楽しみに!

プロフィール(わたしと家族の紹介)
わたし:愛称「がっちゃん」こと前田和子。ハワイ在住14年目。オペレーション・スーパーバイザーとして大手旅行社に勤務後、長女出産。「ハワイの歩き方」のエディター(育児休職中)で、現在2人の女児(4歳、5ヶ月)の育児に奮闘中。只今の生き甲斐は、子供たちが寝た後にホッとしていただくコーヒーと速読(ヤレヤレ)。
パパ:ぎりぎり49歳で2女の父になった超遅咲きパパ。ゴルフ三昧の定年人生は望むべくもなく、愛娘のために「死ぬまで働きつづける」のが今後の課題。職業はハワイ諸島の開発予定地の発掘調査を手がける考古学者。特技は子供を放りなげ続けるプール遊び。(当然ながら子供には超好かれます。ここまで体張って遊んでくれる大人はめったにいません)。
ステフ:長女。現在4歳半。妹を「マイベイビー」と自慢のタネにするのが得意。将来の夢はバレリーナと公言しつつレッスンに通うが、いまだにスキップができない。起き抜けに1枚、食後に1枚、寝しなに1枚と、お絵かきがやめられない元気いっぱいのプリスクール児。園ではクイン君という熱狂的なファン約1名を従えている。
クリス:次女。2001年9月11日に生まれた強運の持ち主。特技は、夜ひとりで勝手に眠れること。最近自分の足を発見したことがうれしくてたまらない5ヶ月児。腹ばいは苦手。愛称はちいちゃん(ミドルネームがちのちゃんです)だが、近頃はちーちー→ちーにまで簡略化されている。



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