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ハワイ歩き方事務局
人気連載「ハワイ大学留学 B級ライフ」

第09回 日本マニアにびっくり

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2006年02月14日

第9回 日本マニアにびっくり


さすが日本通の多いハワイ大学。キャンパスにはこんな「ワビサビ」の茶室も…

●私も含めて「マニア」な大学院生たち
私はハワイ大学のアジア太平洋研究科で、東南アジアについて勉強しています。特に、フィリピンの文学について研究しているのですが、私自身にフィリピンの血が流れているわけではなく、話せば長くなるけど、平たく言えば、まあただ単に「好き」だから。でも、これが他のアメリカ人たちからみると随分と珍しいらしく、「何で日本人なのに日本の研究をしないんだ?」と言われることもしばしばあります。私からすると、未知のエリアを研究するほうが面白いと思うんですけどね。確かに私の学科には東南アジア出身者、もしくは東南アジア系アメリカ人が多く、日本人は非常に少ないです。今までは、学科専用のクラスばかりを取っていたので、いつもメンバーは同じ、私は「日本出身の東南アジア・マニア」として認識されてきました。

ところが、今学期は時間帯の関係上、東アジア(日本、韓国、中国)に関するクラスをいくつか取ることになり、全く新しい分野の人々に遭遇することになりました。そうです、「日本マニア」の人々です。勿論、日本の血が流れている人もたくさんいますが、驚かされるのが、外見は全くのアメリカンなのに、流暢な日本語を操り、日本の文化、しきたりに精通し、態度もとても日本人っぽい人々。「日本マニア」のみならず、「韓国マニア」、「中国マニア」もほぼ同数存在しています。


これもハワイ大学。滝が流れる日本庭園には灯籠や鯉もいて、いとおかし

ハワイ大学は、アジア研究が全米の中でもとても盛んなので、彼らは全米各地からわざわざアジアについて学ぶためにここへ来た人たちで、アジアに対するリスペクトがすごく、普通一般のアジア人よりも、アジアについてシリアスに考えています。

私の友人たちはローカルの日系、オキナワンが多いのですが、彼らにとって日本文化は、彼らの先祖の文化で、自然にそこに存在するニュートラルなもの。たまに旅行で訪れたりして、リスペクトはあるけれど、とりたてて美化はしていないようで、言葉も「単語は知っているけれど、別に完全に習得しようとは思っていない」というスタンスの人が多いんです。

ところが、大学院で出会った「アジア・マニア」のアメリカ人たちは、アジアに対する入れ込み方がすごく、好奇心にあふれています。「マニア」と呼ぶと、少しネガティブな響きがするので、「アジア専門家」と呼んだほうがよいかも。私の中では「マニア」<「おたく」<「専門家」という図式ができあがっているんですけどね。彼らが「アジア・マニア」になったきっかけは様々で、たとえば日本の「アニメ」や「漫画」から入った人もいれば、アジア人の友人を通じてアジアに目覚めた人も。交換留学生としてアジアに行って、異文化に刺激された人たちもいます。あと、男性に多いのはミリタリー出身者で、アジアに駐屯した経験のある人たち。

彼らアジア・マニア、特に日本マニアと話していると、自分が日本人であることにすごく気付かされます。私自身、あまり「日本人である」という意識が強くないほうなので、何だか気恥ずかしく、でも決して嫌な感覚ではありません。自分の文化を、批判も含めてリスペクトし、研究してくれていると思うと、面映く、でもすごく嬉しいですね。きっと、私も、東南アジア出身の人々から見たら、このような雰囲気を「むんむん」と醸し出しているんだろうな、と思うと、さらに気恥ずかしく、耳をふさいででんぐり返りをしたくなりますが、まあ、ここまできたら「マニア道」を突き進み、「専門家」になるしかないな、と思っています。

日本通の高校生たち
日本マニアは、大学院生に限ったものではなく、高校生からすでにその兆しを見せている子もいます。先日、高校生たちのなかから「日本の達人」を選ぶ、というイベントがありました。3人一組の高校生プラス引率の先生、というチームが、ハワイ中から集まり、政治経済、歴史、日本語、文化、スポーツ、慣習などなど、日本に関するありとあらゆる問題に挑戦。日本に関する知識を一番持っている高校生を選ぶ、という大会で、参加者の高校生は、やはり日系の子が多かったものの、上位チームの中には、まったく日本とは関係のなさそうな子もちらほら。多分、彼らは何かのきっかけで、日本好きになったんだと思います。

問題はすごく難しく、日本出身の私でも分からないことがたくさんありそうでした。多分、日本語や歴史、文化は大丈夫だと思うけど、政治経済、スポーツ、芸能は絶対全部答えられないと思います。

ハワイは全米の中でも、特に日本と近く、生活の中に普通に日本文化が存在しているところ。ハワイで育った高校生は、多分全米のなかではもっとも日本について詳しく、日本語能力もあると思います。彼らが将来、日本とアメリカの架け橋となって、活躍してくれたら素晴らしいですよね。まだ高校生の彼らですが、日本人とたくさんコミュニケーションをとって、日本の良いところ、悪いところを含めて、客観的にたくさん学んでいって欲しいと思いました。なんて、すっかり年寄りじみてしまいましたが。


なにを隠そう私もマニア出身。フィリピン文化にどっぷりハマりました

ハワイでは日本語教育がとても盛んです。「言葉」を学ぶことで、その背後にある文化にまで興味が及ぶことが多いと思います。私もここで「英語」を使って生活していて、英語に馴染むうちに、アメリカ人の考え方、物事の捉え方が漠然と分かってきて、日本との違いにびっくりしたり、感心したり、といった事が多々ありましたし、学部で4年間「タガログ語(日本ではフィリピノ語と呼ぶらしい)」を勉強したときは、大げさでなく、目の前に新しい地平が開けたような気分になりました。一気にマニア道を突き進み、毎週フィリピン語の教会に通い、ありとあらゆるフィリピンの映画を鑑賞し、フィリピン語のケーブルチャンネルまで引いてしまいました。フィリピン人歌手のコンサートにいったり、フィリピンの化粧品(美白効果がすごい)を買ったり、フィリピン語で冗談を飛ばしたり、こんなスーパーマニアな私に「ひき」もせず、暖かく付き合ってくれたフィリピン人、フィリピン系アメリカ人の友人たちに感謝します。こんなマニア期を過ぎて、研究対象はフィリピン文学のみに絞りました。と、同時に沖縄文化や他の文化にも興味を広げ、今はかなりニュートラルな位置に落ち着いたと思います。今から思うと、あのマニア期は、何だか熱病にかかったようなすさまじいもので、かなり恥ずかしいですが、自分がマニアだからこそ、他のアジアマニアにも寛容で居られると思うんです。

マニアいろいろ
冒頭に述べたような、文化を通じたアジア・マニアは、いわば良性マニアだと思います。たまに「ちょっとやり過ぎ!」と思うことはあるけれども、まあ大体において好ましいというか。

でも、たまに、悪性マニアというか困ったマニアとも言うべきジャンルが存在するんですよね。それは変な誤解をもとに、アジアに対するステレオタイプをくみ上げ、理想化してしまう人たち。たまに、アジア人は従順だから、とか日本人はお金持ちだから、なんていうステレオタイプに基づいて、アジア人ばかりとお付き合いしているアメリカ人男性を見かけます。アジア人好きというのは、決して悪いことではないのですが、問題はアジア人をステレオタイプ化していることにあると思うんです。好きになった人がたまたまアジア人ばかり、というのは全然問題ないと思います。が、アジア人だから選ぶ、というのは順序が逆かも。アジア女性と言っても、従順な人もいれば、強い人も、私のようなマニアもいるわけで、当然ひとくくりには出来ないですよね。

こんな感じの困ったマニアが、小説を書いたり、映画を作ったりすると、なんだかちょっと違和感のある作品が出来上がったりするわけで、東洋に関するエキゾチシズムをすごく強調していたりね。まあ、でも、誰でも何かしらステレオタイプで物を見てしまうこともあるわけだし、それもまた「味」ということで。

というわけで、今回は、何となく硬い話題になってしまいましたが、世間には色々なマニアがいるわけで、なかなか興味深いと思うのでした。

今月のB級ライフ・まとめ
1. ハワイにはアジア通(特に日本通)が多い
2. 言葉を通じてマニア道に入り込む人が多い
3. 物事をステレオタイプ化する人は良性マニアとは呼びがたい

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