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ハワイ歩き方事務局

ネイチャー・ウォーキング

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2006年06月01日

ディナーショーやフラダンスにサンセット・クルーズ… ハワイには楽しいアクティビティがいっぱい揃っています。このコーナーでは、家族連れやグループでハワイ旅行を満喫できるアクティビティ情報を随時、ご紹介しています。

ネイチャー・ウォーキング

Nature Walking

ユニークな植生が見られるハワイ


ガイド同伴で入園できるセネター・フォンズ・プランテーション

周囲を海に囲まれ、太平洋上に隔絶されたハワイでは、大陸とは異なるユニークな植生が見られます。むき出しの溶岩上にさえ定着するオヒアや、遠目でも簡単に判別できる銀色がかった葉を繁らすククイノキ… 何気なく歩いていたのでは見落としてしまいそうな草木に秘められた、日夜繰り広げられている進化と生存競争のドラマに触れてみませんか? ハワイの自然や歴史に詳しいガイドが同伴する「ネイチャー・ウォーキング・ツアー」で、コオラウ山脈の麓をゆっくりと散策した後には、きっと新しいハワイ観が芽生えているはず。コースはなだらかな丘陵で、子どもやシルバーの方にも打って付け。バードウォッチングや写真の被写体を探すのにも、もってこいのエコ・ツアーなのです。


葉の大きさが世界最大のラフィア・パーム

今日の案内役は、このツアーを企画している「アウトドア・クエスト」のユタカさん。朝8時にワイキキのホテルへピックアップに来てくれ、コオラウ山脈の麓にある「セネター・フォンズ・プランテーション」を目指し、一路61号線を北上。小1時間ほどの道中は、ユタカさんがハワイ諸島の成り立ちについて説明してくれます。
ハワイ諸島は、ハワイ島の南方沖合にあるホット・スポットと呼ばれる地下深部から湧き出した溶岩が堆積してできたもので、海面から顔を出した島々が海洋プレートに載って毎年約9cmずつ北西へ移動しています。主要8島の内では、最南端に位置する一番若いハワイ島と最北端に位置する一番古いカウアイ島では約510万年の隔たりがあり、さらにカウアイ島の先にあるミッドウェー島までの島々を見ると、約3000万年の時系列で生態系の進化が見られます。こうして徐々に北西へ移動しながら古い島は浸食され、やがて水没し、ホット・スポット付近ではまた新しい島が誕生していくのです。現に、ハワイ島の南東沖合にはロイヒ海山が水深950mの所まで迫り、数万年後には新しい島の誕生となるかもしれないそうです。もっと詳しい話を聞きたい方、この続きはツアー参加時のお楽しみに。

自然が残るセネター・フォンズ・プランテーション


ラウハラでお馴染みのハラ。ちなみに、ラウは「編む」の意

ユタカさんのお話しに心奪われつつ窓を見ると、外は徐々に緑濃い田舎の風情に。間もなく、車はスルスルとプランテーションへ。車外へ出ると、「ウーン、空気がウマイ」。セネター・フォンズ・プランテーションは、その名が示す通り、フォン上院議員の私有地なのです。植物園という名目になっていますが、なるべく人の手を入れず、自然のままの山の姿を保存するのがコンセプト。ちなみに、ガイドを伴わない一般者の入園は受け付けていませんので、ご注意を。入口には休憩所があり、アロハシャツやジュエリーなどが揃った小さなショップもあります。ウォーキング出発前に、お手洗いはここで済ませておきましょう。


拾ったライチの皮を剥くと、プルプルの実が

さあ、いよいよウォーキング開始。プランテーションに踏み込んだ途端、前日の雨も手伝って「ムッ」とした草いきれが。「おや!?」。ウォーキング開始早々、ライチを発見 大好物を発見し、喜色満面の体験者に「どうぞ、お好きなだけ」と薦めてくれるユタカさん。「では、遠慮なく、モリモリいかせていただきま〜す」。そこへ、「えっ、何? 次はザボン?」って、何だか試食ツアーのノリになってきましたが、残念ながらザボンはまだ少し未熟。年間を通して収穫できるザボンは、何と今だけが時期外れなんだとか。「ガッカリ」。すっかりフルーツ・ハンターと化した体験者の魂胆をよそに、ここでもハワイの植物への造詣の深さを披露してくれるユタカさん。「周囲から隔絶されたハワイに、生物たちの祖先はどうやってたどり着いたか。キーワードはスリーW、Wind(風)、Wing(翼)、Water(水)なんですよ」。つまり、ハワイへ最初にたどりついたのは、気流に乗った風媒花の種子や、ハリケーンに巻き込まれた昆虫や渡り鳥に付着したり、フンと一緒に排泄されたもの、そして海流に流されてきた藻類だという訳です。


バナナとパイナップルを合わせたような味がするモンステラの果実

「ツアーのたびにかじっていたら、病み付きになった」と言って差し出されたのは、カカオの種。かじってみると、「ニッガ〜イ」。カカオの木に蔓を巻くバニラを指して、「カカオとバニラの食べ合わせは、随分昔から試されていたんですよ」。地面を見ると、カカオの種に混ざってククイナッツが。ククイノキは、果実に油を含むので英名を「キャンドルナッツ・ツリー」といい、ナッツを灯明として利用したり、樹皮でタパを染め付けたり、ナッツを焼いたススをタトゥーの染色剤に使ったり、と大活躍の木だったんです。握ると菖蒲の香りがする紅いジンジャーや、根をすりつぶしてお湯に溶かして飲むとリラクゼーション効果のあるアヴァなどもそこここに見られます。


クック船長命名のノーフォーク・パイン。天辺が星形に枝分かれしています

青空にくっきりとシルエットを浮かび上がらせているのは、キャプテン・クックが命名したノーフォーク・パイン(松)。でもこの木、実は杉だったんです。「クック船長、ちょっと失敗」。ノーフォーク・パインは、ハワイでクリスマスツリーとして大活躍。よく見ると、天辺の枝が星形に 並んで葉を繁らすオートグラフ・ツリーは日本名「サインノキ」。名前の由来は、葉に名前を彫り込むと2年くらいそのまま残ることから。皆さん、色々と書き残されてますね。こんなハワイの山深くで相合い傘の落書きにお目にかかれるとは… 世の中は不思議なものです。その先で青々と繁っているのは、ハラ。ラウハラでお馴染みのハラは、2億5千万年前から存在が確認されていて、海水に耐性があり、海流に乗ってハワイへやってきたと言われています。


ココナッツを鮮やかにさばくユタカさん。右上が皮を剥いたもので、サルの顔に見えます

「ここでちょっと待っててください」と言い残し、しばらくして戻ってきたユタカさんの手には大きなココナッツが。「ココって、ポルトガル語で「猿」っていう意味の「マカコ」が訛ったものなんだけど、どうしてココナッツって言うと思う?」と聞かれ、「さあ… サルに木登りさせて、ナッツを収穫したからとか」との答えに、意味深な笑みを見せて黙々と実の外皮を剥き始めたユタカさん。手際よく皮を剥いでしまうと「答えはコレ」と言って見せてくれたのは… サ、サルの顔(写真左)! 「ね、サルの顔でしょ〜」と言いながら、そこへ無表情に斧を振り下ろすユタカさんにちょっとおののきつつ、さて、実を割って差し出されたココナッツ・ジュースのお味はいかに!? 「どうですか?」と聞くユタカさんに、「ヌルイ… です!?」


世界最大の実をつけるジャック・フルーツ。果実の重さは何と25kg

大きな黄緑色の実をつけているのは、パンノキの仲間の「ジャックフルーツ」。実が最大になるものの一つで果実の重さが何と25kgにもなり、中はベタベタしていてナイフも通らないそうです。すぐ先にはビャクダンも。18世紀末から19世紀初頭の乱獲で枯渇したハワイのビャクダン類は、この時代に絶滅したかのような印象がありますが、実際には今でも生き残った固有種をみることができるのです。ビャクダンだけでなく、現在ハワイ固有の多くの植物種が絶滅に瀕している原因として挙げられるのは、第一に人による環境破壊、第二に野生化した家畜による食害、第三に帰化植物による在来種の駆逐化、第四に人による選択的な採取だとか。こうした絶滅危惧種を保護する最良の方法は、できるだけ広い面積の自然を一つの生態系として残すことだそうです。テーマパークやゴルフ場なんかなくても憩えるのがハワイの良いところ。こうして木々の間を歩けるだけで充分じゃないですかね。


風鈴のような形のコーラルハイビスカス

ペットボトルのミネラルウォーターをすっかり飲み干してしまった頃、ツアーもそろそろ終了。つぼみのまま花が開かないハイビスカス「ウナズキヒメフヨウ」や沖縄で仏葬華として用いられる「コーラルハイビスカス」を賞でつつ、再び休憩所に戻ってきました。2時間ほどのウォーキングでほど良く汗を流し、ホノルルへ帰り着く頃には丁度ランチタイム。「今日は本当に色々と勉強になりました」。お陰でこれからは、何気なく目にする草花にも「この花はね…」と蘊蓄を傾けられそうですね。

●ネイチャー・ウォーキング
場所:セネター・フォンズ・プランテーション(47-285 Pulama Rd Kaneohe, HI 96744)
ツアー予約:921-8008(トラベルプラザ)
ツアー開催日:クリスマスと1月1日を除く毎日
ツアー所要時間:8:00-12:00(4時間)
ツアーに含まれるもの:送迎、ミネラルウォーター、雨具、日本語ガイド
ホームページ:www.tphawaii.com
ハワイ固有種のお話

●ハワイに固有の生物が多いワケ…

◎独立した生物地理区に分類されるハワイ
植物や動物、昆虫などで、ある場所にのみ分布し、他では見られない生物の種を「固有種」といいます。太平洋の孤島ハワイでは、その立地を反映して世界の大洋島のなかでもずば抜けて高い固有率を示し、植物では89%、鳥類は90%、昆虫類は99%が固有種であるといわれています。これだけの固有種を誇る場所は世界中でもハワイだけで、このためハワイは独立した生物地理区に分類されています。

ハワイにこれだけの固有種が生まれたのは、元をただせば1つの祖先種が生活様式を変化しながら多様に分化していったものと考えられています。例えば、鳥類の種類数が極端に少ないハワイでは、本来ならエサとなるべき昆虫や果実を捕食する種がなかったため、後にこれを捕食する種が生まれ、独自に分化し固有種となっていきました。

ただ、外敵のいないハワイで進化した固有種は、敵から身を守る機能が低下しているので、よそから持ち込まれた帰化種に容易に殲滅される恐れがあるというそ側面もあるのです。


(2003年6月取材)

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