10年以上前に、フラマスターのジョージ・ナオペ氏より「マカナオカラニ(天からの贈り物)」というハワイアン・ネームを頂いてから、正に天からの贈り物のように、次々と奇跡的な出会いや出来事に導かれ、これまでハワイ文化を学んでくることができました。今では私の人生の一部となっているハワイ語の世界と、ハワイアン・カルチャーの素晴らしさを、皆さんにシェアしていきたいと思います。第一回はこちら。
かずこセリッグの「ハワイ語の世界」 第5回 フラはどこから始まった? 神話に見るフラの起源
●ペレとヒイアカの物語 フラは、ハワイを代表する伝統文化の一つですが、その発祥は謎に包まれています。今回は、数あるフラ発祥の神話の中から、代表的なものをいくつかご紹介していきたいと思います。まずは、大変ポピュラーな神話、ペレとヒイアカの物語からです。
ハワイ島のキラウエア火山に住むペレは、激しい気性をもつ火の女神でした。ペレに仕える忠実な妹達は、皆「ヒイアカ…」で始まる名前をもっていましたが、中でも一番末の、ヒイアカイカポリオペレ(以下ヒイアカ)は、大変美しく、優しく、それでいて勇敢な、ペレの寵愛を集めた妹でした。このヒイアカは、後にペレの命を受け、ペレの恋人である、ロヒアウを、カウアイ島から連れてくるという長い旅に出る事になるのですが、その旅路はたいへんな苦難と波乱に満ちたものでした。この物語から多くのシーンが、フラとなって今に伝えられていますが、そのお話はまた別の機会にいたしましょう。 |
●フラを初めに踊ったのはホーポエという女性
さて、この物語によると、フラを初めに踊ったのは、女神ペレでも、ヒイアカでもなく、人間のホーポエという女性でした。ホーポエは、ハワイ島プナ地区の、ナナフキという海辺で、フラ踊を踊っていました。それを見たヒイアカは、たちまちフラの力強く、滑らかな動きに魅せられ、自分もホーポエからフラを学ぶことにしました。こうして、二人は無二の親友となったのです。それでは、「ホーポエは誰からフラを学んだのか?」という疑問が湧いてきますね。一説では、ホーポエは誰からもフラを学んだことがないといわれています。ある時、ホーポエが波の音にのせてオリ(詠唱)を作っていると、いつの間にか自分が発する言葉のマナにとり憑かれ、自然に体が動いて、フラを踊りだしたというのです。さすれば、人がフラを踊るのではなく、マナが人を踊らせている。人は、マナが宿るための箱にすぎない、という事になるでしょうか。
物語の最後に、ヒイアカは、多くの困難を乗り越えた末、ロヒアウを連れて、やっとの思いでハワイ島に到着します。ところが、ふたりの帰りが遅い事に腹を立てたペレは、火山を噴火させ、ホーポエを溶岩で焼き殺してしまいます。溶岩に包まれ、石になってしまったホーポエは、風に揺れて踊る石として、1946年の津波によって動かされるまで、ケアアウの海辺でフラを踊り続けたということです。(つづく)
※かずこさんは昨年11月にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りいたします。
|
|
コメントを残す