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第12回 カホオラベ5話

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2001年01月16日

第12回 カホオラベ5話

カホオラベでの3日目にはモアウライキまでのハイキングがありました。島でのメインイベントです。カヒコに使われるチャントに登場するいくつかの場所や風、雲、山、海などを体験できるからです。山登りが大嫌いな私が、何かに追われるように、もっと何かに会いたくて、先へ先へと歩いていました。頂上近くで、クムから「一人一人が心と頭と体でマナを感じるようにこれから先は口をきかずに進み、頂上でカネとワヒネに分かれてカヒコのチャントを捧げるように」と言われました。

モアウライキ頂上

断崖絶壁には突風が吹き、足をすくわれないように必死に歩きました。そこで見たもの感じたことはとても私の言葉では言い尽くせません。チャントを捧げながら涙を流しました。鳥肌ものの感動の後、島に何百年も生き続ける樹木の前で、祖先に呼びかけるチャント「Na Aumakua」を捧げました。一昨年のメリーモナークに参加して昨年急死したダンサーの魂を感じた人達、言いたいことを言えずに死に別れた父親の声を聞いた人など、感じ方は様々です。私の体には残念ながらハワイアンの血が流れていないせいか、恐山のような体験はできませんでしたが、「むき出しになった樹木の根」に妙に執着があるので、「美しい、素晴しい。これは芸術だ」と別の意味で感動していました。

こんなところがずっと続きます。

帰途、悲しい事故が起きました。乾いた山肌は所々割けています。木が1本も立っていないので支えがなく、赤土の上を滑りながら降りる途中、女性ダンサーの1人が裂け目に足を踏み外し、足首を骨折しました。苦痛で失神しないように、励ましながら、担架でビーチまで運び、米軍のヘリコプターでマウイの病院に輸送されて行きました。誰の目から見ても2週間後の大会で踊れないのは明らかです。今まで団体でも個人的にも一緒に練習してきた時間がよみがえってきて、悲しくて何も言ってあげられませんでした

悲しみを分かち合っている間もなく、現実に引き戻されました。翌日は島を去らなければいけません。日が沈むまでに衣装を染めなくてはいけないのです。カホオラベの海水と砂を混ぜて泥のたまりを作り、その中に入って泥まみれになりながら、何度も何度も足で踏みつけて布に染み込ませては海水で洗い、また同じ作業の繰り返しです。フランセという紙と布の間のような繊維は破けやすいので、慎重に手で押し付けていきます。あっという間に暗くなりましたが、全員の分は終わらず翌日に持ち越されました。

カホオラベより、雲のかかったマウイ島ハレアカラを臨む

カホオラベ最後の長い夜が過ぎ、3時間ほど就寝しました。最終日の仕事は、昨晩重石を置いてビーチに干してあったはずの布探しから始まりました。どうやら風で吹き飛ばされたようで、懐中電灯を片手に探し回りましたが、どうしても数が合いません。夜明け前、荷造りをすませた第一グループの出発の時間が来ました。

全員で無事を祈るチャントと島を去る許しを乞うチャントを捧げました。昨晩から続く強風はやみそうになく、波は高く、水は氷のように体を刺します。暗闇に響く不気味な怒涛と寒さとで体はぶるぶる、唇は紫、歯はがちがちです。立ち泳ぎで必死に荷物を運んだ後、浜に戻り、第二、三グループは、数人が昨日に続いて染色作業、数人は布探し、残りの数人はテントの片付けを始めました。私が入っている第二グループが出発する数時間後までにテントがしまわれ、布は見つかりましたが、全部は染め上がりませんでした。

後から聞いた気象情報では、波の高さは、3?4フィート、風速は35マイルだったそうです。ダグボートが近づくとさらに波が高く寄せてきて、生きた心地がしませんでした。もっと真面目に泳ぎの練習をしておけばよかったと心底後悔しました。行きには6?8人乗れたボートも危険なので1回に2人ずつしか運べず、残りは近くに浮いているごみ袋や荷物入れにつかまりながら海水で泳ぎながら待たなくてはいけません。私の乗ったダグボートが天高く波に浮いた時は、海中にいる人達も浜近くで作業をしている人達も「落ちた」と観念したそうです。船の上では、筋肉が硬直して呼吸困難になりましたがマウイ島が見えてやっと心身共に解放されました。

カホオラベで行われる宗教儀式は確かにハワイアンのためのものです。しかし、クムによれば「ハワイアンの血が体に流れていなくてもハワイの文化を尊敬し、受容し、意識し、考察する意欲があればカホオラベを特別な場所として自分自身と結び付けることができる」そうです。4泊5日の壮絶なキャンプからいろいろなことを学びました。自然の素晴しさと恐ろしさを。人と助け合って協力して生きていく幸せと自分の無力さを。日常にどんなに不要なものがあふれているか、本当に大切なものは何なのかを。文明社会に戻った後も、カホオラベを思い出す度に気持ちが引き締まる思いです。(カホオラベ完)

(by Shoko)

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