カオリ: はじめまして。本日はよろしくお願いします。
シモーヌ:はじめまして〜(日本語で)
カオリ:おお! さっそく日本語で挨拶してもらえるとは驚きました。さすが日本が大好きだと仰るだけありますね。
シモーヌ:そう、僕にとって日本はとても特別な場所なんだ。日本の何が好きって、音楽やファッション、文化、伝統、食べ物、もう全てひっくるめて魅力的だと思うよ。言葉では言い表せないね。
カオリ:なるほど。日本に対して熱い情熱を抱いていらっしゃるのですね。ところで、いつから日本に興味を持ち始めたか覚えていますか?
シモーヌ:いつからだろうね。よく覚えてないけど、1980年代にイタリアで日本のアニメやテレビ番組が放映されるようになった頃からかな。「ドラゴンボール」とか「マジンガーZ」、女の子向けだったら「キャンディ・キャンディ」や「おはようスパンク」なんかもテレビで放映されていたんだよ。
カオリ:へぇー、イタリアでそんなに日本のアニメが放映されているなんて知らなかったです。シモーヌさんの作品は日本のアニメの影響を受けているとご自分で思いますか? 私が初めてシモーヌさんのキャラクターを見た時、実を言うと「なんだか日本のアニメのキャラクターっぽいなぁ」なんて思ってしまったんです。
シモーヌ:僕のデザインするキャラクターが日本のアニメのキャラクターに似ている、という声は実際にあるんだよね。小さな頃から日本のアニメが好きだったから、その影響は少なからずあると思うけど、日本のアニメの真似ではないんだ。
カオリ:なるほど。
シモーヌ:そう、僕のキャラクターはアニメじゃなくて、きちんと考えてデザインしたキャラクターなんだよ。日本では至る所で可愛いキャラクターのデザインを使ってるよね。僕が初めて日本に行った時、「日本はなんて可愛いものが多いんだ!」って感動したんだよ。警察や銀行とか、とっても固いイメージのあるところでも、可愛いキャラクターを使うところがすごいよね。ヨーロッパでは考えられないよ。そんな点も、僕が日本が大好きな理由なんだ。
カオリ:そんな風に考えたことがなかったので、とっても新鮮ですね。ところで、シモーヌさんはそれ程日本がお好きなら、もちろん日本にも行かれたことがあるのですよね?
シモーヌ:もう13回くらいは日本に行っているかな。年に何度かは必ず「日本にいかなきゃ!」って気分になるんだ。説明するのが難しいけど、不思議な気分だよ。そんな気分に急き立てられて日本に行くと、なんかこう、とっても落ち着くんだよね。
カオリ:まるで実家に帰省するような感じですね。「あ〜、実家が懐かしい」っていう感じ?
シモーヌ:うん、まさにそんな感じ(笑)。最近は忙しいから1週間くらいしか滞在できないけど、昔は2ヶ月くらいの長期で滞在していたんだよ。日本には沢山友達もいるから、日本に行く度に皆と集まってお酒を飲んだりして楽しんでいるよ。
爆発的人気のイタリア発コワくてカワイイ、「コワカワ」キャラ
シモーヌさんが手掛けたレスポートサックとのコラボ、「トキドキ」シリーズは爆発的な人気! |
カオリ:「トキドキ」という名前は、レスポートサックから「トキドキ」シリーズを発表することが決まった後に名前を決めたのですか?
シモーヌ:いいや、そのずっと前だよ。僕はイタリアでデザイン学校を卒業したんだけど、その直後に自分のデザインを発表する場として、ホームページを開設したんだ。ホームページを作るのにドメイン名が必要だったから、その時にトキドキっていう名前を付けたんだ。その当時の夢が「日本に住むこと」だった程、日本が大好きだったから、もちろん日本語の名前にしようと思って。
カオリ:なるほど。日本に対する熱い情熱がそこには込められていたのですね。でも、どうして「トキドキ」にしたんですか? 「ドキドキ」にも似てるなぁ、なんて思ったのですが。
シモーヌ:実はね、「トキドキ」と「ドキドキ」でかなり迷ったんだよ。「ドキドキ」だったら、日本へ旅行するときに毎回感じる「ドキドキ」する気分を表現できるな、って思ったんだけど。
カオリ:でも結局「トキドキ」を選んだのですね? 日本語の「時々」の意味を考えると、とてもユニークな名前だなって正直思ったんですよ。だったら「ドキドキ」の方がしっくりくるのかな、みたいな(笑)
シモーヌ:僕はね、一番最初にトキドキっていう言葉の響きがすっごく可愛いなって思ったんだ。で、その意味を自分なりに解釈して「誰でも、いつか(時々) 叶えたい夢がある」っていう結論に至ったんだよ。僕も自分の夢が沢山詰まったウェブサイトを作って、いつか夢が叶う時がくるって信じていたから。僕にとっての「時々」は僕が経験したような人生の中でのスペシャルな瞬間、かな。
カオリ:「トキドキ」という単語の中に、そんな熱い思いが込められていたのですね。そこにシモーヌさんのロマンを感じますね。シモーヌさんは、そのいつか(時々)が現実に叶ったのですね。
シモーヌ:そう! ウェブサイトを開設してから、瞬くうちにもの凄い人数の人が僕のサイトを見てくれるようになったんだ。1日に24万人ものアクセス数が出るようになって、気づいたらドメイン名だった「トキドキ」がブランド名になって、大きなビジネスへと成長していったんだ。で、レスポートサックやMTVの仕事をするようになっていたんだ。
モデル御用達コスメ・ブランドとのコラボ商品
スマッシュボックスとトキドキのコラボレーションで生まれた、今大人気のコスメ。 |
カオリ:そうですよね。今や至る所でシモーヌさんの作品を見かける程、売れっ子デザイナーですもんね。最近のお仕事では、コスメ・ブランドの「スマッシュ・ボックス」とのコラボレーションでシモーヌさんの可愛いキャラクターが描かれたコスメが発売されましたよね?
シモーヌ:そうだね。スマッシュ・ボックスっていうブランドは今僕が住んでいるロサンゼルス発のブランドなんだ。僕はトップモデル御用達のこのブランドに対して、とってもグラマラスで洗練されたイメージを持ってたんだ。
カオリ:私もスマッシュ・ボックスはシンプルでモノクロなイメージと思っていました。でも、今回シモーヌさんとのコラボで生まれた作品はとってもポップでおちゃめですよね。(目の前にあるスマッシュ・ボックスの商品を指しながら)コラボの商品は色々と種類がありますが、天使みたいな子がよく登場しますね。
シモーヌ:あ、この子? これは「リトル・エンジェル」っていって、ちょっとした魔法が使えるキャラクターなんだよ。「このコスメを使ったらもっと綺麗になれる」っていう魔法をエンジェルが叶えてくれるんだ。それに、コスメを使う度にこんなポップで可愛いキャラクターを見ていたら、なんだか笑顔になっちゃうよね。
カオリ:そうですね。私なんか毎朝時間がなくてとっても慌しくお化粧をするのですが、こんな可愛いキャラクターが「ハロー!」って登場すると、お化粧するのが楽しくなるかも。気分が明るくなりそうですよね。
シモーヌ:そこがポイントなんだよ! エンジェルの魔法の効き目、ありそうでしょ?
可愛いエンジェルを見ていると、メイクが楽しくなる! |
カオリ:シモーヌさんの作品には個性豊かで可愛いキャラクターが沢山出てきますよね。「トキドキ」にはだいたいどの位の数のキャラクターがあるのですか?
シモーヌ:だいたい100種類くらいかな? 今現在も確実に新しいキャラクターが生まれていっているよ。僕はいつもアイディアが湧いて来たらスケッチするようにしているんだ。
カオリ:「さあ、今からデザインをしよう!」と机に向かって意気込んでデザインをするわけではないのですか?
シモーヌ:そんなこと全くしないよ! 僕はいつでもどこでもアイディアが湧いてくるから。日常生活の中で目に付いたものを何でも僕が「かわいい」キャラクターに変身させていく感じだね。だから、目の前にある花でも机でも、何でもデザインの材料になるんだ。
カオリ:まるで泉のようにアイディアが湧き出てくるのですね。天性の芸術家ですね! ところで、シモーヌさんの描くキャラクターって、どれもすごく可愛いのだけど、ただ単に可愛いだけじゃないですよね。ほら、トキドキのロゴもハートに骨って、可愛いハートにハードな骨ですよ? 他にも可愛いドクロちゃんのキャラクターもありますよね。可愛いのだけど、普通は気持ち悪かったり怖いイメージがあるドクロをあえて使っているところがユニークですね。
シモーヌ:そう、そこがミソなんだ。僕はそのバランスをとても大切にしているんだよ。子供っぽさと大人っぽさ、可愛さと洗練された美しさ、光と闇、など両極に存在するものをミックスすることで、なんて言うのかな、ユニバーサルなメッセージを表現しようとしているんだ。それは僕の作品全てに言えることだね。
カオリ:なるほど。単に可愛いだけじゃなくて、その裏にはシモーヌさんの世界観が存在するのですね。
シモーヌ:そう、僕のキャラクターには隠されたテーマがあるんだ。 その奥深さを表現しているところが、トキドキがこうやって多くの人に受け入れられた理由の1つじゃないかと僕は思っているんだ。
日本人男性の方がイタリア人よりもオシャレ!?
カメラを向けると照れながらも笑顔でピースをしてくれた、おちゃめなシモーヌさん |
シモーヌ:僕はよく日本の雑誌を読むんだけど、日本の男性はすごくお洒落だと思う。男性用の雑誌もすごく内容が濃くてファッションについても良くリサーチしてあるよね。
カオリ:えー!? 私からしてみればイタリア人の男性の方がお洒落だと思いますけど?
シモーヌ:うん、もちろんお洒落なんだけど、何て言うのかな、お洒落の質が違うかな。
カオリ:と、言いますと?
シモーヌ:日本人の男性のお洒落にはもっと自由がある、かな。例えば高級ブランド品を身につけても、他の部分でパンク・ロック的な要素を入れて上手に崩したりとか。色々なスタイルをミックスしている感じがするね。小物遣いや色遣いにしてもオリジナリティがあるんだよ。
カオリ:へぇー、今までそんな風に考えたことがなかったので、シモーヌさんの考え方がとっても新鮮です。でも言われてみれば、その「ミックス」する表現がピッタリかも。日本人は1つのスタイルを追求するというよりも、色々と組み合わせて自分なりのオシャレを楽しむ人が多いかも知れませんね。イタリア人男性のお洒落はどうですか?
シモーヌ:僕にしてみれば、イタリア人男性はもっとクラッシックだと思う。決まったルールに従っている感じがするね。常に紳士であるべき、とでも表現するかな。だからその何でも取り入れて、オリジナリティ溢れる日本人男性の洋服の着こなしがとってもオシャレだなって思うんだ。
この間イタリアに戻った時に東京で買ったド派手なスカジャンを着ていたんだ。イタリア人男性が僕のスカジャンを見た時の反応がすごかったよ。皆、目を見開いてビックリ顔でこっちを見るんだよ。見ず知らずの人から、「あ! ジミー・へンドリックス(注:ギターの神様と言われたギタリスト)が来た」とか、「君はロッキーなの?」とか言われたんだ。「アメリカのロックスターか映画俳優みたいなド派手な格好している君は、何者なの?」みたいな感じで。イタリア人の僕が自由なオシャレをしていたから、びっくりしたのかもしれないね。
シモーヌさんの幸せの秘訣
レスポートサックとのコラボで生まれたバッグは大人気! |
カオリ:では、最後にシモーヌさんの幸せの秘訣を教えてもらえますか?
シモーヌ:秘訣? 夢をあきらめずに追い続けること、かな。
カオリ:それって、とってもシンプルなことのようで難しいですよね。 シモーヌ:もしかしたら叶わないかもしれない、って弱気になっても「夢は必ず叶う」って信じるんだ。信じて信じて、とにかく信じる! 僕も子供の頃からの夢を叶えることができたんだから、みんなだってできるはずだよ。子供の頃から夢だったこの仕事は、僕にとって世界中で一番素晴らしい職業だと心底思えるよ。だから僕はとってもハッピーなんだ。
カオリ:実際に夢を叶えた方から言われると、なんだかとっても説得力がありますね。私もシモーヌさんとお話していたら、「夢は叶うんだ」って不思議と思えてきます。今日はとても楽しかったです。どうもありがとうございました!
次回は一体、どんな幸せゲストのお話が聞けるのでしょうか? 次回の幸せのオーラをお楽しみに!
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