編集部: ハワイも日系移民が多く彼らが偏見と戦ってくれたおかげで今私たち日本人が平和に暮らせるわけですが、日系人の人たちに関してどう思われますか?
石井裕也監督(以下監督): (日系移民に関しては)色々おもうこともありますし、カナダの移民史なんですけど結構そちら調べたんです。この映画の中では、(白人から)いかに嫌ななことをされたりとかつらい思いをしたことにももちろん少しは触れているんですけども、それよりもその中でいかに生きたとかいかに発奮したとかいかにふんばったとかいうことを、表現したと思うんですよね。それを観て頂ければむしろ楽しいというよりは元気がでるのではないかと思いますね。
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編集部: 日系移民の背景をどうやって調査、勉強されたのですか?
監督: 特にバンクーバーの移民の話は難しくて、なぜかと言うと戦争で町全体から日系人が強制収用されたので資料をほとんど取っていなかったんですよね。なので集められるだけの文献と当時の新聞を全部調べて、足りないところは想像力で補填しています。
編集部: 素晴らしいですね。
編集部: 妻夫木聡さんとは今回で2度目のタッグだそうですがいかがでしたか?
監督: 彼は最高の俳優でしかも自分だけ目立てばよいという俳優でなくて、周りの人を引き立たせるという能力を持っている人なんですよね。だからこういう群像劇(同じ出来事を複数の人物の目線で描く手法)などをやるとすごく輝くというか、周りの役者さんも輝かさせる俳優だと思いますね。撮っていて面白いし、またいつか機会があればぜひ一緒に仕事したいと思います。
編集部: (出演者は)皆さん全員野球が得意なんですよね?
監督: はい。妻夫木さん以外は(笑)。
編集部: 一番好きな映画は何ですか?
監督: チャップリンですね。
編集部: ハワイが舞台の映画で好きな映画はありますか?
監督: 記憶にないです。
編集部: 笑。
編集部: 若くして映画監督の道で成功されている石井監督からこれから映画の仕事を目指す若者たちにアドバイスをお願いします。
監督: 自分ではあんまり成功しているという自覚がないんですけどね。本当に映画って難しくて、芸術という側面とビジネスという側面もあるんですよね。どちらも求められるので、難しいとはおもうんですが、うまくバランス感覚を保ってやっていくしかないのかな、と思いますね。
編集部: 努力も必要ですか?
監督: もちろんです!
編集部: 奥さま(満島ひかりさん)とハワイに来る予定は?
監督: そうですね。機会があれば。
編集部: ありがとうございます。
監督: ありがとうございました。
●インタビューを終えて… 「30才という若さで日本映画界でたくさんの賞を受賞した監督ってどんな人物だろう?」と最初やや緊張気味の編集部員でしたが、実際監督にお会いしてみると全く気取がなくざっくばらんで優しかったです。先行上映を観た同僚の日系3世の女性は、「日系人の歴史がすごく良く表現されていた。カナダで強制収用があったことを知らなかったのは、日系人として恥ずかしい。」と話していました。私もおすすめの作品です。彼のほかの作品ももっと観てみたいし、日本を代表する監督さんとして今後もがんばって欲しいですね。
●ハワイ・インターナショナル・フィルムフェスティバル(HIFF) ハワイの人々のメディアへの関心を高め、映画を通じてハワイと太平洋の国々の文化の架け橋となるべく、1981年にスタート。毎年10月末~11月にハワイ各島で催され、オアフ島での会場はリーガル・シアター・ドールキャナリー18やココヘッドシアターなど。アジア各国やヨーロッパの200本近くの映画が上映される。また、メディア向けの様々なクラスなども設けられハワイで映画製作に携わろうとしている人々にも多大に貢献。文化的評価も高い。
電話:(808) 447-0577 ホームページ(英語):www.hiff.org 上映スケジュール&チケット購入(英語): www.hiff.org/program/schedule
(2014年11月更新)
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