クラス感のある別荘を週単位で所有するというバケーション・スタイルとして定着しつつある「タイムシェア」。「ハワイに別荘を持ちたい!」とか「今年の休みはカリブ海でクルーズ、来年はカナダでスキー」などの夢を実現してくれる「タイムシェア」のシステムは、世界中で1兆円以上もの売り上げを誇る一大産業に成長しています。現在、世界中の90ヶ国以上の国に約5,500以上の「タイムシェア・リゾート」が存在するといわれています。暮らす感覚のステイを約束してくれるだけでなく、世界中のいろいろな場所のリゾートやクルーズとの交換もできる画期的なこのシステム。ハワイ旅行のリピーターにも「ハワイにはたまにしか来ない」という人にも人気の「タイムシェア」とは何か、そしてどういう使い方があるのか、などを徹底的に解剖していきます。
タイムシェアって何?
「タイムシェア」とは、ひとことで言うと「リゾート物件を1週間単位で所有できる権利」のこと。「バケーション・オーナーシップ」や「ホリデー・オーナーシップ」などとも呼ばれています。宿泊施設の種類は、ホテルの部屋からデラックスなコンドミニアムだけでなく、山小屋から一軒家の豪邸やお城、大型クルーズ船やヨットまでいろいろなタイプがあります。 「タイムシェア」のお値段はリゾート施設のタイプなどによって違いますが、アメリカ国内では1つの物件を1週間利用できる権利が約2万ドル以上から売り出されています。一般的には年間だいたい500ドル程度の管理費がかかりますが、オーナーになると5〜7ドル程度の宿泊税を払うだけで、宿泊費はもちろんタダ。 「オーナーになる」ということは、購入した物件が不動産として正式に登記されるため、資産として相続することもできるし、もちろん売却することもできます。日本国内のリゾート会員権などと根本的に違うところは、1つの物件の1年の利用権を1週間づつに区切り、そのうち51週が売り出され、オーナーは51人までに限られていること。ちなみに、1年間に1週間だけは部屋の改装や修理にあてられることがアメリカの法律で義務づけられています。つまり、オーナーシップなので会員権の過剰売却などによる問題は起きず、資産性も大きいと言えます。 |
タイムシェアの歴史
「タイムシェア」のアイデアは、フランスやスイスが起源だとされています。1960年代にフランスのアルプス山脈でスキー・リゾートを経営するポール・ドゥミエール氏が「ホテルを買うほうが、部屋を借りるより安いです!」というキャッチ・フレーズで売り出したのが「タイムシェア」のそもそもの始まりともいわれています。 アメリカでは、一番最初に販売されたタイムシェアは1969年にコンドミニアムの賃貸を週単位で行ったハワイ・カウアイ島の「カウアイ・カラニ」。その後、カリフォルニア州のレイク・タホで1973年に正式に「タイムシェア」の不動産としての登記がはじまり、「タイムシェア」の土台が整っていくとともに、この考え方が一般的に浸透していくことになります。 |
「タイムシェア」ってどんなシステム?
現在では、「タイムシェア」のブランドによって、ポイント制を導入しているところが多くあります。つまり、所有する1週間をポイントに置き換え、違うタイプの部屋やクルーズ、航空券、世界の他の都市の系列ホテルなどと交換できるシステムが主流。たとえば、ハワイで海が見える2ベッドルームのコンドミニアムの「タイムシェア」を1週間購入した場合、それをポイントに換算して、海が見えない部屋などカテゴリーを下げて長く滞在したり、大型客船クルーズやヨーロッパやアジアの提携ホテルと交換したりすることができるのです。 また、「タイムシェア」に「いつ泊まるか」に関して、「フィックス」と「フロート」の2種類があります。「フィックス」は文字通り「決まった」時期に滞在する「週指定」のオーナーシップ。部屋をより確実に確保できるため、仕事などの関係で決まった時期しか休みが取れない人には便利なタイプといえます。「フロート」は、予約によって滞在したい週を指定するタイプです。 さて、ここでハワイでホテルに滞在するのとタイムシェアに滞在するので具体的にどこがどう違うのか比べてみましょう。 |
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いろいろあるタイムシェア・ブランド
「タイムシェア」は、ブランドによってそれぞれ違う特典があります。例えば、「ヒルトン・グランド・バケーション・クラブ」では世界中にあるヒルトン系列のホテルやタイムシェアとの交換利用が可能。また、前後1年のポイントを使って部屋をアップグレードすることもできます。 「マリオット・コオリナ・ビーチ・クラブ」では、購入した期間が1週間なら、3泊と4泊に分けて年2回の滞在が可能で少人数の宿泊の場合、1つのベッドルームを使わなければ、滞在期間を倍の2週間に延長できる「ロックオフシステム」もあり、それぞれのリゾートシーンによってお得に使い分けることも。 このほか、マウイ島にある「タイムシェア」としては、シェラトンやウェスティンなどのホテルリゾートを展開する「スターウッド・ホテル&リゾート」の「ウェステイン・カアナパリ・オーシャン・リゾート・ヴィラ」があり、こちらもヨーロッパ、オセアニア、アジアなど世界中にある系列ホテルでの宿泊が可能です。 「タイムシェア」の一番の魅力は、それぞれのブランドが加盟するネットワークの他のリゾートとの交換利用もできるという点。ヒルトンが加盟するリゾート・ネットワーク組織RCI(Resort Condominiums International)には、ハワイ州だけで約70のリゾートが加盟しており、全体では約3,700ヶ所ものリゾートがあります。マリオットやスターウッドなどが加盟するII(Interval International)には44のハワイ州のリゾートが加盟、全体の数も約1,900ヶ所となっています。どちらも、加盟しているリゾートでの交換利用が可能なので、その時々によって行き先を変えられます。つまり、系列ホテルの規模や提携先のリゾート・ネットワークが大きければ、バケーションの交換先の選択肢も増えるといえます。 |
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