North Shore farm offers locally grown fresh produces and made-in-Hawaii products
「カフク」と聞いたらまず思い浮かぶのが「カフク・シュリンプ」ですが、ノースショアにある小さな町カフクはオアフ島の食卓を支える農業地帯としても知られています。では、いったいどんな農産物が栽培されているのでしょうか? Myハワイでは今回、オアフ島有数の大規模農場「カフク・ファームズ」を実際に訪れて取材してきました!
オアフ島東海岸からカフクへのドライブ
この日の朝、ホノルルでは空に暗い雲が立ち込め雨がポツポツ降っていました。リケリケ・ハイウェイも雨でしたが、コオラウ山脈を越えてカネオヘのカへキリ・ハイウェイに入るとお天気は次第に良くなっていきました。
「ノースショアに行くのにカネオヘ?」と思われるかもしれませんが、オアフ島最北端地域に位置するカフクはハレイワ側からかなり離れているので、交通さえスムーズならばホノルルから行く場合は東海岸側から行ったほうが早く着く場合も多いのです。この日は私が住むホノルル西側のエリアから東海岸を北上し、約1時間程度でオアフ島北端にあるカフクまで着くことができました。
それに、海辺を走るオアフ島東海岸のドライブは景観が素晴らしく最高です。緑深い1レーンのカメハメハ・ハイウェイをカフクに向かって北上。クアロア・ランチを過ぎると別世界のような美しい海が右手に広がります。上の写真はカフクの一歩手前、ライエにあるビーチです。
カフクに行く場合、行きはこのルートで行き、帰りはそのままハレイワ方向にカメハメハ・ハイウエイを進んで行くとスムーズなようです。このルートで行くと、行きは東海岸、そして帰りはノースのサンセットビーチからワイメア・ベイ、そしてハレイワの景観が楽しめます。
カフクからホノルルへの帰りにハレイワ・タウンに寄ってショッピングするのも楽しいですよ!
カフク・ファームズの歴史と栽培する農作物
さて、今回農場のナビゲーター役を務めてくれたのは、カフク・ファームズの次世代オーナーで、現在はファームカフェと農場ツアー部門の経営を管理するカイリー・マツダ・ラムさんと、夫のジューダ・ラムさんです。
カフク・ファームズは、もともと現地で農業を営んでいた日系人のマツダ家とフクヤマ家が1995年に事業を合併して創業された大農場です。
現在はカフクとノースショアのワイアルアに合計300エーカー(約1.2平方キロメートル)の農地を州などから長期リースし、パパイヤ、アップルバナナ、ナス、タロの葉(ハワイアンフードのラウラウを包むための葉)などを主に栽培しています。
また農場内のカフェで使うリリコイ(パッションフルーツ)やレタス、ケール、アサイーなどを栽培しているほか、最近はチョコレートの原料であるカカオの栽培にも力を入れているそうです。
カイリーさんはマツダ家の4代目として夫のジューダさんと共に次世代のカフク・ファームズを担う身。新しい農作物の栽培や、農作物を使用した製品の開発に力を入れるほか、農場内のワゴンツアーやカフェの運営を通し、人々に農作物が栽培・消費される現場を知ってもらう努力を行っているそうです(ツアー日程については下記をご参照ください)。
カフク・ファームズで栽培・収穫された農作物は、農場内の売店のほか、オアフ島のスーパーマーケットや土曜日朝に行われるKCCファーマーズ・マーケットでも購入することが出来ます。
農場で栽培されたカカオでチョコレート作り
カイリーさんとジューダさんは、この日まずカカオ栽培と収穫の現場に案内してくれました。最初に向かったのは収穫したばかりのカカオの実が保管されている農場のウェアハウス。
様々な色をしたカカオの実。色の違いはカカオの品種によるものだそうです。なんとこれで300キロ 近くありますが、「たくさん獲れても、使えるのはほんの一部分だけなんですよ」とジューダさん。パカッとカカオの実を割ると、中の種を見せてくれました。
カカオの実の中身はこのようになっています。
ジューダさんはMyハワイ編集部員に種を食べてみるように薦めてくれました。種を包む白っぽい部分はリリコイのようで甘酸っぱくなかなか美味。しかしチョコレートになるにはこの部分ではありません。
ガリっと種を噛むと、その中には苦みのある部分が! ジューダさんは、「チョコレートに使うのは、その種の中の苦い部分だけです」と言います。大きなカカオの実からこんなに小さな部分だけを抽出してチョコレートを作るのは大変な作業です!
種の部分はまずこのバナナの葉を敷いた箱の中で発酵させるそうです。実は、カフク・ファームズ内でチョコレートを作る試みはこの日が初めてということで、緊張感が漂っていました。
次に連れて行っていただいたのはカカオの果樹園。
カフク・ファームズでは現在、1エーカー(約4,047平方メートル)近くの果樹園でカカオを栽培しています。栽培を開始したのはおよそ11年前のことだそうですが、最初の6年間はメンテナンスのみで収穫がなかったそうです。ジューダさんは「農作物は栽培を開始してから収穫まで時間がかかるので、長期的なビジョンを持って考えなければならないんです」と話していました。
こちらがカカオの花。こんなに小さくて可愛い花から大きなカカオの実がなるなんて想像し難いですよね。この花は小さすぎるため、ミツバチでは受精できないそうですが、「ユスリカ(Midge)」という目に見えないほど小さな虫が受精してくれるのだそうです。
カカオの花が受精してから約6ヵ月で実が収穫できるそうです。「実を振ってみてカラコロ音がしたら収穫時です」とジューダさん。振ってみると本当に中で何かが動くような音がしました。
なんと、こんな木の根の近くにまでカカオの実がなるなんて初めて知りました! 花の中でもうまく受精しなかったものは「木が自然に枯れさせるんですよ」だそうです。弱い生物はこうやって淘汰されてしまうのですね。自然の摂理は不思議です。
気候的に、ハワイはカカオを栽培できるアメリカ国内唯一の州だそうです。「ワイナリーで有名な北カリフォルニアのように、ハワイをチョコレートで有名にしたい」というのがジューダさんとカイリーさんの目下の夢だとか。
カカオが実をつけるようになってから、今までは同じノースショアにある他社がカフク・ファームズ・ブランドのチョコレートを代行して作っていました。その間に2人はチョコレート作りのノウハウを学び、今後は農場内でチョコレート作りの実験を開始していく予定だそうです。
また、カカオの栽培現場の見学や、チョコレート作り、テイスティングが体験できるツアーの実施も計画しているそうですよ!
こちらが大変な労力を経て完成した高品質のハワイ産チョコレート(カカオ純度70%)。
チョコレートは現在小売店等では販売しておらず、カフク・ファームズでのみ購入することが可能です。正真正銘のハワイ産カカオを100%使用して作られたチョコレート($10)、ぜひ試してみてくださいね。
ハワイ産アサイー使用のアサイーボウル
チョコレートのほかに、カフク・ファームズが栽培している珍しい農作物はあの「アサイー」。アサイーといえばもちろんアサイーボウルが思い浮かびますが、アサイーがどんな木になる実で、そしてその実の原型がどんな形なのかを知る人は少ないと思います。カフク・ファームズは現在、ハワイで唯一アサイーを商業栽培する農場です。
ということで、Myハワイ編集部チームはツアー用ワゴンに乗ってアサイー栽培現場を見学してきました。 こちらがアサイー栽培の現場です。アサイーの実は「アサイーベリー」と呼ばれているため、何となくイチゴのように実がなると思ってしまいますが、実は「アサイーパームツリー(Acai Palm Tree)」という椰子の木になるのです。ブラジルから輸入したアサイーの苗を植えて栽培し、実がなるまでなんと8年もかかったそうです。
こちらがアサイーの実。私たちが普段食べているアサイーボウルは、こんな風に木に実ったアサイーベリーから作られているのですね。とはいえ、こちらはまだ青い実で収穫は出来ません。
こちらが熟したアサイーの実です。食べられるのは皮の部分だけで、残りの部分は食用に出来ません。私たちが普段食べているアサイーが皮の部分だったとは驚きです!
こちらはハワイ産アサイーを使ったカフク・ファームズのアサイーボウル($10)。
さすがに、自家製アサイーを使っているだけあってフレッシュな味わい! アップルバナナも農場内で栽培したもの、そしてはちみつも農場の養蜂場から採れたハチミツを使うというこの「究極の地産地消アサイーボウル」、ぜひファームカフェでトライして欲しいアイテムの1つです。
アップルバナナとパパイヤ栽培の現場を覗いた!
アサイー栽培の最前線を見た後はアップルバナナの果樹園へ。アップルバナナはハワイでよく栽培され好まれている品種で、普通のバナナより小さめでリンゴのような爽やかなフレーバーが特徴です。カフク・ファームズではこのアップルバナナが主要農産物となっています。
ワゴンは鬱蒼としたバナナの木のトンネルを抜けて進んで行きます。
こちらはアップルバナナの花のつぼみ。小さなバナナからは想像が出来ないほどつぼみは巨大でした(笑)。30㎝程度はあるでしょうか。
この花の上にバナナの房がこのように実るわけですが、普通はこの花を切り取るそうです。ハワイの農業の現場が見られるツアー、普段暮らしている上では知ることの出来ない知識が学べて本当にためになりますね!
バナナの木には何と1度しかこの房がならないそうで、収穫した後は木を切って次の世代のための肥料にします。何でも無駄にはせず、土に還して栄養にするなどしてリサイクルするのがカフク・ファームズの方針なのです。
ちなみに先にも紹介したように、バナナの葉は今後カカオの種を発酵させるためにも使われるそうです!
バナナのトンネルを抜けて、ワゴンはパパイヤ畑へ。
パパイヤには雄の木、雌の木、そして両性の木があり、ジューダさんによると「雄の木は実がならずまったく使えません(笑)」だそうです。雌の木は実がなるものの形がいびつだったりするそうで、売り物として使えるのは両性の木だけだとか。私たちが普段食べているパパイヤは両性の実だったのですね。
「木が雄か雌か両性かは花が咲かないと分かりません」とジューダさん。パパイヤの木を1本育てるにも様々なプロセスがあるのですね。
農業についてこのように様々な知識を得ることで、普段スーパーなどで何気なく購入している野菜やフルーツに改めてありがたみが生まれます。カフェでは農場で収穫したばかりのパパイヤやアップルバナナを購入することも出来ます。
アップルバナナはまだ緑色ですが、2~3日もすればちょうどよく熟れてきますので、滞在中ホテルの部屋に置いて、朝ごはん代わりやお腹が空いた時などに食べると良いかもしれませんね。
ファームカフェで美味しい軽食を
ツアーが終わり、ファームカフェへ戻ってきました。ここでは前述した通り農場で獲れたばかりの新鮮な野菜やフルーツを使った軽食が楽しめます。
テーブルはすべて日陰にありますので、緑を眺めつつ、農場を吹き抜けるハワイの風を感じながらのんびり食事をすることが出来ます。
ここで食べる料理やドリンクは軽食ですからシンプルなものであるとはいえ、すべてが驚きの美味しさ!「新鮮な食材を使った料理ってこんなに美味しかったのか…」と感動すること請け合いです。
先ほどご紹介したアサイーボウルの他に、Myハワイ編集部のおすすめメニューは…
まずはこちらのスムージー。左は「リリコイジョイ(Lilikoi Joy)」、右は「トロピケール(Tropi-Kale)」で、値段はどちらも$5.25。自家製の果物や野菜を使っていることもあってか、お値段は他店のスムージーに比べるとかなりリーズナブルです。
編集部員のお気に入りは右のトロピケールで、毎回カフク・ファームズに来るたびにこれをオーダーします。名前の通り、ケールと、アップルバナナ、パイナップルジュース、ハウピア(ココナッツ)が入っていますが、これが濃厚で美味! 体のすみずみまでビタミンが行き渡るようなリフレッシュされた気分になりますよ!
そして下は大評判の「グリルド・バナナブレッド(Grilled Banana Bread)」($5.50)。
バナナブレッドももちろん農場内のキッチンで焼いたホームメードです。使用するのは言うまでもなく自家製のアップルバナナですが、販売するには熟しすぎていたり、形が悪かったりするものをこちらのバナナブレッドやスムージーなどに使うそうです。
バナナブレッドにはハウピアソースとキャラメルソースをたっぷりかけてくれます。ハウピアソースは甘すぎずココナッツのフレーバーがとってもリッチ。バニラアイスクリームは$1.50でプラス出来ます。
次は、カフク・ファームズに来たからには見逃せない(食べ逃せない?)こちらのパパイヤ。
完璧な状態に熟した甘いパパイヤにリリコイシャーベットをのせていただきます。リリコイの甘酸っぱさがパパイヤの甘みとマッチして何とも言えません! これで$4はとてもお得感があります。シャーベットの代わりにアイスクリームを選ぶことも出来ますよ。
天候が乾燥していることも多いノースショアでは欠かせないのがこちらの冷たいドリンク類。左は「マンゴーアイスティー(Mango Iced Tea)」($3)、右は「フレッシュ・スクイーズド・レモネード(Fresh Squeezed Lemonade)」($3.50)。ビーチの後に喉を潤すのに最適です。
野菜を食べたい人におすすめなのはこちらの「ファームピザ(Farm Pizza)」($9.25)。農場で採れたトマトとナスのブルスケッタにバジルとマカダミアナッツ入りペストソースをたっぷりかけたものです。サイドにサラダも付いて、旅行中野菜不足という方にぴったり。サクサクしたピザと具との相性も最高です。
さて、軽食やドリンクでお腹が満足した後はカフェの売店でお土産を物色してみましょう!
こちらはパンケーキやアイスクリームにハワイの味をプラスできるリリコイ・シロップ($11.50)。お土産にも喜ばれそうですね。
そして、農場で蜂たちが一生懸命作ってくれた正真正銘地産のハチミツ($6)。こちらもパンケーキにかけると美味なほか、レモネードや料理にも活用出来そうですね。編集部員はアップルバナナと共にプレーンヨーグルトに入れて食べています。
甘酸っぱいフレーバーに頬っぺたが落ちそうになるこちらのリリコイ・バター($6)。リリコイはもちろん自家栽培のものです。トーストやマフィン、パンケーキなどに付けるととっても美味で、1回買ったらもう虜! 編集部員もリピーターになりました。
上記の他にもリリコイ・ドレッシングやリリコイ・ジャム、パイナップル・パパイヤ・スプレッド、バニラ・キャラメルなどの食品のほか、Tシャツやエコバッグ、ボディ&バス用品なども販売しています。100%メイド・イン・ハワイのアイテムの数々はお友達や同僚へのバラマキ土産としても喜ばれそう!
いかがでしょうか? ハワイ旅行中にノースショア観光を予定の方、ぜひカフク・ファームズにも寄ってみてください。自然の中で楽しむ農場体験は、大人にとっても子どもにとっても目からウロコの新発見の連続! きっと素敵なハワイの思い出になるはずです!
(※注:記事中の価格はすべて2018年6月現在のもので税抜き表示です)
◎ファームツアー
グランド・ツアー(フルーツのサンプリング付き)
毎週金曜日14:00~(約1時間)、大人$32(13才以上)、子ども$22(5~12才)、4才以下無料(ツアー参加のみ、フルーツサンプリングは$4)
スムージー・ツアー(約30分、スムージー1種付き)
毎週月・水曜日13:00~(約30分)、大人$16(13才以上、子ども$14(5~12才)、4才以下無料(ツアー参加のみ、スムージーは$4)
(※事前にインターネットで予約した場合は1人につき$2ディスカウントあり)
◎カフク・ファームズ
Kahuku Farms
場所:56-800 Kamehameha Hwy., Kahuku, HI 96731(ロミーズ・シュリンプ向かい)
電話:(808)628-0639(ツアー予約)、(808)293-8159(カフェ)
営業時間:水~月曜 11:00-16:00
定休日:火曜
ウェブサイト:http://www.kahukufarms.com/
Yoshiko said on 2018年06月21日
コメントをいただきありがとうございます!
カントリーの景色と美味しい農産物が楽しめる素敵な農場です。
ぜひ訪れてみてください! Myハワイ編集部
匿名 said on 2018年06月16日
今回のカフクファームの記事はさいこうでした。映像も美しい、奥さんも美しい!
息子が農学部出身で、日本の京都の田舎で農業をやっているので、次回 渡ハ の際
見学に連れて行きます。