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ハワイ歩き方事務局

ハワイ島 コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー園

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2003年03月02日

ワイキキはもちろん、オアフ島を制したら、未知の魅力にあふれるネイバーアイランド(隣島)へ飛び出してみませんか? 極上のリゾート、どこか懐かしいオールド・ハワイ、ダイナミックな自然… ネイバーアイランドには新たな発見がいっぱいです。このコーナーでは、そんな素敵なネイバーの魅力をお届けします。

コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー園

Kona Coffee Living History Farm


70年前のコーヒー園生活を垣間見ることができます

コナに広がる「コーヒー・ベルト」
ハワイ島と言えば「コーヒー」の産地。島の南西部、フアラライ山とマウナケア山の西の裾野には、幅約1.6Km、長さ約32Kmにわたって「コナ・コーヒー・ベルト」と呼ばれる土地が広がり、1年を通して温暖なこの地域にコーヒー園が密集しています。現在も活動を続けるマウナケア火山の斜面に守られ、陽光をいっぱいに浴びてスクスクと育つコーヒーの木々。肥沃な土壌にしっかりと根を張り、真っ赤な実をつける木々の傍にはいつも、ともに大地に根ざして木々を愛しみ、時には牙を剥く自然と折り合いをつけながら、たくましく暮らす人々がいます。そこでは、コーヒー栽培に情熱を傾ける人々の知恵と、素朴で豊かな彼らの暮らしを垣間見ることができます。


園内に今も建つウチダ邸の子供部屋。保存状態は驚くほど良好

今もコーヒー園として収穫を上げつつ、昔ながらの農家の暮らしを保存し、一般に公開しているのが「コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー農園」。通称「ウチダ・ファーム」です。「コーヒー園散策」と聞いて、「だだっ広い土地に茂るコーヒーの木を見て、何が面白いのか」と思わないでくださいね。この農園では、1925年から45年頃の初期日系移民のコーヒー園生活に触れることが一番の狙いなのです。コーヒーそのものより、それを栽培する人々の暮らしぶりが興味深いのです。ツアーを申し込むと、12名までの小グループにガイドが1人付き、約2時間かけて案内してくれます。通常のガイドは英語で行われますが、早めに申し込んでおくと日本語を話すガイドの手配も。とはいえ、日系農園だけあって、英語ガイドでも日本語の言葉が頻出しますので、特に言語にこだわらない方は是非、英語ガイドを利用してみてください。


園内で採れる野菜を道端で売ることも

ウチダ・ファームは、その名の通り、ウチダ氏によって管理されていたコーヒー園。ただし、土地の所有者はウチダ氏ではなく、小作農であったウチダ氏は地主から土地を借り受け、そこで典型的な日系移民の農園暮らしを営んでいました。ウチダ・ファームで栽培されているコーヒーは主に、甘い香りとキリリとした酸味が特徴の「ガテマラ」と豊かな芳香と円熟味のある味わいで人気のある「アラビカ」の2種。園内にはそのほか、干ばつや不況に備えて、コーヒー以外にもトマトやゴボウ、キュウリなどの野菜やバナナが栽培されています。あまりに色々なものが栽培されているので、「ここは確かコーヒー園じゃ…」などと、いぶかることもしばしば。


工夫を凝らした道具の数々。ガイドの後方にあるのが「ひねり」機能付き梯子

●農園生活には知恵がいっぱい
しばらく進むと、昔から農園で使われてきた道具を見せてくれ、ガイドが使い方を実演してくれます。通常の梯子に「ひねり」の機能を加えて凹凸のある山の斜面でも使えるよう改良した足場や、高い枝をたぐり寄せるための「カギ」と呼ばれる道具など、容易く手に入る材料に工夫を凝らして、作業効率をグンと上げる様子に思わず拍手。こうした道具類もさることながら、農園の作業に欠かせないのが働き者の「ドンキー(ロバ)」。収穫したコーヒーの実を背負って運ぶのが仕事です。ロバは馬よりも経費がかからず、山道に強いという利点のほか、馬よりも背が低いのでコーヒー豆の詰まった重い袋を苦労して上げ下げしなくてよい、というメリットがあります。豆袋を背負って健気に山道を行くこのドンキーは、農園の人々から親しみを込めて「コナ・ナイチンゲール」と呼ばれています。


ウチダ邸で見つけた昭和8年11月3日の東京朝日新聞

●ハイライトは「ウチダ邸」と「製豆場」見学
次に案内してもらうのがツアーのハイライト、「ウチダ邸」と「製豆場」見学です。1925年にこの家が建てられた当時の面影をそのまま残すウチダ邸は、「日本昔話」の世界そのもの。75年前にタイムスリップしたような趣が溢れています。ここに、ウチダ氏は妻と3人の子供と一緒に暮らしていました。当時は飲料水を雨水に頼っていたため、屋根の周囲にはガーターが廻らされ、雨水は大きな瓶へ。玄関をくぐると左手に居間があり、そこには畳に座布団、セピア色の遺影が… 「ウーン、何とも不思議な気分」。居間から時計回りに書斎、ウチダ氏の部屋、裁縫部屋、子供部屋、台所へと通され、数十年前の日本の薬や黄ばんだ書籍、使い込まれた鉄製アイロンなどを見るにつけ、ウチダ氏と奥様、子どもたちの声がふと耳元に聞こえてくるような錯覚に陥ったり… 母屋とは別に洗濯場と風呂、厠が外にあり、檜風呂を沸かすために農園から調達してきた薪も積み上げられていました。


屋根を押して開閉できる屋上で豆を天日干し

家の近くには製豆場があり、ここで収穫した豆の皮を除いて洗浄し、天日干しにします。製豆場では、まずグラインダーで皮と胚珠を分け、水を張った大きなタンクの中で胚珠を洗浄します。ひと晩水に浸け、朝になるとスクリーンの上に移して脱水し、屋上で天日に干します。が、ここでちょっと注意。コナは毎日のように激しいスコールに見舞われる土地。せっかく天日干しにしている豆が雨水に濡れてしまっては台無しですよね。では、「干している豆を雨水から守るにはどうするか?」。これには驚きの「仕掛け」があるのです。なんと、屋根がスライド(しかも手動)するんです?! ガイドが実際に屋根を動かしてくれますが、これには参加者一同驚き!


「コナ・フレーク」と呼ばれる雪結晶のようなコーヒーの花

最後に、「テナント・ファーマー」として、ウチダ氏と一緒に農園で働いていたシライ氏の住居跡へ案内してもらいます。第二次世界大戦中は防空壕として使われていたというのもうなずける地形には、現在は建物の影も形もありませんが、良く見ると周囲に茶碗の欠片などが見つかり、人の住んでいた気配が今も残っています。シライ邸を後にするとツアーも終了。「コナ・フレーク」と呼ばれる雪の結晶のような花をつけるコーヒーの木立をぬって、ツアーの感想を語り合いながら、歩くことしばし。「コーヒー園ってこんなに面白い所だったんだ」。その通り。「農園暮らしって、ロマン」なのです。

コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー農園
場所:キャプテン・クックのママラホア(Mamalahoa)ハイウェイ沿い
電話:808-323-2006
営業時間:9:00-13:00(月〜金)
ツアー料金:大人1人$15、12才以下の子供1人$10
ホームページ(英語):www.konahistorical.org

(2003年3月取材)


ネイバーアイランドHOTインフォ

「コナ・ブルー・スカイ」のピーベリー。半ポンド$16、1ポンド$30

究極の味わい、「ピーベリー」

コーヒー豆は大抵1つの子房に2つの胚珠が入っていますが、3〜5%の割合で1つしか入っていないものがあり、これを「ピーベリー(丸豆)」と呼んで、通常の平豆と区別します。ピーベリーは平豆より味がまろやかになり、高値で取引されます。
ピーベリーをお探しの方は「コナ・ブルー・スカイ・コーヒー」がオススメ。香り高い上質の豆を、その日出荷する分だけ自家焙煎しているこの農園は、徹底的な鮮度へのこだわりが自慢。お求めは当コーヒー園のビジターセンターか、「ワイコロア・ビーチ・マリオット」内のショップでどうぞ。

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