 ワイメア・ベイの波は高いことで有名です |
ビッグ・ウェーブにちなんだ大会「Eddie Aikau」 この時期に開催されている他の大会で「クイック・シルバー・エディー・アイカウ・ビッグ・ウェーブ・イベント」があります。エディ・アイカウは、ワイメア・ベイで生まれ育ったハワイアン。40フィートの波が来たときにも、普段のようにサーフィンを楽しんだという逸話が残っています。ライフガードとして、ワイメアの海で危険に晒された多くの人達の命を助けました。彼が乗ったカヌーが転覆、一緒にカヌーに乗った人々を助けるために、ラナイ島まで救助を求めて、荒れ狂う海にひとりサーフボードと共に飛び込み、そして帰らぬ人となりました。その彼を讃え、ビッグ・ウェーブが来た時に開催されるのがこの大会です。この大会は20フィート以上の波が続いたときだけに開催されるもので、時によっては開催が見送られる場合もあるということです。
今年、その大きな波は12月15日、ワイメア・ベイに押し寄せました。誰もが驚くほどの波、それは20フィート(約6メートル)。6メートル、水平に6メートルだとなんとなく分かりますが、それが垂直に伸びるとどれくらいでしょう。私は160cmですから、なんと3.75人分.. ほぼ4倍の高さです! 実際の映像や写真を見ていると、サーファーは常に膝を曲げて安定する姿勢をとっているので、それよりもずっと高い波のような気がします。その巨大な波を制覇したのは、あのアンディ・アイロンズ選手の弟、ブルース・アイロンズ選手。これほど大きな波が押し寄せたのもここ最近では珍しかった模様。道路にまで波が打ち寄せた写真が、新聞にも掲載されていました。今年のこの大会、後々にも語り継がれるでしょうね。
 (1)が標準、(2)がハワイ式 |
20フィートの波 −波の測り方− ところで、波が20フィートだった、という言い方をしましたが、これは一般的な測り方に基づいた数値。実はハワイ、特にノースショアのサーファー達の間では、波の高さの測り方が違います。言葉の説明だけでは分かりづらいので、右に図を載せました。一般的な計測は、(1)の方です。波の前面から見てボトムラインと、波のピークとの差を波の高さとします。ハワイでは(2)のように、波の背中側(沖の方)から見て、ボトムラインと波のピークとの差を測ります。通常20フィートでも、ハワイの人たちに言わせると、それは10フィートぐらい。彼らが「5フィートの波」と言った時に、「1.5メートルくらいなんだ」とは思わないように! 実際の数値はハワイの2倍ほどになります。「それくらいの波だったら、私も経験したわよ」なんて言ったら、初心者には恐いところに連れて行かれるかもしれませんよ… しっかり、確かめましょうね、それがハワイ式の測り方かどうか…
どうしてこのように計測方法が違うのか、を調べてみたのですが、実際のところは分かりません。海に浮いたことがある人なら誰でも想像できると思うのですが、実際に波の背側(沖側で盛り上がっている方)からでは本当の波の大きさは分からないと思いませんか? 迫ってくる波がないので、実際にはピークの部分に浮かんでいるだけ。波に押し上げられる感覚を手放しで楽しめます。でも、波の手前側(ビーチ側)に居る時には、迫立つ波の大きさに「キャー!」と悲鳴を上げた経験があるのではないでしょうか? それを考慮すると、やはり、波の高さの測り方はハワイ式だけが例外と言えそうです。
 ライフガードのサーフボードは黄色です |
ひとつ面白いエピソードがあります。ライフガード達がサーフ・レポートを作る際、波の高さを低く報告しておくと、彼らが監視すべき対象となる海水浴客たちが少なくなり、彼らがサーフィンする時間が増えるからではないか? ということでした。「本当でしょうか?」。本当だったら、ちょっと恐いですね。実際には波が高いのに、ライフガードは注意して監視してくれないの!? それとも、少々波が高くても必ず助けられるという、自信の表れなのでしょうか。
ちなみに、日本ではハワイ式ではなく、一般的に用いられている計測方法が用いられています。その他にも、Chest to Head などの言い回しがあるそうです。マトリックス(換算表)を掲載してみました。この言い回しを聞いて、「フン、フン」とうなづければ、あなたもサーファーの仲間入り!? 少なくとも、サーフィンを知っている、と思われること間違いなしです!
フィート
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メートル
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Body
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ハワイでは… (フィート)
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3XOH (3 Times Over Head) |
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20
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6.10
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19
|
5.79
|
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10
|
18
|
5.49
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Almost 3XOH (3 Times Over Head) |
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17
|
5.18
|
|
|
16
|
4.88
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2XOH (2 Times Over Head) Plus |
8
|
15
|
4.57
|
|
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14
|
4.27
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Double Overhead |
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13
|
3.96
|
|
6
|
12
|
3.66
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Almost 2XOH(2 Times Over Head) |
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11
|
3.35
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Overhead and 1/2 |
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10
|
3.04
|
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5
|
9
|
2.74
|
|
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8
|
2.44
|
Head to Overhead |
4
|
7
|
2.13
|
|
|
6
|
1.83
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Chest to Head |
3
|
5
|
1.52
|
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|
4
|
1.22
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Waist to Chest |
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3
|
0.91
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Knee to Waist |
1-2
|
2
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0.61
|
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1
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0.30
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Flat to Knee |
Flat
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トリプル・クラウンの試合の様子は是非、次の公式サイトをご覧ください。サーファー達の華麗な姿が目白押しです。 ◎ヴァンズ・トリプル・クラウン 公式ホームページ
クイック・シルバー・エディー・アイカウ・ビッグ・ウェーブ・イベントについてはこちらから。大会の様子をライブ・ビデオで見ることができます。英語サイトですが、迫力ある大会の様子をご覧ください。 ◎クイック・シルバー 公式ホームページ ライブ・ビデオ
ハワイの新聞にも、20メートルを越す高波の様子が大きく取り上げられました。「のんびり」ハワイではない、「猛々しい」ハワイの一面もどうぞ。 ◎ホノルル・アドバタイザー フォト・ギャラリー
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