本棚にしまわずに、いつも手元に置いている本があります。
幸田文著『季節のかたみ』
引越しのときに机の引き出しの奥深くに入り込んでしまったようで、先日引き出しが開かなくなってしまい、調べてみたらこの本が引っ掛かっていました。
手に取って、しおりを挟んでおいたページを開きます。
忘れないためにでしょうか、赤線まで引いてあります。
“季節の移りかわりを見るのが、私は好きです”
“心にしみ入るような、素晴らしい季節の情趣に出逢ったときは、ほんとうに嬉しゅうございます”
幸田さんは、誰かがふっと季節感のある話をしてくれたときに「手を取って一歩ひきあげてもらったような喜びがあります」と記しています。素敵な表現ですね。
ワタクシもこの時期、こういう風景に遭遇しますと、“一歩引き上げてもらった”感じがします。
車に積まれた大きなクリスマスツリー。
ツリーの帰りを待っている子どもたち…
ワイワイ言いながら飾り付けをして…
今年のクリスマスプレゼントは何が欲しいか、とか…
てっぺんの星を付けるのは誰か、とか…
この車が向かう先で、これから起きることを想像するだけで、少しワクワクしてしまいます。
わが家も今年は初めて大人サイズのクリスマスツリーを買いました。
ツリーを飾り付けながら、幸田さんの言葉を思い出します。
“(季節が)なによりも有り難いのは、前向きの心でいられることでしょうか。いつも変わり続け、常に新しく進みます”
この時期、やらなきゃいけないことに追われ、やり残したことを反省しながら、バタバタと新年を迎えるのが常ですが、今年こそは季節に感謝しながら、前向きな心でゆったりと過ごしたいものです。
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