自然を敬い、声なきものたちに温かな視線
100歳を超えても現役を貫いていた詩人のまどみちおさんが2月28日に亡くなりました。104歳でした。
「ぞうさん」の作詞で知られるまどさん、私も大ファンで、ずっと昔に買った『まど・みちお全詩集』をいまでも手元に置いて大切にしています。動物や植物、ときには石ころといった声なきものたちに向けられた温かな視線とは逆に、われわれ人間には、「ハッ」とさせられるような厳しいメッセージを送り続けてくださいましたよね。自然を敬うまどさんの詩は、古代から美しい自然と調和し、ともに生きてきたハワイアンの人びとの思いを代弁しているような気がしてなりません。
ハワイの空に架かる虹を目にするたびに、私はまどさんのある詩を思い出します。そして自分のしてきたことをそっと反省するのです。
「虹」というタイトルのこの詩は、もし空を汚した人間だけしか住んでいないのだったら、虹など出ることはないだろうと詠っています。「ここには 何も知らない ほかの生き物たちが なんちょう なんおく 暮らしている どうして こんなに汚れたのだろうと いぶかしげに 自分たちの空を 見あげながら」。
そんな生き物たちのために、虹は出てくださっているのだと、まどさんはやさしい言葉でわれわれ人間をしっかりと諌めます。「その あどけない目を ほんの少しでも くもらせたくないために」と、虹の目線で…。
にわか雨が通り過ぎたハワイの空に、また大きな虹が架かりました。
(まど・みちお全詩集/理論社より一部引用)
コメントを残す