10年以上前に、フラマスターのジョージ・ナオペ氏より「マカナオカラニ(天からの贈り物)」というハワイアン・ネームを頂いてから、正に天からの贈り物のように、次々と奇跡的な出会いや出来事に導かれ、これまでハワイ文化を学んでくることができました。今では私の人生の一部となっているハワイ語の世界と、ハワイアン・カルチャーの素晴らしさを、皆さんにシェアしていきたいと思います。第一回はこちら。
かずこセリッグの「ハワイ語の世界」 第8回 ハワイ語の中にある隠された意味とは? その2
●ハワイ語に隠された意味、カオナ 今回のテーマは、前回に引き続き、「カオナ(kaona)」に代表される、ハワイ語の間接的な表現についてです。
それでは、なぜハワイ人は間接的な表現を好むのでしょうか? それは、言葉にはマナがあると信じられていたからです。「マナ」とは神から与えられる霊的な力で、言葉はひとたび口から出ると、ひとりでにマナを持ってしまうと考えられていました。叶えられることがなかった希望的な言葉を発すると、約束破りとして罰があたり、何気なく言ってしまった悲観的な言葉は、予言として現実となると恐れられていたのです。ハワイ人が言葉にとても慎重なのは、このためです。 |
●マナを逆手に取った名づけ方法とは?
しかしハワイ人は、言葉のマナに恐れていただけではなく、これを逆手にとったような工夫もしていました。おもしろいことに、精霊に狙われていると思われる、病弱な子供には、「眼やに」、「糞」など汚い名前をつけて守っていたのです! 汚い名前が呼ばれるたびに発生する言葉のマナに、悪い精霊は閉口し、子供から離れて行くのだといいます。そんな名前を持ったちょっと気の毒な子供たちは、無事成長すると、新しい名前をつけてもらうそうです。
さて、カオナに話を戻します。これまでハワイ語のカオナを見てきましたが、気をつけて見ると、日本語にもカオナが沢山あるんですよね。私は今、日本語の歌の翻訳をしていますが、今まで知っているつもりでいた歌には、たくさんカオナがあったのだなと気付づかされました。
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●カオナは日本語にもある
例えば、「赤とんぼ」。15で姉やは嫁に行き… 私はてっきりお姉さんが15才でお嫁に行ったと思っていたのですが、本当のところは、この歌の作者である露風が15才の時に、姉やがお嫁に行ったという意味だと、露風自身が語っています。そして姉やとは、本当のお姉さんではなく、子守りとして雇われていた少女だったと。となると、「夕焼け子やけの赤とんぼ、負われて見たのは…」とは、露風が幼いころ、子守りの姉やに背負われて赤とんぼを見たということになり、歌には母代りとなってくれた姉やとの思い出がつづられていることがわかります。子守りという日本の文化を知っていなければ、そして露風自身から話をきかなければ、本当の歌の意味が分からない点は、ハワイのカオナにとてもよく似ています。
カオナをもっと身近なものとして理解するには、自分で詩を書いてみることをお勧めします。日本語でもかまいません。言葉に自分と、近しい人にしか分からない「内輪」の意味をちりばめるのです。きっとあなただけの楽しい歌ができるはず。私は、ハワイ語の歌をつくるのが好きなんですが、自分にしか分からないカオナを歌詞にいれて、一人で喜んでおります。
※かずこさんは昨年11月にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りいたします。
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