10年以上前に、フラマスターのジョージ・ナオペ氏より「マカナオカラニ(天からの贈り物)」というハワイアン・ネームを頂いてから、正に天からの贈り物のように、次々と奇跡的な出会いや出来事に導かれ、これまでハワイ文化を学んでくることができました。今では私の人生の一部となっているハワイ語の世界と、ハワイアン・カルチャーの素晴らしさを、皆さんにシェアしていきたいと思います。第一回はこちら。
かずこセリッグの「ハワイ語の世界」 第9回 メレ(ハワイ語の歌)の作詞のルール その1
●ハワイ語の歌、作詞のルールとは? ヴェリナ・マイ! かずこセリッグです。
今回のテーマは、作詞のルールについてです。先月のハワイ語の世界では、ハワイ語の歌にも良く使われる、カオナという表現方法をご紹介しました。記事の中で、「私もハワイ語の歌を作っています…」とお話したのですが、実はハワイ語の歌(メレ)を作るには、避けるべき言葉や、守るべき約束事があります。時代の流れとともに、メレは発展し、変化しつつある部分もありますが、今、特に私たち日本人にとって、最も尊重すべき約束事は、パカとよばれる制度です。この制度については、次回説明しますね。 |
●メレを作る上で、避けるべき言葉
まず、メレを作る上で、避けるべき言葉についてお話しましょう。数々の名曲を残した大作曲家アリス・ナマケルアは、「避けるべき言葉は、すごくたくさんあるのよ」と語った上で、その例の一部として、ハーウレ(倒れる)、イホ(下)、モエ(寝る)、ルア(穴)、リポ(濃紺、暗闇)などを挙げています。
また、フラマスターのキモ・アラマは、「避けるべき言葉は沢山あるけど、優れた作詞家になると、そんな言葉を使ったとしても、別の単語を補って、それを打ち消す事もできるんだよ。例えば、モエ(寝る)を使ったら、アラ(起きる)を入れるとかね」。 更に、高名なクムフラでありフラコンペの最高峰メリー・モナークの初代ミスアロハフラでもあるアロハ・ダレリイは、「私は、母にフラやハワイ文化を学びました。少なくともフラに関しては、メレの歌詞でもフラの衣裳でも、黒や暗い紫はダメだと教わりましたね。今でも、メリーモナークでカヒコ(古典)を踊る時は、黒い衣裳は禁止なんですよ」と言っています。
前回の記事の中で、「ハワイ語は、一つの単語が色々な意味を持つ」とお話しましたが、3人が例に挙げるこれらの言葉は、もう一つの意味として死を意味したり、連想させたりする言葉なのです。
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●ハワイ語再活性化のうごき
けれども今日、ハワイ語のメレは時代とともに発展しつつあります。現代のハワイ音楽は必ずしも伝統的なハワイの価値観だけを語るものではなくなってきました。ハワイ語を現代の音楽に取り入れたり、既存の歌をハワイ語でカバーするなど、今までにない取組にチャレンジする事は、ハワイ語再活性化という視点から見ると、大変有意義だといえるでしょう。
ハワイ語再活性化の第一人者であるケリー・ライアナ・ウォン博士は、英語で書かれたポップスのハワイ語訳を手掛けており、それらの曲はヘンリー・カポノのアルバムに収録されています。翻訳にあたって、ウォン博士は、次のように語っています。「外国の考え方や文化を、ハワイ人の世界観を通して表現することに努めました。新しいことをするにも、ハワイの世界観という芯の部分は守っていないと、何の意味もないどころか、かえって再活性化の妨げになってしまいますからね」。音楽は多くの耳に残るもの。正確な文法はもちろん、単語の選び方や、語感なども慎重に選んだそうです。
※かずこさんは昨年11月にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りいたします。
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