ハワイの歴史、気候、地理などを扱った「知識編」と、旅行者にとっての必須トピックを扱った「実践編」にわけてお届けする「ハワイの基礎知識」。取り上げて欲しい内容がありましたら、編集部宛にお知らせください。
ハワイの歴史 その2
平民の男性たちの一日は、朝起きるとまず土を掘って作ったカマドに火をおこすことから始まります。このカマドは女性・子供用のもので、ここでタロ芋を蒸す作業が始まります。男たちはそれから別の男用のカマドに火を起こして、タロ芋を蒸す作業にかかります。カマドのタロ芋が蒸し上がると、これをつぶして練り上げポイを作ります。このポイがハワイの人々の主食なのです。ハワイは多雨多湿の地域が多く、サツマイモの生育には最適ではない上にサツマイモは貯蔵も困難でした。しかし、タロ芋は水田栽培なので雨が多くても問題なく、蒸してすりつぶし乾燥させると長期保存が可能でしたし、水で戻すとすぐ食べられる便利な主食だったのです。
男性たちは、朝一番にポイを作って女性と子供の暮らす建物に運んだあと男性専用の建物に行き、まず小屋の一隅に作られた神棚に置かれた木彫りの神像にポイを供えて、そして熟年に達した男子がその小屋で食事にかかります。男女は住む小屋、食事を用意するカマド、食事をするところからして別々だったのです。食事のあと男性たちは畑に出て働いたり、専門職の仕事をしたりし、女性たちは岩塩を集めたり、海草を採ったり、樹皮をたたいて作る衣類(タパあるいはカパ)やラウハウでカゴを作ったりして一日を過ごしました。
古代ハワイの神
ハワイのすべての人々は先祖が神であったとされています。その中でも神へのつながりが強い(家族の歴史を後生に伝え続けた優秀な血筋)がアリイとして残り、アリイには神聖な“マナ”(spirit from the god)が受け継がれていると信じられていました。そのアリイ(王族)の中で一番のチーフがアリイ・ヌイと呼ばれ最高の権力をもっていたのです。
土地
ハワイの人々には、土地を所有するという観念がありませんでした。土地は人々が生まれる前からあり、人々は死んで地に戻って行くが、土地はずっとそこにあるということから土地は人に属さないという信念がありました。ハワイの島々は島の中心から海岸線さらには海の中までパイを切るように分けられていて、この一つ一つは“モク”と呼ばれ、それぞれの王族がその土地を守る権利を与えられていました。王族はその土地を民と分かち合い、平民はその中で分業して暮らしていました。
王位継承
父子相伝で継承されるべき王位をめぐり、時には王族同士の間で戦いが展開されました。アリイ・ヌイを目指すアリイは王族の中から味方を集め、それぞれの王族支配下の平民も加えられ、大集団を作って戦いました。戦闘は主として投石で始まり、木槍、石鎚で殴り合うような戦闘が繰り広げられました。こうして頭角を現し、後にハワイを統一したのがカメハメハ大王だったのです。カメハメハ王はハワイ島出身、腕力と知性に優れ次々と他のアリイを打ち負かし、自らアリイ・ヌイとなりハワイ島の支配者になりました。
(1999年取材)
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