Hawaii-Japan: People's History vol.10 - `Iolani Sportswear
第10回 ハワイの老舗アパレルブランドが世界に羽ばたく時、「イオラニ」
アロハ、Myハワイ編集長明子です。「ハワイと日本、人々の歴史」シリーズでは、観光地としてのハワイから一歩踏み込み、ハワイと日本をつなぐ人々に焦点をあて、その歴史を掘り下げて紹介しています。今回は、日系人のカワカミ・ファミリーが3世代にわたり経営する、アロハ・スピリットあふれるアパレルブランド、「イオラニ」の歴史と、日本との絆についてご紹介したいと思います。 世界進出も果たし、飛ぶ鳥を落とす勢いの日本企業、「ユニクロ」。そのユニクロで5月より発売される、南国の自然をテーマにしたライン「’IOLANI HAWAIIAN CLASSICS(イオラニ・ハワイアン・クラシック)」は、ハワイのアパレル・ブランド「イオラニ(`Iolani Sportswear)」とのコラボレーションにより実現しました。 イオラニは昨年創業60周年を迎えた、ハワイでも最も歴史あるアパレル・ブランドです。ハワイの自然をモチーフにした美しいテキスタイルを用いて作り上げるアロハシャツやカジュアルなドレス、スポーツウェアなどは、フラダンサーをはじめ、地元の人々にたいへん愛されています。ホノルル市内のコナ・ストリートにある工房を併設した旗艦店には、冠婚葬祭時に身につける正装としてのアロハシャツやハワイアン・プリントのドレスに加え、カジュアルでリラックスした雰囲気のアイテムなども豊富に並び、アロハ・スピリットあふれる穏やかであたたかい雰囲気に包まれています。 イオラニは日系2世のケイジ・カワカミとエディス夫妻により設立されました。ケイジ氏は第2次大戦時、士官以外は日系アメリカ人のみで編成され、ヨーロッパ戦線で数々の殊勲をうちたて勇猛でならした第442連隊戦闘団に所属していました。退役後はニューヨーク大学で学び、理想に燃えてハワイに戻ってきたばかりでした。ビーチに腰をおろし、砕ける波を眺めながら、「ハワイの美しさとアイランド・スタイルを、ファッションを通じて人々に伝えたい」という夢を描いていた若い夫婦。夢が叶い、1953年に簡素な工房を構えます。その場所が旧ハワイ王朝の宮殿、「イオラニ・パレス」の近くにあったため、ハワイ王朝の歴史と、由緒ある場所に敬意を表し、ブランド名を「イオラニ」と定めました。 ハワイに移民してきた父親の世代、つまり日系1世が大切にしてきたこと…「勤勉さ」、「誠実さ」、そして「最高の仕事を常に心がける」という信念のもと、3世代にわたり操業を続け、今日では、ハワイでも有数のアパレルブランドとして広く知られています。イオラニの名を一躍有名にしたものは、日本産「壁縮緬(かべちりめん。英語ではカベシルクと呼ばれています)」を使った男性用のシャツでした。鮮やかな壁縮緬は海を渡ってハワイでアロハシャツに生まれ変わり、これらのシャツは現在ではコレクター垂涎の的となっています。 現在はコナ・ストリートに工房を移し、旗艦店「イオラニオンコナストリート」もオープン。ケイジ氏の息子である社長のロイド氏と妻のカーラさん、孫のニックさんが意思を次ぎ、イオラニの暖簾を守っています。また、ロイド氏と2人の息子、ニックさんとアレックスさんは、ハワイアン・ミュージック・バンド「Manoa DNA(マノア・ディーエヌエー)」としても活躍しており、会社経営だけではなく、ハワイ地域の様々なチャリティ・イベントの企画、運営も行っています。さらに音楽活動では、日本へも足を伸ばし、「Aloha You ~きずな~」という曲を日本語でリリースするなど、ハワイのアロハ・スピリットを伝えるべく、精力的に活動しています。 また、先に述べたユニクロとのコラボレーションにより、ますます日本との絆を強化し、ハワイの小さな老舗ブランドから世界へ羽ばたこうとしているのです。 ◎イオラニオンコナストリート (2014年1月更新) |
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