女神ペレに宛てた手紙
前回のブログで紹介しましたマッキンレー高校のブックセールで手に入れた『パワーストーンズ(女神に宛てた手紙)』は面白い…というか怖いというか、大変興味深い内容の本でした。
この本は、ハワイ島キラウエア火山の美しい写真とともに、数多くの手紙が掲載されています。
本の序文にはこう記されています。
「毎年ハワイ島にあるハワイ火山国立公園には、合計して年間およそ900キロの石が世界中から送られてきます」
そして石とともに送られてくる手紙は、女神ペレや国立公園の職員に宛てられたもので、差出人は過去にハワイを訪れた観光客です。そしてそれらの手紙はほぼ同じ内容です。
「旅の記念に石を持ち帰ったが、キラウエアの石を持ち帰ると不幸が起こるとあとで知りました。女神ペレに同封の石を返してください。お願いします」
本に掲載された手紙は、長い説明が綴られたものや、「すぐにでも元の場所に返して」とだけ殴り書きされたものなど、さまざまです。そして差出人のほとんどがハワイの旅行後になんらかの災難に見舞われているようでした。
ある女性からの手紙には、ハワイから戻って3年の間に体験した不幸な出来事が事細かに記されています。
自家用車からバッテリーが盗まれた
自家用車が盗まれた
買ったばかりの新車がぶつけられた
義父が突然意識不明に陥り入院(原因不明)
義兄が失職
義姉が失職
首をひどく痛める
新車が盗まれ、戻ってくるもひどい損傷
母が乳房切除
夫がツベルクリン検査で陽性と判明
義姉が多発性硬化症と診断される
修理した新車がまた盗まれる
手紙の差出人は、石ではなくブラックサンドを持ち帰ったそうです。ハワイの地から何かを持ち出すと不幸が起こると注意されたものの、そのときは「そんなの迷信だ」と信じなかったということです。
ここに記された災難が女神ペレの仕業かどうかは分かりませんが、彼女は度重なる不幸にすっかりまいった様子で、手紙の最後に「どうかお許しください」とペレに謝罪しています。
もう20年ほど前になりますでしょうか、ハワイ観光局に勤務していたときに、2度ほど小石が同封された封筒を受け取りました。差出人はどちらもワイキキビーチの小石を記念に持ち帰ったという米本土に住む方で、手紙にはハワイ旅行後に石を持ち帰ってはいけないことを知り、「どうか返してください」とありました。同僚と一緒にワイキキビーチに出向き、石をそっと置いてきました。
石には魂が宿っているから、火山の石を持ち出すとペレの祟りがあるというお話、この『パワーストーンズ』を読んでからは「そんなの迷信でしょ」なんて決して言えなくなりました。
Powerstones ~Letters to a Goddess~
By Linda Ching & Robin Stephens
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