■ピンチ、花が足りない!
今年のハワイの冬は、とても寒かった。もう4月だというのに、まだ朝晩冷える時があります。だけど、近所にはプルメリアの花が咲き始めています。これを見るとホッとしてしまう私です。「プルメリアなんてハワイじゃいつでも咲いてるでしょ?」と、お思いのあなた。Non,non! それは違います。ワイキキに咲いているプルメリアは花びらが丸く、白くてどうやら外来種。私の必要としているプルメリアは、花びらが比較的尖った形で中央が黄色いものです。なぜこのプルメリアが咲いているとホッとするかと言えば、ショーや大会で使う花なのです。日本ではいつも、本物が付けたいと思いながら、フェイクのレイを使っていました。でもハワイでは、もちろん生のお花を使います。生と言えば日持ちもしないし、取り扱いも要注意。それにもましてどうやって手に入れるかが問題です。もちろん山に入ってとって来る方が、良いに違いありません。でも、そうそう摘みに行ける物でもなかったりします。プルメリアやマイレなんかは、ほとんどレイショップで手に入れることは可能です。でも時期によっては置いていません。それが冬。
以前こんな事がありました。ハワイシアターでクリスマスコンサートがあった時、みんなチャイナタウンでオーダーしていて、私もフラシスターのリサに頼んで、一緒にオーダーして貰っていました。前日に確認の電話をリサが入れたところ、モロカイが台風でプルメリア全滅、手に入らないとの事。それを聞いた私はとりあえず摘みに行く決心を固めたはいいが、冬だから咲いてないじゃーーん(泣)。リサはのんきに、明日になればどうにかなるだろうと思っている様子。リサー、そんなに甘くないんだよー自然をなめるなよーとばかりに、私は空港に走りました。すると、あったーーー!!! プルメリア。とりあえず一緒にオーダしていたフラシスターに電話、彼女達も買っておいて欲しいというので即購入。そこへ何人かフラシスターやブラザーが現れた。みんな考える事は同じみたい。どうやらチャイナタウンは、モロカイ島から運ばれてくるプルメリアで、空港はオアフ島西側のワイアナエから仕入れているらしい。
この時の私のドキドキっぷり、想像つかないと思います。だって私は知っていたんです、もしレイが手に入らなければ、ステージに上げてもらえない事を。そして当日、実際に手に入れられなかったフラシスターは、そのナンバーを踊れなかったのです。ハワイのフラの世界は厳しいのです。クムが「明日までにティーリーフスカートを作って来い!」と言ったら、何が何でも作ってこなくてはなりません。お店が開いてないという言い訳は通用しません。夜中でも山に走り、ティーリーフを取って来なくてはいけないのです。クムの言う事は絶対なのです(でも、うちのクムは厳しいけど暴君ではないので、理由もなくそんな無茶な事はさせませんよ)。ところで、私が車を運転しながら何してるか知ってます?いつも、使用頻度の高いプルメリア、スパイダーリリー、ティーリーフがたくさん咲いている所をチェックしながら走っているのです。いざと言う時の為にね。たとえそれが、誰か知らない人のお宅でもチェックです。必要な時は門を叩いて、「プルメリアくださーい!」と元気にお願いするのです。ハワイの人は優しいので、ほぼ100%分けてくれます。その代わり、見た目が悪くならないように、少しづつ色々な枝から採取します。適当な所で辞めてまた次の場所で採取。特にプルメリアは背が高いので取るのが大変。これをレイ2本分、約140〜150個、それにレイポーや足や手に付けるクウペエ分も入れるとなると、200個以上は必要になります。結構な手間です。これをショーや大会直前にする訳ですから寝る暇もなくなる訳です。ティーリーフは大体お店にオーダーすれば手に入りますが、1年に何回も出番があると経済的に厳しいものがあります。100枚以上オーダーするとして、安く手に入れても毎回約$20の出費。そこで私は又、門を叩きます。ホノルル市内の山に少し入った所にティーリーフの壁があるお宅を発見。そこで頼み込んで頂く事に成功! 日系の老夫婦でとても優しく、何度行っても、好きなだけ持って行きなさいと、分けてくれます。行く時は必ず手土産を持って、すっかり顔見知りになりました。スパイダーリリーは花びらが細いゆりです。これは結構どこにでも咲いているのですが、摘む時間が肝心。昼間摘んじゃうと、ヨレヨレになっちゃうんです。なので、早朝もしくは夜中にこそこそと出動。カヒコで使うレイポーにはラウアエが良く使われます(以前作り方をビデオで紹介しました)。ラウアエも、みんなワイキキやチャイナタウンで摘んで来ます。でも私は、ダーリンと良くハイキングに行く山で、ごっそり生えているのを発見! これを発見した時は、かなりテンションが急上昇。そして、いつでもここにはびっしり生い茂っているので、「ラウアエの森」と、勝手に名付けてみました。そんな感じでステージ直前の2、3日は練習もさることながら、毎回ドタバタ劇、コントのステージ裏の様。上げ膳据え膳ですべてが用意されてる訳ではないのであります。
(つづく) (2009年4月更新)
|
コメントを残す