ワタクシ、新聞は紙で読みたい〃昭和の人〃でございます。
そんなわけでハワイに暮らしはじめてからずっと、地元紙『ホノルルスター−アドバタイザー』を購読しております。
そしてその新聞を読みながら、コーヒーを飲むのが、毎日の楽しみとなっております。
新聞のローカル面2ページ目に「マハロ」のコーナーがあります。これは助けてもらったことや嬉しかったことなど、読者から投稿された「感謝の言葉」が掲載されています。
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「スーパーマーケットの駐車場で、車のエンジンが掛からなかったときに助けてくれた親切な男性へ。あのときは本当に助かりました」
「7月4日にコナ空港で、具合の悪くなった息子を助けてくれた警備員のみなさん、代替便をすぐにアレンジしてくれたハワイアン航空関係者のみなさん、どうもありがとうございます。このご恩は一生忘れません」
数日前の新聞には、ホノルル市に支払うために鞄の中に入れていた不動産税1万1000ドル(約100万円)の小切手を落としてしまった人からの投稿が載っていました。
この人はチャイナタウンで営まれた葬儀に参列するため、急いでいて、小切手の入った封筒を落としてしまったそうです。心配でその後何日間は眠れなかったといいますが、しばらくすると拾った人が小切手を発行元の銀行にわざわざ届けてくれたそうで、無事納税できたということです。
そういえば夫も、ソルトレークという地区にあるフードコートで食事中、ズボンの後ろポケットに入れておいた財布を落としたことがありました。
帰宅後に気付き、ダメもとで食べ物を買ったお店に連絡すると、電話に出た方が「財布を拾ったお客さんが警備員に届けていましたよ」と、親切にオフィスの電話番号も教えてくれました。
「世の中まだまだ捨てたもんじゃない」と大喜びの夫は、「マハロコーナーに投稿しなきゃ」と言っていましたが、もちろん、面倒くさがりやのヤツがやるわけもなく、この場をお借りしてお礼申し上げます。
「おっちょこちょいの夫を助けてくださり、ありがとうございます!」
そんなワタクシも、アクシデントに見舞われた際、親切にしてくださった女性に十分なお礼もせず、マハロコーナーでお礼を言おう、言おうと思いながら、結局やらずに20年以上も経ってしまいました。マハロ投稿を読むたびに、この女性のことが思い出されます。
ワタクシと夫がまだ20代半ばだったころのこと。夜のローカルニュース番組で、高波が発生し、大変なことになっているノースショアからの生中継の報道を観て、若かったワタクシたちは「見に行こう!」とノースショアに向かいました。
午後10時を過ぎても外出する元気があったのですねえ、あの頃は…
そしてハレイヴァを通過し、ワイメアビーチを過ぎ、しばらく進んだところで、波が道路まで上がってきていました。
そして「もうちょっと行ってみようか」と進んだところで、深めの水たまりに入ってしまい、なんと車がエンコ!
とりあえず2人で車を押して道の端に移動させ、車が来たら助けを求めようということにしました。当時、携帯電話など持っていませんでしたからねえ。
すでに午前1時を過ぎており、ノースショアを走る車などいません。たまに通っても暴走族風の車ばかり。それでも夫は「近くのストアまで乗せてって」と頼んでみましたが、やんちゃな彼らでも、下半身ずぶ濡れの怪しげな男女を乗せるのは「まずい」と思ったのでしょう。みんなそのまま去っていってしまいました。
1時間以上経ち、途方に暮れていたところで、ワタクシたちの目の前に大きなトラックが止まりました。運転していたのはポリネシアン系の女性です。
ワタクシたちは、怪しげなカップルと思われないように、努めて明るく誠実そうに接しました。事情を説明すると、彼女は職場が空港なので、ホノルルまで乗せていってくれるとのことです。
さすがに車内に乗るのは気が引け、ワタクシたちは荷台へ。そして数分走ったところで、彼女は車を止めると「寒いからどうぞ」と車内に招いてくださいました。
ホノルル市内のカリヒというところで降ろしてもらい、お金を渡そうとしましたが、彼女は「そんな必要ない」と固辞し、名前を尋ねる間もなく、彼女は行ってしまいました。
「親切な人だね。しかしガッツある女性だ」と夫。「でも自分の娘だったら、なんでそんな危ないことするんだって叱るけど」
確かに親切もあだとなるような世知辛い世の中でもございます。
彼女のアロハ精神が、みんなのアロハ精神がいつまでも存分に発揮できる、そんなハワイであってほしいと心から願います。
トラックのお姉さん、その節は大変お世話になりました。マハロ。
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