ハワイのホテル、グルメ、ショッピング、オプショナルツアーなどの旅行情報 ホノルルから「ハワイ観光に役立つ最新情報」を毎日更新

ハワイ歩き方事務局
人気連載「今夜も玉突き」

第05回 トーナメントデビュー!

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2004年10月21日

第5回 トーナメントデビュー


ビリヤードを通してすぐに仲間に

ハワイの人は本当にフレンドリー
「上達するには、とにかく練習するしかない」ということを遅ればせながら痛感している毎日。辛い時は「1に練習、2に練習、3,4がなくて、5に練習」と呪文のように唱えては自分を奮い立たせ、自主練習に励んでいます。ハワイアン・ブライアンで練習していると、同じように一人で練習しているハスラーたちと教え合ったり(もっぱら、私は教えてもらうばかりですけどね)、ゲームをしたりと、お互いに刺激しあいながら練習することができるのです。

もちろん、初めは知り合い同士ではないんですけど、隣りや前後のテーブルで練習している人に自然と声を掛け合うんですね。仲間意識というか、こういうのを見ると「アメリカ人だな〜」と思います。特に、ハワイの人は本当にフレンドリーです。エレベーターの中で知らない人と一緒になっても、挨拶したり、会話したりしますよね。それと同じ空気が、ビリヤード場にも流れていて、お互い、気軽に声を掛け合い、すぐに仲良くなるのです。私も、やっぱり一人でやるより、みんなでやった方が楽しいですし、何よりみんな私より上手なので、自分では気付かなかった意外な癖などを指摘してくれて、勉強にもなっています。そう考えると、ハワイアン・ブライアンは、楽しい学習塾のような感じでしょうか。普段、万次郎師匠や、友人たちに教えてもらうようなスパルタではなく、ワイワイ・ガヤガヤ言いながら、互いに切磋琢磨する 私にとって、楽しく練習できる、憩いの場になっています。

●カスタム・キューはいくら?
ある日、友人と2人でいつものように練習していると、そこへ小柄なおじさんがやってきました。名前をパットと言い、友人の知り合いで、私たちと同じように練習しに来ていたようでした。遠くから友人を見つけ、私たちのテーブルへと声をかけにきてくれたのです。一言、二言、挨拶を交わした後、ビリヤード話に花が咲き、話の流れで一戦を交えることに。なんと、このパットさん、15年もビリヤードをしている大ベテラン ビリヤードの本もたくさん読んでいるらしく、ビリヤードの腕のみならず、教え方も上手なのです。何よりも驚いたのが、彼のキュー。それは「サウス・ウェスト」というブランドのキューで、新しく作るとなると、少なくとも4年は待たなければならず、彼も5年待ってやっと手に入れたんだそうです。カスタムメイドで作られたこのキューは、やはりお値段もそれなりに張ります。パットのキューは$5000というから、日本円で55万円($1:110円で計算) すごいですよね。なんとも贅沢な代物ですが、私も、もっとうまくなったらそんなキューが欲しいなぁ。


パットご自慢のキューは何と$5000

ゲームをしながら、パットに、「どういう練習したら良いと思う?」と尋ねると、「もちろん、一人でドリルをするのも大切だけど、それと並行してトーナメントに出るといいよ」というのです。「えっ? トーナメント? それは私には早すぎるよ」と驚きながら返すと、「そんなことない」と一言。パット曰く、「トーナメントに出ると、1ゲームにかける集中力が高まるし、プレッシャーにも強くなる」とのこと。どれだけ練習しても、「負けたら終わり」という異様なプレッシャーは、試合でしか経験できないと言うのです。「そう、その通り 思えばあの夜、スポーツ・バーでチキン・ガイズに負けたのも、極度の緊張に耐えられなかったから」。緊張から真っ直ぐに打てず、ゲームを逃し、どれほど悔しかったか… あの悔し涙を呑んだ夜のことを思い出すと同時に、昔バレーボールをしていた時のことも思い出しました。やはり、普段練習を3時間、4時間しても、対外試合となると緊張していたな、と。その緊張により自分たち本来のプレーができず、試合を逃すことが多々あったのです。でも、それも場数を踏めば踏むだけ慣れていくんですよね。それと同じことがビリヤードでも言えて、一人で練習することと同じくらい、緊張感を持ってゲームに挑むことに慣れることも重要なんですね。かくして、超ビギナーの私は恐れ多くもトーナメントデビューすることになったのでした。

●トーナメントデビュー
ここハワイアン・ブライアンでは、毎日何かしらのトーナメントや、時間帯によって女性やキッズが無料になる特典が設けられています。例えば、隔週火曜日に「レディース6ボール」と称した女性のみのトーナメントが開催されたり、同じく隔週火曜日と木曜日(ただし、火曜日はレディース6ボールと重ならない週)には「オープン9ボール」という$5払えば誰でも参加できるトーナメントが行われています。また、毎週水曜日には18歳以下のキッズ・トーナメント、隔週木曜日(オープン9ボールと重ならない週)は「アベレージ・ジョー」なるCクラス以下の人のためのユニークなトーナメントも催されています。私は、とりあえず、Cクラス以下のアベレージ・ジョーに参加してみることにしました。「Cクラスというくらいだから、私と同じレベルの人たちが来るんだろうし…」と思いながら。


トーナメント前の練習風景。早めに行かないとテーブル全部埋まってます

当日、受付でトーナメントに参加する旨を伝え、参加費の$5を払います。受付開始が17:30で、試合が始まるのは18:00。この間の30分間はフリーで練習ができます。私はちょっと遅れてしまい、着いたのが17:40を回っていたため、受付を済ませた頃にはテーブルは全て埋まっていて、練習するところがなくなっていました。「どうしよう?」とオロオロしていると、そこへ、パットさんが「ノリコ!!」と声をかけてくれたのです。「おぉ〜、神よ、私を見捨てなかったのね」。ただでさえ、緊張しているのに、練習無しでいきなりトーナメントなんて、絶対無理だと思っていたので本当に助かりました。パットさんに連れられ、彼が練習をしているテーブルで、一緒に練習をさせてもらいました。でも、「ちょっと待って」。彼が練習してるってことは… 「えぇーっ、パットさんもトーナメント出るの?」と驚く私に、「そうだよ」と冷静に応える彼。
私:「だって、あなた、15年やってるって…」
彼:「年数は関係ない。たとえ、15年やってても、僕はまだまだCクラスなんだ」
私:「だって、あなた、こんな良いキュー持ってるし…」
彼:「ノリコ、キューはもっと関係ないよ」
私:「…(汗)」
思わず、パットさんもトーナメントの参加者だと聞いて焦り、なんとも間抜けな会話をしてしまいました。だって、こんなにうまい人たちが来ちゃうんですよ あの人たちは限りなくCに近いんですよ。この人たちがCクラス以下だったら私は一体… と練習で打ったボールがポケットから外れたのを見て、「もしかして、Z(ゼット)どころか、レベル測定不可能な域にいるんじゃないの?」と一人、泣きそうになっていました。どう考えても、この人たちと対戦する私って、相当な恥知らずか、自信過剰かのどっちかじゃん ていうか、どっちも嫌だし。そんな私の心の動揺もよそに、トーナメントの時間は刻々と迫ってきました。

●いざ、出陣


今回のトーナメント表優勝できるか…

18:00。運命の時間です。マイクで次々と名前が読み上げられ、どこのテーブルでゲームをするのかを伝えられます。「ノリコ〜、17番。17番のテーブル、ノリコ」。スピーカーから聞こえる女性の声にビクっとしながらも、ここまで来たらもう逃げられない。「まな板の上の鯉」状態の私は、17番のテーブルを目指したのでした。歩きながら17番のテーブルを探していると、向こうの方に見た目怖そうなフィリピン系のおじさんが誰かを捜している様子で立っています。「ま、まさか…」。そのおじさんは、「君? ここでゲーム?」と話しかけてきました。強面のそのおじさんは、なんと私の対戦相手だったんです。「はい。でも私、ものすごく下手で…」と答えると、そのおじさんは、「実は、僕もなんだ。まぁ、楽しもうよ」と言ってくれました。その一言で随分と気が楽になり、「もうこうなったら、開き直りだわ」とこの状況を楽しむことにしました。

試合は、3ゲーム中2ゲームを先取したほうが勝ち。ルールは普通の9ボールと同じ(ルールについては下記のワンポイント・レッスン参照)。ただ一つ違うのは、男女が対戦する場合、男性は9番ボールを落とさないと勝てないのに対し、女性は8番ボール、または9番ボールを落とせば勝ちです。つまりハンディキャップがついてるんですね。これでちょっとは勝てる可能性は高くなるわけです。まずは、どちらがブレイクするかを、クォーターコイン(¢25)の裏表で決めます。「Head or Tail?(表か裏か)」と聞かれて、「表」と答えたところで、おじさんがクォーターを投げました。テーブルの上に投げられたコインは「裏」が出て、おじさんのブレイクでいよいよゲーム開始です。

1ゲーム目はおじさんの勝利。そして2ゲーム目。9番ボールのみを残したところでおじさんの番が回ってきました。ポケットに向かって一直線に並んだ9番ボールとキューボール。「入れられちゃう〜」と思った瞬間、なんとおじさん、外しちゃったんです。もしや、おじさんもストレート恐怖症?(ニヤリ) おじさんの外した9番ボールは左のサイドポケットの目の前で止まり、私の番。これは最高の位置関係。キューボールをチョコンと当ててあげれば、サイドポケットに入るわけですから。「ストレートに打つの難しいよね? ドンマイ」と、笑いを噛み殺しながらショット。もちろん、その9番ボールは私が入れ、2ゲーム目は勝ちました。これでゲームはタイ。3ゲーム目は勝負を左右する大一番です。「こうなったら私も負けてられないわ」と頑張りました。そして、2ゲーム目と同じ展開、またも、9番ボールをテーブルに残しておじさんの番が回ってきたのです。「外せ〜、外せ〜!!」と心の中で唱えながら9番ボールの行方を追っていると、今度もサイドポケットのヘリのところで失速して止まりそうなんです。「おじさん、今度も私にチャンスをくれたのかしら?」と思って、次にショットする準備をしていると、止まりそうだったボールが、ポケットに「ヨイショっ」という具合に入ったのです。「ガーン そんな馬鹿な… 止まりそうだったじゃん」。呆然とする私をよそにおじさんは、「いいゲームだったね」と握手を求めてきました。悲しいけど、負けちゃいました。仕方ないですよね。おじさん、うまかったですもん。負けても爽やかにスポーツマンらしく、「次も頑張ってください」と握手をしておじさんとは別れました。

●敗者復活戦
負けた後は、敗者復活戦があります。今度は小太りの日系のおじさんと対戦です。やはり、敗者復活戦もルールは同じく、3ゲーム中2ゲームを先取した方が勝ち。1ゲーム目は僅差で敗れたので、2ゲーム目は「取ってやるぞ」と勢いよく臨みました。1ゲーム目の勝者であるおじさんがブレイクして、私の番。見ると、ポケットに向かって真っ直ぐの位置に1番ボールがあります。しかし、その両端には2番ボールと8番ボールがあるではありませんか。「うーん、難しいな」。1番ボールにキューボールが当たっても、ちょっとでも角度がついて真っ直ぐに当たらなかったら、この2つのボールに当たってポケットに入らない可能性があります。「どうしよう…」と迷っていると、仕事を終えて駆けつけた私のブレインがやってきました。彼は、一緒にビリヤードをするたびに、ショットの種類や正しいフォームを教えてくれるだけではなく、「どうやってゲームに勝つか」という戦術までも教えてくれます。彼も、パットさん同様に、ビリヤードの本を読んで、知識を豊富に持っているので、彼の言う通りにボールを打つと、楽してゲームに勝てるという、まさしく「ブレイン」と呼ぶべき存在なのです。でも、私だってハスラーの端くれ。自分がこうした方がいいというショットと、彼が教えてくれるショットが違うことだってあります。そういう時は、プライドが邪魔して素直に聞けません。まぁ、ちっぽけなプライドなんですけど(笑)。自分のひらめきを信じてショットした後、「あー、言うこと聞いておけば良かった」と思うことが大半ですが、たまに、「ほらね、私が言った通りじゃん」ということもあるんです。本当にたま〜に、ですけど。


なんとも無残なゲーム結果。テーブルの上にはこんなにたくさんの玉が…我ながら情けない…

今回、ブレインがやってくるや否や、「どうしたらいいと思う?」と問うと、彼は「1番ボールをポケットに入れようと思うな。ただ、弱めに打つんだ」と言うのです。「だって、1番ボール入れないと、次打てないじゃん」と言う私に「あの1番ボールは入らない。両端にあるボールが邪魔してる。だから、弱めに打って、今度は相手にチャンスを与えないようにするんだよ。難しいショットは相手に打たせるんだ」。「うーん、納得。でも、やっぱり1番ボールを狙いたい」と思った私は、ブレインの言うことは聞かず、1番ボールを狙いにいきました。そして… 「あー、やっぱり言うこと聞いておけば良かった…」。私は1番ボールを外し、相手に格好のチャンスを与えてしまったのです。1番ボールは邪魔していた両端のボールから離れて、さらに悪いことには、9番ボールがその1番ボールとポケットの間に。「うわっ、入れられちゃうよー」と思うが先か、おじさんは難なく、1番ボールと9番ボールのコンビネーション・ショットを決めてしまったのでした。これで、ゲーム終了 開始1分の出来事でした。9番ボール以外の全てのボールが残った状態でゲームが終了してしまったんです。なんて無様な負け方… ため息をついて肩を落としたままブレインの方を振り返ると、彼は、「だから言っただろ〜」と一言。そして、その後、4時間もの間、反省会 試合を振り返り、できなかったショットのおさらいと、ゲームの運び方を教わり、ひたすら練習したのでした。「もう勘弁して〜」

●生涯、青春


生涯、青春 アロハに短パン、まだまだ現役です

さて、今回のトーナメントの参加者は約35人。参加条件は「Cクラス以下のプレーヤー」のみですから、当然参加する権利は誰にでもあるわけです。会場を見渡すと、小学生の女の子から、おじいちゃんまで、あらゆる年代、人種、性別の人がビリヤードに夢中です。始めたきっかけや、年数は様々ですが、ビリヤードに対する思いは同じなんですね。特に、おじいちゃんプレーヤーたちは、「まだまだ若造には負けんぞ」と闘志を燃やしながらも、ワイワイと楽しんでプレーすることを忘れません。ゲームに勝つことよりも、楽しんでビリヤードをすることが彼らのスローガンのようでもありました。でも、いくつになっても、こうやって趣味の時間を持って、いろんな年代の人と交わることって大事ですよね。それが彼らの若さの秘訣かもしれません。また、それを受け入れる土壌がアメリカにはあるんでしょうね。ビリヤードだけでなく、何にしても、「年をとっているから」とか「若いから」とか、変な気を使うことなくみんなで一緒に楽しめる空気があります。まさに、「生涯、青春」ですよね

●ハワイアン・ブライアン
住所:1680 Kapiolani Blvd., Honolulu, HI 96814
電話:(808)946-1343
ホームページ(英語):www.hawaiianbrians.com/index.php
料金:$2.25〜12.50 / 1時間 

ノリコのワンポイント・レッスン
◎9ボールのルール


一番上の単色黄色が1番ボール、真ん中にある黄色のストライプが9番ボール

1、1から9までの玉を使い、最後に9ボールをポケットに入れた人が勝ち。通常2人でプレーするが、2人以上でもできる。
2、テーブル上にある一番小さい番号の玉に必ず当てなければならない。その玉を直接ポケットに入れるか、もしくはその玉を使って他の玉を入れたら引き続きショットできる。もし、キューボールが一番小さい番号の玉に当たらなかった場合は、「ボール・イン・ハンド」といって、次の人がキューボールを自分の好きなところにおける。
3、入れるポケットはコールしなくてもいい。逆を言えば、狙っていないポケットに偶然入ったとしても引き続きショットできる。
4、もし、スクラッチしたときに他の玉も一緒にポケットに入った場合は、入った玉はフット・スポットに置く(ブレイク時に1ボールを置く黒丸がある場所)。
5、ラック時の玉の位置は、1番と9番ボール以外は決まっていない。1番ボールは一番前に、9番ボールは真ん中に置く。

プロフィール
ノリコ: 中学2年の時、アメリカで1ヶ月ホームステイ・プログラムに参加。全てが日本と正反対のアメリカに魅了され、「将来、ここに住むぞ」と心に誓う。高校で英語科に進むも、なぜか大学ではロシア語を専攻。大学卒業後は、なぜか某銀行のシステム会社で3年間勤務。現在、ハワイの歩き方編集部でインターン研修中。「人生に酒と笑いあり」がモットーの薩摩おごじょ。

この記事が属するカテゴリー: アロハダイアリー
関連キーワード: ビリヤード,

2 responses to 第05回 トーナメントデビュー!

  1. ビリヤード好きカナダ在住のひろです!年末に初めてハワイに行くのでビリヤード場を調べたらこんなに素晴らしいビリヤード場があって今から楽しみです!いま、キューを持って行くか迷ってるくらいです。情報載せていただいてありがとうございます!

  2. 初めまして。新潟在住の大塚と申します。私もビリヤードは大好きですが下手くそです….笑。海外でトーナメントに参加できるなんて羨ましく思います。下手くそのくせに道具のキューに関しては興味津々でいろんなメーカーが気になります。そこでお尋ねしたいのですがブライアンズはキュー販売をしていると聞きましたがいかがでしょうか?情報頂ければと思います。ガスザンボッティがあるとか、ないとか….笑。カスタムキューを多数あるとか….。もしわかるようでしたら情報下さい….宜しくお願い致します!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*