第4回 1に練習、2に練習…
●やっぱり練習って必要! 早朝にもかかわわらず、私のように練習しているハスラーたちが、チラホラ見受けられます。私も、テーブル1台を独占し、早速、練習開始! 万次郎師匠に習ったように、テーブルの向こう側に対峙し、キューボールを打つ練習をします。真っ直ぐ打てるときは、テーブルの向こう側に当たって跳ね返ったキューボールは自分のキューに当たるのですが、そうでないときは、キューをかすりもしません。なかなか、うまくできない自分にイライラしていると、そこへ、ハワイアン・ブライアンのオーナーだという人がやってきました。「君、練習してるの?」。「そうだ」と答えると、「こういう練習をしたらいいよ」と、いくつかドリルを教えてくれました。さすが、ビリヤード場のオーナーだけあって、教え方も上手でした!
まず、彼が教えてくれたのは、サイドポケットと言われる左右の真ん中にある2つのポケットを使うドリル。サイドポケットの2つを結んだ直線上にキューボールと、もう1つ玉を置いて、その玉をサイドポケットに入れるといういたってシンプルな練習。これだと、長い距離を打たなくていいので、楽に練習することができます。長い距離を打つのと違って、入る確率がグ〜ンと増えるので、その分イライラしなくて済みますしね。 このドリルでウォーミングアップをした後は、今度は応用編。狙った玉を向こう側のサイドポケットに入れるのは変わらないのですが、それと同時に、今度はキューボールも手前にあるポケットに入れるというスグレ技。要は、ドロー・ショットをする訳です。ドロー・ショットとは、打った後のキューボールが、自分の方に戻ってくるように打つショットのことです。このドロー・ショットをするには、キューボールの下方を打ちます。そうすると、縦方向にスピンがかかり、キューボールが戻ってくるという仕組み。その戻ってきたキューボールが自分の方にあるサイドポケットに入れば、真っ直ぐに打てているという証拠になるのです。「でも、これがなかなか難しい」。やっぱり、私は狙い方が悪いのか、微妙にずれているようなんです。真っ直ぐに構えているつもりでも、完全に真っ直ぐじゃないんですね。このドリルを試してみると良く分かります。絶対、キューボールが真っ直ぐに戻ってこないんです。 どうやら意図してはいないものの、少しだけ左を狙うクセがあるらしく、そのせいでキューボールが右の方に返ってきちゃうんです。オーナーの説明によると、これは、私の右目が利き目だということが原因のようです。利き目である右目を使ってラインを読もうとしているせいで、真っ直ぐに見ているつもりでも、実は真っ直ぐに見れていないんですって。知らないうちに変なクセが付いていたんですね。「う〜ん、うまくなる日は来るのだろうか…」 ●アメリカン・パーティー
そのテーブルでゲームをしていたトニーが、キャリア15年ほどの強者(つわもの)で、ものすごく上手いんです。あの、万次郎師匠並みに。で、胸を借りるつもりでゲームをしてみました。上手い人とビリヤードすると、「こういうショットは、こうやってやるといいんだぁ」とか「こうしたら、次に相手が打ちにくくなるんだ」など、学ぶべきことがたくさんあって、身になる実践練習なのです。1人でやる孤独な練習とは違って、楽しく練習できます。しかも、ビリヤードを通じて仲良くなれ、まさに一石二鳥。トニーとゲームをしながら、いろいろな話をしました。でも、私が「今日のパーティーの主役スティーブンとは、どうやって知り合ったのか」と聞くと、「スティーブンって誰?」と言うのです。「スティーブンって、彼だよ!」と指差しながら、「今日はスティーブンのバースデー・パーティーでしょ?」というと、「えっ、そうなの? 知らなかった」。周りにいた数人に同じ質問をすると、みんな一同に「今日って、バースデー・パーティーなんだ」。「おいおい(苦笑)」。どうやら、みんなの話から推測するに、パーティーに呼ばれたスティーブンの友達がその友達を呼び、さらにその友達を呼ぶといった図式で、ここまで人数が膨れ上がったようです。 でも、アメリカのパーティーでは良くあること。「いや、待てよ、ということは… スティーブン、人気者じゃないじゃん!」。それは冗談にしても、「楽しければ、なんでもOK!」的な国民性のせいでしょうね。「My nose knows!」と言って、文字通り、鼻で楽しそうなニオイを嗅ぎ分けて、知らない人のパーティーにまで参加するんですから、さすがです。ゲームの方はと言うと、もちろん、トニーには完敗でした。でも、私が、「密かに練習していて、実はハスラーになりたいんだ」ということを熱く語ると、「君がまた上手くなったら、挑戦しに来てよ」と、1ゲーム分のクォーターコイン4枚を手渡してくれたのです。もっと練習して、絶対今度こそ勝ってやるぞ!!
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