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ハワイ歩き方事務局
人気連載「今夜も玉突き」

第06回 トーナメント アナシア編

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2004年10月21日

第6回 トーナメント アナシア編


キューの真上にあごをのせて

ラインが見えた
いつものように、ハワイアン・ブライアンで練習した後、友人たちとゲームをしていた時のこと。私の番が回ってきて、キューボールの先にある2番の玉を狙おうと構えたときに、「ん? なんかいつもと違う…」と漠然と感じたんです。とりあえず、そのまま玉を撞いてみると、ストン ポケットに吸い込まれるように玉が入っていきました。「なんだろう、この感覚?」。不思議に思いながらも、次の玉を撞いてみると、またもストン そして、次の玉を狙おうとした時に発見したのです。一度、玉を狙おうとして構えた後、狙う方向を微妙に調整している自分に気付いたんです。つまり、玉からポケットまでのラインが見えるようになったんです

よくゴルファーが、グリーン上のボールからカップに向かって芝の目を読みますよね。そういう感じなんです。玉を撞く時は、テーブルに這うように低い姿勢で構えるのですが、その時に、「この角度で狙うと入らなそうだなぁ」というのが感覚的に脳に伝わって、脳から「微調整せよ」という指令が体の隅々にいきわたってくるようなんです。それまでは、キューを使ってポケットと玉の間の角度を測って打っていたのですが、そんなことをしなくても、玉を狙っただけで「入りそうだ」、「入らなそうだ」という判断ができるようになったんです。そのことに気付いたこの日は、感激で胸が一杯になってしまい、なかなか寝付けませんでしたね。「あ〜、早くまたビリヤードしたい」という考えが頭の中をずっと駆け巡っていました。

なぜか急成長した私ですが、これにはちょっとした秘訣がありました。毎回練習するたびに、ハワイアン・ブライアンのオーナーから言われた「右目で狙おうとしている」という言葉を思い出し、体も目も真っ直ぐに狙うことを常に心がけていたんです。そのせいか、右目で狙っていた私のフォームが少しずつ矯正されて、きちんと真っ直ぐに両目で玉を狙えるようになったようです。両目で狙ってる時というのは、キューの真上にあごがある状態になるんです。逆に、右目で狙おうとしている時は、あごがキューの真上にはありません。そうすると、自分が狙っている方向は真っ直ぐのように見えていますが、客観的に見てみると真っ直ぐではないんですね。そんな時は絶対といっていいほど失敗します。思っているように玉は転がっていきませんね。ともかく、ビリヤードの基本は、「真っ直ぐに狙い、真っ直ぐに打つ」なんです。でも、実は、これが一番難しいことなのですが…


火起こしの要領でクルクル回します

●チップのメンテナンス
ビリヤードのキューの先にあるチップは、玉を撞く時に一番重要な場所。ここが平らになっていたり、デコボコになっていたりすると、どんなに技術があっても思った通りに玉は転がっていきません。アーチ型になっているのが理想なんです。私も、自分のキューを使って1年がたとうとしている頃、友人の一人が私のチップを見て一言、「これ、ちゃんとメンテナンスしたほうがいいね」。私のキューは1年もの間、使いっぱなしだったために、平らとまではいかなくとも、それに近い状態でした。そこで、友人はチップ・ツールをおもむろに取り出し、火起こしのような感じで私のキューを回し始めました。すると、みるみるうちに、アーチ型のチップができあがったのです。「おぉ〜」。思わず、うなってしまいました。そして、アーチ型にした後、チップの上を、チップ・タッパーで叩き、ゴワゴワした状態にします。そうすることによって、チョークのノリをよくするんですね。「これで、完成」といって手渡された私のキューは、買った時と同じ、丸みを帯びたチップに蘇りました。

●スポーツバー「アナシア」でのトーナメント


おじちゃん、顔真っ赤です…

サウス・ベレタニア通りにある「アナシア」というスポーツバーで、毎週日曜日午後6時から、トーナメントをやっているということを聞きつけて、早速行ってきました。ビリヤードのテーブル2台と、ダーツが5台ほどある小さいバーに、ハスラーたちが続々と集まってきます。中には、早めにきて一杯やっている人もいます。私も中に入って$10を払い、エントリーしました。6時過ぎ、参加者が全員集まったところで、バーのオーナーであるプリモがゆっくりとやってきて、トックリ型のプラスティックの容器に入れられた番号札を参加者に引くように指示します。その番号でトーナメント表を埋めていき、対戦相手を決めます。

私の1回戦は、「ジョージ」という人に当たりました。プリモに、「ジョージってどの人?」と聞くと、「あそこで酒を飲んでるのがジョージだよ」と教えてくれました。見ると、ビールを片手に大きな声でおしゃべりしています。「うわっ、すごい酔っ払い」と思いながらも、挨拶に行きました。「ノリコです。あなたと対戦するの」と言って右手を差し出すと、ろれつが回らない状態で、「お〜、レイコ よろしくな」といって握手をしてきました。「あの、私、ノリコなんですけど…」と訂正すると、「分かってる、分かってる、ノロコだね」ですって。おいおい… もう訂正するのも面倒なので、ノロコのままで対戦しました(笑)。日本人の名前に慣れていない人だと、やっぱり聞き取りにくいんでしょうね。しかも、大分アルコールが入っているようですし。そういえば、会社で電話を取って「ノリコです」と言ったときに、「お〜、ミラコー(ミラクル)」と言われたことがあります。アメリカの中でも、日本人観光客や移民が多いせいか、ハワイの人は割りと日本人慣れしている方だと思いますが、それでも発音はしにくいようですね。ただ、「ノロコ」は勘弁して欲しいですけど。しかし、この酔っ払いのおじさんですが、ビリヤードはかなりの腕前。おじさんブレイクでゲームを始め、ほんの数分であっけなく勝負はついてしまいました。その後は、敗者復活戦もあったのですが、それも簡単に負けてしまい、仕方がないので他の人の戦いぶりを見学していました。


狙う玉を見定め中のプリモ。迷彩柄の帽子と白い髭が特徴

今回のトーナメントは、参加者が9人。端数が出たらしく、プリモも参加していましたが、この人がすごい 迷彩柄の帽子を頭にチョコンとのせ、白髭を口の辺りに蓄え、おぼつかない足取りで歩く、この仙人みたいなおじいちゃんがびっくりするほどうまいんです。プリモを良く知る友人に言わせると、「彼はアンビータブルなんだ」そうです。アンビータブル、つまり「不敗の男」という感じでしょうか。最初それを聞いたとき、「このおじいちゃんが?」と半信半疑だったのですが、キューを手にして戦うプリモを見て確信しました。「この人はできる」。トコ、トコ、トコと歩いては玉を狙い、ほぼ99%の確率で外さない。対戦相手にとっては、一度のミスが命取りなんです。

プリモの1回戦は、ローランドというフィリピーノのおじさんでした。彼は、元フライ級のボクシング世界チャンピオンで、怪我をしてボクシングをやめた後、ハワイに移住してきたそうです。ハワイは日本をはじめ、アジアからの移民が非常に多い土地柄。彼もプリモに負けず、かなりの腕前で、トーナメントが始まる前の練習では全戦全勝。プリモVSローランド。かなり見応えあるゲームです。ローランドのブレイクで試合が始まり、ブレイクでストライプを入れたローランドが、引き続き玉をポケットに沈めていきます。1個、2個…と立て続けに5個を落としたところでミス。しかし、この段階で、テーブルの上にはストライプが1個残るのみ。「さぁ、プリモ、どう巻き返すのでしょうか?」。ソリッドのプリモも負けじと玉を撞きます。しかし、そのフォームのしなやかさといったら、この上ない キューと体が一体となったような撞き方をするのです。キューが手の一部のような… うまくは表現できませんが、今まで見たことのないストロークに目を奪われている間に、8ボールを残すのみになっていました。これを入れたらプリモの勝ち。そう思うが先か、カーンという玉を撞く音とともに8ボールはコーナーポケットに消えていきました。「お見事」。1回のミスを逃すことなく、全てのボールを入れたのです。この人は真のハスラーです

●粋な計らい
このアナシアのトーナメントですが、ただ試合をするのみでなく、ちょっとしたレクレーションがあります。それは、トーナメントの対戦相手を決めるために、引いた自分の番号を覚えておいて、その中からシャッフルして選ばれた番号の人は、ビリヤードグッズをもらえます。参加人数によってその品物は代わってきますが、12人以上だった場合はキューがもらえます。今回は9人と少なかったので、キューケースでした。私がシャッフルして、番号を引くことになりました。引いた番号は4番。キースと呼ばれる白人の男性がケースをもらっていましたが、その番号を選んだ私に、しきりに「ありがとう」を繰り返していたので、ものすごく嬉しかったんでしょうね。参加費$10ですから、ビリヤードもできて、キューケースまでもらえるのは得した気分ですよね。プリモの粋な計らいにより、ゲームをするだけではなく、「また、ここに来たいな」と思った瞬間でした。次は、私の番号が当たったらいいのに…

●アナシア
住所:2227 S.Beretania, Honolulu, HI 96826
電話:(808)951-9295
ビリヤード・テーブル2台、ダーツ5台ほどあるスポーツバー
ビール、カクテル、その他飲み物のほかにも料理の種類も豊富

ノリコのワンポイント・レッスン
◎チップの手入れ方法
1、チップ・ツールを下におき、垂直になるようにチップをおき、火起こしの要領で回す。
2、チップがアーチ型になったら終了。仕上げはチップ・タッパーでチップの先を叩きゴワゴワした状態に。


これがチップ・ツール。真ん中の赤丸のところでチップの形を整えます。その後、左の丸い部分でチップを叩きます

チップ・ツールに垂直になるようにして回す

チップ・ツールを使う前。チップの先が平らになりつつある状態

チップ・ツールを使った後。使う前と比べて弓なりになっている。チップの先はゴワゴワ

プロフィール
ノリコ: 中学2年の時、アメリカで1カ月ホームステイ・プログラムに参加。全てが日本と正反対のアメリカに魅了され、「将来、ここに住むぞ」と心に誓う。高校で英語科に進むも、なぜか大学ではロシア語を専攻。大学卒業後は、なぜか某銀行のシステム会社で3年間勤務。現在、ハワイの歩き方編集部でインターン研修中。「人生に酒と笑いあり」がモットーの薩摩おごじょ。

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