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ハワイ歩き方事務局
人気連載「ハワイ出産物語」

第09回 血糖値上昇

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2002年05月27日

第9回 血糖値上昇、バトル開始!


●待ち受けていた落とし穴
さあ、いよいよ妊娠後期に突入。長く切迫流産の恐怖に脅かされていた私にもやっとゴールが見えてきた感じで、にわかに勢いづいてきました。「よっしゃー!」と心の中で言いかけたものの、そこは難ありのこの私。そう簡単に事が運ぶ訳もなく(もう何でなの〜!?)、またもや大きな落とし穴が待ち受けていたのでした。妊娠後期のルーティンである糖・たんぱくの検査で、血糖値が急上昇していることが判明してしまったのです。長女ステフの時も血糖値が上がったので今回も、という懸念はありました。が、前回より多少は調子良く経過していたので、「このまま、いけるかな…」と期待し始めていた矢先のことでした。

前回は徹底した食事療法で血糖値をコントロールして出産したのですが、それでもステフは低血糖で誕生。ブドウ糖の点滴を流すためIntermediate Care(NICUと通常の新生児室の中間にあたるユニット)に入れられてしまいました。幸い大事には至らず、3泊で母子ともども元気で退院できたので結果はオーライ… と言いたいところですが、Intermediate Careですっかり哺乳びんに慣らされてしまったステフ。母の涙ぐましい努力をよそにオッパイには全く目もくれず、とうとう母乳は軌道に乗らないまま枯れ果ててしまったというビタースウィートなオマケが付いてきたのでした。それに何より、長い苦労の末にようやく巡り会えた赤ちゃんを、同室で添い寝したり抱きしめてあげられなかったのは何とも口惜しく、保育器の中で(Intermediate Careでは未熟児でなくとも全員が入れられます)小さな腕に点滴の針が刺さった我が子を見たときは、それが深刻な事態ではないと分かっていても、涙を抑えることができませんでした。そこで今回は、何とか前回のような事態を避けるべく、万全の体制で挑むことを決意。前回もお世話になったメタボリズムの専門家、メリッシュ先生に再びアポを取ったのでした。

ここで、メリッシュ先生を少し紹介しておきますね。メリッシュ先生はコササ先生とクリニックをシェアしていて、コササ先生が外来をとらない午前中に週2回診察をするほかは、主にハワイ大学の医学部で教鞭をとられている初老のドクターです。分刻みで診察をこなさなくてはいけないドクターが多い中、メリッシュ先生の診察はとても親切で丁寧。病気についても噛んで含むように詳しく説明して下さるので、患者にとってはありがたく、人気も高いようです。コササ先生は、血糖値が上がった患者の管理はメリッシュ先生に紹介するようにしていて、こちらとしても専門医にフォローしてもらえるのは相談もしやすいし、何より安心です。医療が専門分化しているアメリカで治療を受けるメリットの一つではないでしょうか?

●万全の態勢づくり
さて、最初のアポのときに私が先生に訴えたことは、「前回の経験を繰り返したくない」という一点のみ。先生も、ステフが低血糖だったことに少々驚かれ、血糖値をモニターしたときに注目していた空腹時と食後2時間の血糖値は大丈夫だったのに赤ちゃんが低血糖だったのは、「おそらく食後すぐに血糖値が急上昇していたのが盲点になっていたのでは?」ということでした。今回は食後1時間の血糖値にも注目して、同じような食事療法をすることになりました。また、分娩時も血糖値をモニターして、胎児への影響を最小限にとどめることにしました。私の望むところの「万全の態勢」がしかれたという訳です。

覚悟を決めて、カピオラニ病院付きの栄養士にアポをとり、カロリー計算と摂取食品のリスト、砂糖を使わない調理法など、具体的な食事療法の指導を受けました。とはいっても、すでに一度経験しているダイエット法なので、今回は経験と知恵を生かして、いろいろ逃げ道も作ることにしました。何か「子供のためなら、砂を噛んでも…」という気力は今回は湧いてこず、「ダイエットは守りつつ、楽もしたいな〜」というのが本音(これって第2子の余裕? それとも、だらけてるだけ?)… たとえば、たまに飲みたくなるジュース類。血糖値の上がった妊婦は、たとえ100%果汁のジュースでも禁じられているのですが、砂糖ではなく人工甘味料を使用している「Crystal Light」はわずか5カロリーで栄養士もお薦めのドリンク。迷わず冷蔵庫に常備しました。ほかにも、人工甘味料を使ったゼリーもノーカロリーで、どうしても口が寂しい時の強い味方となりました。ダイエットといっても、妊婦ですから摂取カロリーは2000カロリーもあり、十分満腹感は得られるのですが、日本人の好きな麺類やご飯が大幅に制限され、代わりにたんぱく質(肉・魚・豆腐など)をかなりの量摂らねばならず、また味付けが極度に制限されているので、メニューを編み出すのが慣れるまではちょっと一苦労だったかな? また、外食もほとんど無理なのが辛かったです(妊婦にも社会生活があります。当然、外食にはいろんなお呼ばれなども含まれてます)

インシュリン注射で血糖値をコントロール
「万全の体制」で挑むことになった今回は、1ヶ月に1度の病院での血糖値の検査に加え、朝一と毎食後に自宅でも血糖値をチェックできるよう、糖尿病用のキットが支給されました。指先を小さなハリでチクリと刺して自分で血液検査ができるもので、携帯用になっています。これでチクチク検査して、毎週メリッシュ先生に電話で報告するのですが、やっているうちに、たまに食後1時間の血糖値が急上昇していることを発見しました。全く自覚はないのに「エ〜ッ!」っていう程、値が高いのです。メリッシュ先生の読みが当たりました。相談した結果、微量のインシュリン注射でよりシビアに血糖値をコントロールすることに決定。ちょっと抵抗はあったのですが、「万全の体制」を主張したのは私です。「う〜ん、後で後悔するよりは… 」と思い、ペンシル型のインシュリン注射器の使い方の指導を受け、食前にブスッと太ももに注射を始めました。これ、最初はゲ〜っと思うのですが、意外や意外、痛くないのです(有り余るぜい肉のなせる技か?)。でも、パパは最後まで「直視できない」と訴えていましたが… まあ、なんか急に「病人」になってしまった感じがして、最初は
さすがの私も「ここまで来たか…」と、涙が出ました。慣れてしまえば、大したことはないんですけどね…

こうして暗中模索で、ただ一生懸命自分にできる努力をしただけの「血糖値バトル」ですが、後に全ての苦労が報われる日がやってきました。次女クリスは血糖値も正常で、夢にまで見た母子同室が可能となったのです。母乳育児もスムーズにスタートし、母としては大満足! 「結果よければ全てよし」ですね。産後は血糖値も正常に戻りましたが、妊娠性糖尿病を患った場合は、産後の人生でも適度な運動を続け、太らないことが糖尿病発症を阻止する大事なファクターだそうです。「ウッ、厳しい〜!」。現在、とっても丸〜い状態が続いている私には、新たな挑戦が待っています。そう、「ダ・イ・エ・ッ・ト」なのです。厳しい〜!

プロフィール(わたしと家族の紹介)
わたし:愛称「がっちゃん」こと前田和子。ハワイ在住14年目。オペレーション・スーパーバイザーとして大手旅行社に勤務後、長女出産。「ハワイの歩き方」のエディター(育児休職中)で、現在2人の女児(4歳、5ヶ月)の育児に奮闘中。只今の生き甲斐は、子供たちが寝た後にホッとしていただくコーヒーと速読(ヤレヤレ)。
パパ:ぎりぎり49歳で2女の父になった超遅咲きパパ。ゴルフ三昧の定年人生は望むべくもなく、愛娘のために「死ぬまで働きつづける」のが今後の課題。職業はハワイ諸島の開発予定地の発掘調査を手がける考古学者。特技は子供を放りなげ続けるプール遊び。(当然ながら子供には超好かれます。ここまで体張って遊んでくれる大人はめったにいません)。
ステフ:長女。現在4歳半。妹を「マイベイビー」と自慢のタネにするのが得意。将来の夢はバレリーナと公言しつつレッスンに通うが、いまだにスキップができない。起き抜けに1枚、食後に1枚、寝しなに1枚と、お絵かきがやめられない元気いっぱいのプリスクール児。園ではクイン君という熱狂的なファン約1名を従えている。
クリス:次女。2001年9月11日に生まれた強運の持ち主。特技は、夜ひとりで勝手に眠れること。最近自分の足を発見したことがうれしくてたまらない5ヶ月児。腹ばいは苦手。愛称はちいちゃん(ミドルネームがちのちゃんです)だが、近頃はちーちー→ちーにまで簡略化されている。



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