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第18回 ワイメア・ヴァレー
●カフナの渓谷、ワイメア
引き続き1783年、マウイ島の酋長カへキリがオアフ島を征服した際にも、ワイメアはカへキリのカフナに贈与されました。その10数年後、今度はハワイ島の酋長カメハメハ大王がオアフ島を制圧すると、ワイメアはまたしてもカメハメハの神官へヴァへヴァの所有地となり、1837年にヘヴァへヴァが死去するまで、実に8世紀以上にわたってカフナにより支配されてきたのでした。 そんな理由もあり、別名「カフナの渓谷」とも呼ばれているのが、このワイメア・ヴァレーなのです。もう一つ、あたり一帯の山々は、古代の埋葬地が多数隠されていることでも知られています。これまでに切り立った山の中腹の洞窟から、タパ布で包まれた白骨やティキ像、カヌーの一部などが、たくさん発掘されています。
これら山中の遺跡に足を伸ばすことはできませんが、自然・歴史公園「ワイメア・ヴァレー・オーダボン・センター」の敷地内にも古代遺跡は点在し、こちらは間近に眺めることが可能です。同センターは以前、「ワイメア・フォールズ・パーク」の名で親しまれていましたが、昨夏、自然保護団体のオーダボン協会が経営を肩代わり。フラショーや滝壷でのダイビングショーなど、派手なアトラクションこそなくなりましたが、ワイメアの雄大な自然をそのまま利用し、熱帯植物や鳥類を楽しめる公園として人気を集めています。 パーク周辺でまずチェックしたいのが、駐車場脇にあるヘイアウ(古代神殿)、「ハレ・オ・ロノ」跡。1978年、ワイメア・フォールズ・パーク(当時)所属の歴史家により発見されたもので、建設に使われた珊瑚の古さから、1470年〜1850年にかけて建てられたものと判明しています。今では当時の姿が再現され、供え物、生贄(いけにえ)を捧げるための塔やカフナが神と交信するための塔、太鼓を保存するための小屋などが、石垣の上に設けられています。
●渓谷の聖霊に捧げられた祭壇? パーク内にも見所がいくつかあります。一つは「アフ・ポハク」。これもまたパークの歴史家により1981年に発見されました。一見、岩の上に苔むした石が並んでいるだけのように見えるのですが、これは「路傍の地蔵」ならぬ、「路傍の祭壇」だそうです。この道の奥には、酋長一族の居住地があったことが知られているので、「酋長への献上物を供えたり、酋長への敬意を示すためお参りをするための場だった」と推測されています。また、「ワイメア・ヴァレーの聖霊を祀る祭壇だった」との説もあるようです。目印となる説明書きがなければ、見落とされてしまうような岩なのですが、誰が供えたのでしょうか? 撮影で訪れた時にも、古代ハワイ式にティーリーフで包んだ供え物が、一つだけポツンと置かれているのが印象的でした。 この他にも、このパーク内には、古代の草葺の住居を再現したものや、サツマイモ畑跡など、古(いにしえ)のハワイの生活が偲べる、様々な遺跡が残されています。一度、ゆっくり、見学していただきたいと思います。
最後になりましたが、もう一つ、パーク内の滝にまつわる恐い話もご紹介しましょう。この滝は、スピリチュアルなワイメアの象徴とも言える存在なので、あえて最後にもってきたのですが... パーク入口から30分ほど歩いたところにあるこの滝は、高さ約12メートル。ワイメア・フォールズ・パークとして運営されていた時代は滝上の岩場からダイバーが滝壷に飛び込むダイブ・ショーが、人気アトラクションとなっていました。流れ落ちる滝の下には大小の岩があり、それを避けながら滝壷にダイブするのは、プロであっても至難の業。1980年、この滝で女性のクリフ(絶壁)・ダイビング世界選手権も開かれました。 そして... 実際、この滝では、犠牲者も多数出ています。記録が取られ始めた1952年以降だけでも、8人がここで亡くなっています。最後の犠牲者が出たのは、1997年10月。ダイブ・ショーのオーディション中、なんとプロのダイバーが滝の下の岩に頭をぶつけ、即死しているんですね。
過去、そんな説を読んで、「大トカゲとか、古代酋長の霊だとか、まさか」と思っていたのですが... プロ・ダイバーの死亡事故の直後に書かれた、地元の英字紙「ホノルル・スターブリテン」の同年10月13日付けの記事を見てビックリ。その事故の際も、ダイバーの遺体が1時間以上も発見されなかった、とあったからです。しかも、同記事に記載された過去の事故の記録を見ても、たとえば1952年の事故では遺体は翌朝まで発見されず、54年、60年の事故では2時間、64年の事故では3時間以上見つからなかった、と記載されていました。 その理由について、記事の中では、「滝の水量が多くて、遺体が沈み込んでしまう」「水が不透明なため」と推測されていましたが... ナイアガラの滝ほどの大滝でもあるまいし、この小さな滝壷で、そんなことがありえるのでしょうか?
池に常駐するライフガードにそんな話をすると、「確かに遺体が仲々浮かんでこない、という話は聞いたことがある」とのこと。ただし、理由については、「小さい池だけれど、案外深いからでは?」と言うのみでした。 また、同じ質問を、パーク内の他のスタッフにもぶつけてみました。けれど、そもそも「ワイメア・ヴァレーの恐い話を聞きたい」という私の言葉自体が気に入らなかったのでしょう。女性スタッフは、「そんな、滝壷に霊が住みついているとか何とか、大嘘! そういうのは全て作り話」と、マジメな顔で否定するばかり。
結局、滝の謎についての真相は藪の中だったのですが、今もこのワイメア・ヴァレーには、様々な古代の神秘が秘められているのは事実のようですね。皆さんもノースショアへお出かけの際は、この滝を眺めに出かけてみてはいかがでしょうか? もし、池で泳ぐ際はライフガードの言葉に従い、特に滝の上からの飛込みなど絶対になさらないよう! どうぞ、ご注意ください。 ◎Waimea Valley Audubon Center ワイメア・ヴァレー・オーダボンセンター 住所:59‐864 Kamehameha Highway, Haleiwa, HI 96712 電話:(808)638-9199 料金:大人$8、子供(4歳〜12歳)&シニア(60歳以上)$5。3歳以下は無料。 営業時間:9:30〜17:00(無休) 休日:クリスマス、元日(感謝祭と大晦日は午後3時まで) アクセス:アラモアナ・センターから52番バスで約2時間 ホームページ(英語): www.audubon.org (森出じゅん) |