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第16回 呪われた? H-3フリーウェイ

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2007年12月16日

第16回 呪われた? H-3フリーウェイ

●聖なる土地を汚したフリーウェイ


H-3フリーウェイには、建設中から奇妙な噂が…

今回のテーマは、「H-3フリーウェイ」。オアフ島西部の真珠湾から、東部のカネオヘまでを結ぶ全長24kmのこのフリーウェイは、34年もの年月と総工費13億ドルをかけ、1997月12月に開通しました。完成が遅れに遅れて工費もグングン増え、1kmにつき540万ドルもの費用がかかったため、ハワイ州民にも「世界で一番高いフリーウェイ」と揶揄(やゆ)されてきたことは、ご存知かもしれませんね。

しかも、神話と先史時代のハワイアン遺跡の宝庫であるハラヴァ渓谷を貫いていることから、その建設に対しては設計段階から非難が続出。建設を巡って、盛んな抗議運動が行われました。そんな背景から、建設中は、「神聖な土地を汚した祟りか? 建設現場で事故が続出」「ハワイアンの幽霊が出た」などと怖い噂も流れ、たびたび地元紙に取り上げられました。数度の御祓いと工事の遅れを経て、ようやく完成した、曰くつきのフリーウェイ。別に避けていた訳ではないのですが、先日、開通から6年目にして初めてこのフリーウェイを走ってきたので、H-3フリーウェイにまつわるちょっと恐い噂についてお話しましょう。


●「誰かが死ぬと、嬉しくなるわ」


96年の大事故を報じた地元紙。H-3に呪いをかけている(?)写真の女性にも注目

今、手元に96年8月4日付けの地元紙「ホノルル・アドバタイザー」があるのですが… その1面には、マイレ・レイをかけた長髪のハワイアン女性が、建設中のH-3の下で手を広げている写真が掲載されています。一体、そこで何をしているのでしょうか? 記事によれば、この女性はハワイ大学のハワイアン・スタディセンターの助教授で、ナント、H-3に呪いをかけるチャント(詠唱)をしているのだそうです。その女性は、記事の中でこう発言しています。「私達の神聖な土地が汚されるのを見ると、すごく腹が立ちます。そういった場所で誰か死んだと聞くと、嬉しくなるわ」。

ちょっと恐ろしい発言ですが、何が彼女をそこまで激怒させているのでしょう? 先に書いた通り、H-3の走るコオラウ山脈、特に真珠湾側のハラヴァ渓谷は古代遺跡の多く残る、ハワイアンの聖地とされています。前回取り上げた「ケアイヴァ・ヘイアウ」も、ハラヴァ渓谷の一部。ビショップ博物館の調べによれば、この渓谷には68もの遺跡が点在しているのだそうです。ハワイ神話の母なる大地の女神、パパハナウモクの本拠地がハラヴァ渓谷だそうで、古代ハワイの信仰の中心となっていた大きなヘイアウ(神殿)の跡も、いくつか残されています。


雄大なコオラウ山脈の裾野を走るH-3を、「環境破壊だ」と批判する声も続出

その、緑深い聖なる渓谷を切り崩し、醜いコンクリートの塊を張り巡らせたのがH-3という訳で、先の助教授ほどの怒りではないにしても、各ハワイアン団体が盛んに抗議運動を展開したのは、まだ記憶に新しいところ。建築材料を運ぶために新設された道路、H-3アクセスロードに寝転んでトラックの通行を妨げたりと、大規模な運動が展開されたのでした。

また、H-3のルートが92年に、一度変更されたこともありました。それはあるビショップ博物館の人類学者が、「ハワイ州とビショップ博物館は、H-3のルートに重要な古代宗教遺跡があるのを隠している」と暴露した後のことでした。その結果、彼は博物館を解雇されてしまいましたが、その発言が元になり、古代遺跡を避けるためルートが変更されることになったのです。もっとも、建設に異議を唱えたのは、ハワイアンだけに限りません。それ以外の州民も、「ハラヴァ渓谷の美観を崩した」「環境破壊だ」と、声高に建設反対を唱えたのでした。

●なぜか崩れ落ちた橋げた


山脈をくり貫いて造られた、長さ1.6kmのトンネル。内部で幽霊が出たとの噂も…

H-3を巡るネガティブな空気のせいなのでしょうか。それとも、神の怒りによるものなのか。真相は不明ですが、実際、フリーウェイ建設中は、奇怪な出来事や事故が多発しました。「急にブルドーザーが倒れた」「トンネル工事の最中に幽霊が出た」という怪談めいた話もありましたし、死亡事故も90年と95年に2回ほど発生。中でも(死者は出ませんでしたが)関係者を震えあがらせたのが、96年7月の大事故です。翌年の開通を控えて、作業のピッチも上がり、熱心に仕上げ工事が進められていたある日。何とハラヴァ渓谷を貫くフリーウェイ部分の橋げたが崩れ、完成した道路が36メートルに渡り崩れ落ちてしまったのです 事故は道路下部を、地震対策のため鉄鋼で補強している際に起きたそうです。明らかな原因がないまま起きた、大変奇怪な事故でした。

そもそも、現代のテクノロジーの粋を集めたフリーウェイ建築作業で、そんな40トンものコンクリートが一挙に崩れ落ちるなんていう事態がありえるのでしょうか? 常識では考えられない事故の発生で、政府関係者をはじめ、頭をよぎったのが、やはり「神の祟り」という言葉でした。奇しくも、事故現場が重要な古代ヘイアウ跡近くだったことも手伝って、誰もがゾッとしてしまった様子。冒頭で挙げた新聞の見出しも、「H-3でのトラブル、超自然的な怒りのパワーへの信仰を強める」というものでした。


すぐ間近に山が迫り、走っていると一帯のマナ(霊力)すら感じられるような気が…

事故の後、早速、御祓いが行われることになりました。儀式を司ったのは、昔ハワイ王朝の礼拝場だったカワイアハオ・チャーチの元牧師、アブラハム・アカカ氏。アカカ牧師は事故現場で、180年前に造られ、かつてカメハメハ大王のものだったというカラバシ(ヒョウタンの器)を捧げ、工事の安全を求めて祈ったそうです。その後、事故の頻度は減り、死者が出ることもありませんでしたが、さらにダイナマイトの暴発事故なども続き、予定が大幅に遅れて97年末、ようやく開通したのです。

●自然のマナが漂う山中のフリーウェイ
以上のように、トラブルが続出して、予算も工期も大幅にオーバーしてようやく開通したH-3。ただし、開通してからは、「後部座席に見知らぬ人が乗っていた」… なんて恐い話は別に聞かれず、交通事故が多発するということもない様子。逆に、風光明媚なルートが、人気を呼んでいると言えるかもしれません(建設中はあんなに不評だったのに…) 確かに便利なルートですし、真新しく広々とした道路を走るのは気持ちの良いもの。実際、ドライブしてみて、私もそんな風に感じてしまいました。


カネオヘ側のH-3展望台から美しいカネオヘ湾が一望のもと

周辺の風景の素晴らしさ すぐ横に山が迫り、壮大なハワイの自然の真っただ中をドライブする、そんな感じのフリーウェイです。周囲にはコアやククイの木、ヤシの木が茂り、木々の枝がワサワサとフリーウェイにも伸びて、野性味たっぷり。自然の迫力に気押されるような感じさえしてきます。そんな訳で、霊的な能力など全くないのですが(恐い話は好きですが、実際幽霊に遭遇したこともありません)、H-3一帯がマナ(ハワイ語で霊力のこと)の漂う聖地であることは、何となく感じられました。人が足を踏み入れない緑の谷深くの聖地にフリーウェイを通したこと。それは、やはり大変罪深い行為だったのかもしれませんね。

もちろん、H-3を走って感じることは、人によって違うことでしょう。でも、皆さんにも是非、一度、H-3をドライブしていただきたいと思います。その賛否は別として、H-3フリーウェイがハワイの自然と文化の宝庫である聖なる地域を貫いていることは、紛れもない事実。文化的でスピリチュアルな体験が、もしかしたら皆さんを待ち受けているかもしれませんよ。

(森出じゅん)

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