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第04回 聖地クアロア

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2007年12月04日

第4回 聖地クアロア

●王族も暮らした神聖な土地


多くの洞窟が残るコオラウ山脈。カヌーも出土しています

今回はハワイの人たちが「オアフ島で最も神聖なエリア」とみなし、数々の神話や伝説が残る風光明媚なオアフ島北東部のクアロアの知られざる横顔をご紹介します。ホノルルからはリケリケ・ハイウェイ経由のドライブで約50分。コオラウ山脈とカネオヘ湾に挟まれたクアロア地区には古代、多くのヘイアウ(神殿)が存在し、王族子息の教育の地としても知られていました。王族の子息は生後間もなくクアロアに移され、武術や王族としての慣習・伝統を教え込まれたそうです。その昔、海沿いには王族の居住地であることを示す旗がはためき、クアロア沖を通るあらゆるカヌーは帆を降ろしてこの地に敬意を示したそうです。この一帯からクジラの歯で作るネックレス、ニホ・パラオア(王族だけが身に付けることを許された装飾品。ダウンタウンにあるハワイ王朝最後の女王リリウオカラニの銅像もニホ・パラオアを付けています)も出土しており、ここが間違いなく王族の居住地だったことを示しています。

昔オアフ島の王が他島の王にクアロアを差し出すよう要求された際、一人の高僧が「聖なるクアロアを譲渡するのは、オアフ全体の支配権を差し出すのと同じこと。クアロアを失えば、あなたはもう王とは言えない。他の土地ならまだしも、クアロアだけは絶対に譲れない」と、口をきわめて反対したという逸話も残されています。

●周辺の海と山は伝説の宝庫


海と山に囲まれたクアロアには様々な伝説が残されています

一帯には数世紀前に造られたフィッシュ・ポンド(養魚池)も点在し、うちモリイ・フィッシュポンドは面積124エーカー、1辺の最長は1200メートルと、オアフ島最大。駐車場を含めたアラモアナ・パークとほぼ同じ大きさといえば、そのスケールの巨大さに驚かされます。伝説によれば、この池はハワイ神話に出てくる働き者の小人族、メネフネによって造られたといわれています。池の隣りにある海水浴客で賑わうクアロア・ビーチパークにも、半神の鮫が住んでいたという泉や、やはりメネフネが造ったというコホラレレの堀など、伝説の遺物がいくつも残されています。


事故の多発地点とされているクアロア・ビーチパーク前

さらに、ビーチパーク沿いにそびえるコオラウ山脈についても、たくさんの伝説が語り継がれています。山脈に深々と刻まれた皺(実際には渓谷)は古代、ハワイアンが大きなカヌーを引きずりながら山越えした際についた跡だそうです。山のあちこちには、イノシシの化身で半神のカマプアアが掘ったとされる洞窟も多数残されています。そのうちの一つは、カマプアアが火山の女神ペレに追われた際に隠れた洞窟とされ、ホロアペエ(ハワイ語で走る、隠れるの意味)との名前で知られています。何でも、以前、考古学者が付近の山肌を調査した時には、いくつかの洞窟から丸ごとのカヌーや、ニホ・パラオアをつけたイノシシの白骨体(カマプアアの神体でしょうか?)などが出土。ハワイの洞窟は一般的に、埋葬など宗教目的で使われることが多かったので、周辺には今も王族の遺体が多数隠されているのかもしれませんね。

一方、海に目を移せば、ビーチパーク前方に、小さな三角帽子のような外観の無人島がポッカリと浮かんでいます。この島は通称チャイナマンズ・ハットと呼ばれていますが、本来の名称はモコリイ島。「ペレの妹の女神ヒイアカが大トカゲのモオを退治した時、切り離した尾を海に投げ込んだのが島になった」というユニークな伝説が残っています。クアロア周辺は、まさに伝説の宝庫。オアフ島でも大変特別な意味を持つ地域な訳です。

●メネフネが直した? カヌー


昔は沖を通るカヌーが帆を下げて敬意を示した聖地クアロア

ちなみに、クアロア・ビーチパークは、私のお気に入りのビーチパークでもあります。公園の奥にはキャンプ場もあり(キャンプにはホノルル市役所からの許可証が必要)、年に何回かは家族でキャンプ生活も楽しんでいます。ところが、クアロアでキャンプすると言うと、「よく怖くないね」と言う人が必ずいるのです。というのも、聖地クアロアには、ちょっと怪談めいた話もいろいろ伝わっているのです。たとえば、ビーチパーク入口周辺の道路は、なぜか交通事故の多発地帯と言われています。それについて、こんなことを言う男性がいました。「ビーチパーク全体が古代の埋葬地だから、そこに眠る霊が事故を招いているのだ」。この男性は1981年、ビーチパークでの水道工事に携わったとのこと。その時、ビーチパークのあちこちで人骨が見つかったのだそうで、「あそこでキャンプなんて…」と眉をひそめるのでした。

また、知人のハワイアン男性は学生時代、ビーチパークのキャンプ場でアルバイトをしていました。彼が言うには、真夜中だというのに山の麓の草むらから赤ん坊の泣き声が聞こえてくることがあったとか。「早速、その辺をチェックしてみたけど、誰もいなかった」。「もしかしたら猫だったのかもしれないけれど、どう考えてもあれは人間の赤ん坊の声だった」と今も首を傾げています。さらに彼の上司にも、こんな体験が… ある日の夕方、その男性はビーチパーク所属のカヌーを修理しました。ところが、翌朝カヌーをチェックすると、なんと直した箇所がプロフェッショナルにキッチリ修繕し直されていたといいます。「ただ、グルグル巻いておいたロープが、ひねっては結び、ひねっては結びと、まるで編み込むように巻き直されていたんだよ」と上司は語ったそうです。そのカヌーは、ホノルル市主催の児童プログラムでもっぱら使われていたカヌーでした。手先が器用で働き者のメネフネの伝説が色濃く残る土地ということもあり、その上司は「メネフネが子供達の安全のために手を貸してくれたんだろう」と、信じて疑わなかったそうです。


クアロア沖に浮かぶモコリイ島(通称チャイナマンズ・ハット)

私自身について言えば、クアロアでのキャンプ時にも幸か不幸か? 怖い経験をしたことは一度もありません。ただ、目の前にはエメラルドグリーンの海、背後には壮大な山脈という特殊な地形のせいなのか、はたまた土地に漂うマナ(霊力)のせいなのでしょうか。クアロアを訪れた後は、日頃の疲れやストレスがグ?ンと癒され、最高にリフレッシュした気分になります。「古代の埋葬地だった」なんて言われても、クアロア通いは当分やめられそうにありません(今月もまた、キャンプに行く予定です)。みなさんもこんなオアフ島隋一の聖地クアロアを、是非、ぜひ訪れてみてくださいね。

(森出じゅん)

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