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第16回 呪われた? H-3フリーウェイ
●聖なる土地を汚したフリーウェイ
●「誰かが死ぬと、嬉しくなるわ」
ちょっと恐ろしい発言ですが、何が彼女をそこまで激怒させているのでしょう? 先に書いた通り、H-3の走るコオラウ山脈、特に真珠湾側のハラヴァ渓谷は古代遺跡の多く残る、ハワイアンの聖地とされています。前回取り上げた「ケアイヴァ・ヘイアウ」も、ハラヴァ渓谷の一部。ビショップ博物館の調べによれば、この渓谷には68もの遺跡が点在しているのだそうです。ハワイ神話の母なる大地の女神、パパハナウモクの本拠地がハラヴァ渓谷だそうで、古代ハワイの信仰の中心となっていた大きなヘイアウ(神殿)の跡も、いくつか残されています。
また、H-3のルートが92年に、一度変更されたこともありました。それはあるビショップ博物館の人類学者が、「ハワイ州とビショップ博物館は、H-3のルートに重要な古代宗教遺跡があるのを隠している」と暴露した後のことでした。その結果、彼は博物館を解雇されてしまいましたが、その発言が元になり、古代遺跡を避けるためルートが変更されることになったのです。もっとも、建設に異議を唱えたのは、ハワイアンだけに限りません。それ以外の州民も、「ハラヴァ渓谷の美観を崩した」「環境破壊だ」と、声高に建設反対を唱えたのでした。 ●なぜか崩れ落ちた橋げた
そもそも、現代のテクノロジーの粋を集めたフリーウェイ建築作業で、そんな40トンものコンクリートが一挙に崩れ落ちるなんていう事態がありえるのでしょうか? 常識では考えられない事故の発生で、政府関係者をはじめ、頭をよぎったのが、やはり「神の祟り」という言葉でした。奇しくも、事故現場が重要な古代ヘイアウ跡近くだったことも手伝って、誰もがゾッとしてしまった様子。冒頭で挙げた新聞の見出しも、「H-3でのトラブル、超自然的な怒りのパワーへの信仰を強める」というものでした。
●自然のマナが漂う山中のフリーウェイ 以上のように、トラブルが続出して、予算も工期も大幅にオーバーしてようやく開通したH-3。ただし、開通してからは、「後部座席に見知らぬ人が乗っていた」... なんて恐い話は別に聞かれず、交通事故が多発するということもない様子。逆に、風光明媚なルートが、人気を呼んでいると言えるかもしれません(建設中はあんなに不評だったのに...) 確かに便利なルートですし、真新しく広々とした道路を走るのは気持ちの良いもの。実際、ドライブしてみて、私もそんな風に感じてしまいました。
もちろん、H-3を走って感じることは、人によって違うことでしょう。でも、皆さんにも是非、一度、H-3をドライブしていただきたいと思います。その賛否は別として、H-3フリーウェイがハワイの自然と文化の宝庫である聖なる地域を貫いていることは、紛れもない事実。文化的でスピリチュアルな体験が、もしかしたら皆さんを待ち受けているかもしれませんよ。 (森出じゅん) |