第13回 WCCのハワイ語&ハワイ文化クラス
講義の途中で大切なハワイ語の単語を書き出していくヤゴディッチ講師 |
●カピオラニ短大が主催 今回ご紹介するのは、ワイキキ・コミュニティセンターで実施されている「ハワイ語とハワイ文化」のコース。どちらかと言えば文化的な学習が中心で、その中で実用的なハワイ語の単語や言い回しを学んでいくという、大変ユニークなコースです。
ワイキキ・コミュニティセンター内のチャペルを教室として利用していますが、実は同コースを主催するのは、ハワイ大学傘下の短大の1つ、カピオラニ・コミュニティ・カレッジ(KCC)なのです。実はこのクラスはもともと、KCCのホスピタリティ&トラベル学部が、ホテルや空港関係者など、旅行業界の人達を対象に行っている出張クラスでした。ハワイの文化をさらに理解してもらうことを目的に、5年前にスタートしたのですが、2年前からは地域サービスの一環として、コミュニティセンターでも同様のクラスが開かれるようになりました。
開講当初は週に1時間だけ、初級コースのみの開催でしたが、コースを終了した参加者から「もっと勉強を続けたい」との要望が相次いで、今では初級・中級・上級という3コースが、毎週金曜日に開かれています。講師は、KCCの講師であるパラキコ・ヤゴディッチさん。ハワイ大学でハワイ文化を専攻したスペシャリストです。 |
講師のパラキコ・ヤゴディッチさん |
●古代ハワイの概念、習慣を学習 「ハワイ語とハワイ文化」コースは週1回の実施で、初級・中級・上級とも各10週間。1回のクラスは1時間です。今回取材した初級クラスでは、ハワイの社会の様々な「概念」をテーマに、先史時代のハワイの生活を学んでいきます。たとえば、ハワイの創世記である「クムリポ」をテーマにしたクラスでは、無から生物が生まれ、人間が登場し、その後、社会の中で生物と人間、生物と土地がどのように関わってきたか? ハワイアンがどのように土地を大切に扱ってきたか? などを解説します。
また、先史時代の土地分割の単位だった、「アフプアア」についても学習。アフプアアとは、山から海までの土地を縦割りにした生活共同体のことを言います。その共同体の中で、海辺の人々と山に住む人々が、どう協力しあって生きていたか? 「昔のハワイアンは物々交換をするというより、自分が必要とする以上の獲物や作物があれば、それをただ人に譲っていました。それが当時の習慣だった」など、アフプアアをテーマに古代の風習や生活について学んでいきます。 |
生徒にはハワイ在住のアメリカ本土出身者が多いそうです |
●テーマに沿って雑談する雰囲気 以上のように文章にすると、クラスの内容が大変難しい、退屈なものであるかのような印象を与えてしまうかもしれませんね。でも、それは大きな誤解なのです。実際は、講師のヤゴディッチさんがテーマに沿って雑談をするという感じで、クラスの雰囲気はいたってカジュアルです。「アフプアア」の回では、古代社会の男性の役割(狩りや料理など)、女性の役割(マットを編んだりタパ布を作ったりなど)、女性にはタブーだった食物(豚やバナナなど)の話から、古代のグルメフードだった魚や貝の話題など、話はドンドン発展し、それは興味深い内容です。ヤゴディッチさんの知識の幅は本当に広く、本を読むだけでは分からない雑学的な知識も、たっぷり得られることは間違いありません。 |
カピオラニ・コミュニティ・カレッジ製作のテキストを使用 |
●実践的なハワイ語レッスンも好評 毎回クラスの最後には、簡単なハワイ語のレッスンも実施。取材当日のレッスンでは、「これは何ですか?」との問いに答えて、「これはペンです」「これは紙です」「これはウクレレです」といった、1つの会話パターンを習いました。「これ」を「これら」と複数形にしたり、「これ」を「あれ」にしたりと、1つの言い回しを、バリエーションも合わせてみっちり学習。フレーズと一緒に単語や文法を学ぶので、理解しやすい内容でした。1度のレッスンを受けただけで、全く未知だったハワイ語の世界に少し踏み込んだような、そんな満足感が得られるレッスンでした。 |
以上、ご紹介してきたこのクラスは、確かに英語が苦手な人には難しいかもしれません。けれど、ハワイの文化に興味があり、そういった本を何冊か読んだことのある人なら、なんとか理解できるのではないでしょうか。観光客の少ないクラスですが、是非、積極的にチャレンジしていただきたいディープなクラスです。ハワイ文化を真剣に学びたいけれど、大学などあまりにシリアスな環境で、試験を受けたりレポート作成に追われたりというストレスが嫌な方には、最適かもしれません。
このコースの授業料は、計10回で$30。次回の初級コースは5月にスタート予定ですが、正確な日程は未定。ワイキキ・コミュニティセンターにお問い合わせくださいね。 |
参加者のコメント |
高倉成子さん(ホノルル在住)
娘がホノルルの高校に留学しているので、私も語学留学中です。せっかくハワイにいるのだからと、フラも勉強中。フラを学ぶにはハワイの文化も知っていなければいけないので、このコースを学び始めました。先生の話は分かりやすく楽しいですが、やはりある程度英語ができなければ難しいのでは。以前は、ほかにも日本人の生徒がいたのですが、英語が分からないと言って辞めてしまいました。私は英語の辞書、ハワイ語の辞書の2冊を持参して、何とかやっています。先生の言っていることが半分分からなくても、要は自分が楽しいかどうか。私に関して言えば、このクラスは英語のヒヤリングの勉強にもなり、英語でハワイ語を習うことで、逆に英語がより理解できるようになった気がします。 |
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◎Waikiki Community Center
ワイキキ・コミュニティ・センター
住所:310 Paokalani Ave., Honolulu, HI 96815
電話:923-1802
■ハワイアン・カルチャー連載 / かずこセリッグの「ハワイ語の世界」 / ハワイ語との出会い
(森出じゅん)
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