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第06回 チャント(CHANT)

投稿者: ハワイ歩き方事務局 更新日:2001年01月10日

第6回 チャント(CHANT)


フラには言葉がつきものです。本来、口承文化なだけに、音楽を使ってストーリー感情を体で表現し、できるだけ体を大きく見せるバレエとは根本からかけ離れています(実はこのこと、ずいぶん経ってから気づきました)。むしろ、流派があったり、体を伸ばしきらない点から、日本舞踊と似ているのかもしれません。チャント(詩詠)を表現するのに、体の動きや顔の表情を使うので手話と似ているという人もいます。チャントは、メレ<踊りを伴うもの>とオリ<それだけを朗詠するもの>との2種類があります。

私が知っているカヒコ〔古典〕は2種類に分類できます。1つは神に捧げ、神を語るもの。ハワイの神は唯一神ではありません。宗教とは違う点です。最も代表的なのはペレ〔火の神〕ですが、他にも、風、海、各地方の大地といった、自然に根ざした神々が存在します。もう1つのカヒコは、ハワイ王朝の歴史を語り継ぐもの。ハワイの歴史はアメリカ合衆国より古いのです。すでにハワイ王朝は歴史上消滅しましたが、今でもフラを通してリリウオカラニ王女やカラカウア王など、歴史上の人物像を垣間見ることができます。因みに、ハラオに入って、最初に習ったカヒコは、「アイ・アラ・オ・ペレ」と「リリウ・オ・カラニ」でした。カヒコに使われる楽器は主にイプ<瓢箪型のもの、または、その半分の形のもの>やパフドラムです。

アウアナ〔現代〕になると、それはもう多様なスタイルの歌と踊りが許されています。私の所属するハラオでは、ハワイ語の曲しか使いませんが、英語の歌もよく使われています。曲を奏でるのは、ウクレレ、ギター、ピアノとなんでもありです。ホテルのラウンジなどで生バンドの演奏で踊っているダンサーを見かけたら、アウアナだと思って間違い無いでしょう。もともとウクレレは、ハワイに移民したポルトガルのカウボーイ達が弾いていたギターを真似て作られたといわれています。従って、パニオロ<カウボーイ>スタイルというのも定着しています。

踊る前の一式を正面から見たところ。
プウイリ、ウリウリ、イプ

カヒコとアウアナに共通して言えることが3つあります。第1は、踊るための曲やチャントは、ほとんどが4拍子であることです。そして、例外はあるものの、小節を復誦して使います。第2は、ダンサーが手に持って踊る楽器です。イリイリ<日本庭園に使われているような楕円形の石>、プウイリ<竹で出来た大きなさらさのようなもの>やウリウリ<様々な色をつけた鳥の羽で飾られている、マラカスみたいな音を出すもの>などは、カヒコとアウアナの両方に使われています。でも、アウアナではペアの楽器を両手で持ちますが、カヒコだと、なぜか1つだけを片手で持ち、もう片方の手に持ち替えません。第3は、カヘアです。チャントの前後や小節の合間に入れる掛け声のようなもので、フラを踊る上で重要な役割を果たします。チャンターやバンド、そしてダンサー同士が次の節を確認し合うのに役立つだけでなく、チャントを神や人物に捧げることを意味するため、心から理解し、正しく発音することが必要です。特にカヒコでは、カヘアだけを何度も何時間も練習することがあります。ダンサー全員が息を揃えて、同じタイミングで正しいカヘアを入れるのは、簡単そうでもなかなか難しいものなのです。

イリイリ

日常会話を英語で過ごす人達にとってハワイ語は別の言語です。チャントの意味を理解せずにフラは踊れない、というクムの教えから、新しいチャントを習う度に英語の翻訳を渡されて、その意味を頭と心で理解するようにします。私にとっては英語も外国語なので頭の切り替えが余計に必要で、さらにハワイに関する知識も文化背景も持っていないので、一緒に習う人達の何倍も時間がかかります。そして、正しい発音を得るために、クラスでは毎回発声練習を欠かせません。練習に使うのはハワイ語の母音(A, E, I, O, U)で、これはまさに日本語の「あいうえお」と発音も数も同じです。ただし、順番が異なるので、私は今でも時々大きな声で間違えます。逆に、ハワイ語を話す友人が日本語のクラスで母音の発音練習をしたところ、順番に戸惑ったと言っていました。物事を暗記するのに順番って重要なんですね。フラを踊りとして楽しむだけでなく、フラと切っても切れない間柄であるチャントの意味が理解できたら、楽しさは数倍に増えることでしょう。(Shoko)

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