ハパハオリ・フェスティバル
●商業目的で生まれた音楽「ハパハオリ」 「ハパハオリ」の代表と言えば、ハリウッド映画に出てくる「フラ」と「音楽」です。メリーモナークで審査員を務め、ハワイ大学で教鞭を執りながら、ホノルルでフラを教えるクムフラが主催して、8月、ハパハオリのフェスティバルがロイヤル・ハワイアン・ホテルで開催されました。このフェスティバルの一環として、フラと音楽のほかに、ハパハオリの歴史を振り返るフィルムもホノルル美術館で上映されました。上映会にはたくさんの人たちが訪れ、フィルムを見ながら熱心に解説に耳を傾けていました。 フェスティバルの開催地として、ロイヤル・ハワイアン・ホテルのモナークルームが選ばれたのにも、理由があります。モナークルームは、かつてハパハオリの代表的な演奏者たちに愛されたゆかりのある所であり、たくさんの観客が足を運んだ場所でもあるのです。 |
●「アロハオエ」はハパハオリの代表的な曲
「ハパハオリ」は1900年代初期、本土の人たちにハワイと言う観光地をエキゾチックにアピールするために、商業目的で生まれた音楽なのです。「フラ」はあくまでもダンスの一つとして西洋スタイルを取り入れ、セロファン・スカートや光沢のある衣装が使われました。着飾ったダンサーたちの髪には大きなハイビスカスの花、胸にはプルメリアのレイが欠かせませんでした。ハワイが州外にアピールされていた頃、州内ではハワイ語の使用が禁止されました。学校でも家庭でも、ハワイ語を話すことは違法とされました。ハパハオリの音楽は、ハワイと言うトロピカル・パラダイスを強調する、英語で書かれた歌として普及されました。言い換えれば、ハワイ語が禁止されていたこともあって、地元やハリウッドの作曲家たちは、アロハ・スピリットをハパハオリの音楽にのせて表現したといえます。
では、どんな曲がハパハオリの音楽としての範疇(はんちゅう)に入るのでしょうか? ハパハオリの代表的な曲には、「アロハオエ」、「ハワイアン・ウォーチャント」、「カカリネイアウ」などがあります。例えば、「ハオレフラ」と言う曲は、ハワイアンの作曲家が作る曲と同じように、風、海、島、空、という要素を歌詞の中に取り入れています。作曲家はハワイアンの血をひかなくとも、ハワイと言う土地で生まれ育った環境から作った曲といえます。一方、「スィート・レイラニ」という曲はベストソング・アカデミー賞に輝いたハワイ関連の唯一の曲ですが、ハパハオリの曲として考慮されないという人もいます。旋律のきれいな曲でも、歌詞は子守唄であって、ハワイのことでもハワイアンの気持ちを歌った歌詞でもないからです。歌詞がハワイ語でも英語でも、内容次第ということでしょうか。
●ハパハオリの音楽を絶やさない努力
このフェスティバルの開催の理由の一つに、若い人たちがハパハオリの音楽を知らない、または、あまり聞き慣れない、という現状があります。近年、メリーモナークやプリンス・ロット・フェスティバルなど、フラカヒコが注目を浴びる中、ハパハオリは影を潜めてきました。伝統的なハワイアン・ミュージックでも本来のフラでもない、というのが疎外されている理由です。確かに、伝統的にしろコンテンポラリーにしろ、ハワイ語でしか歌わない若いバンドが多いのも事実です。誰もがハワイ語で歌うハワイアンになりたがるからです。かつて、観光客のために作られたハパハオリの曲は、今日、若手の音楽家たちの間で歌い継がれる種類の音楽ではなくなりました。海外にも名を馳せるハワイアン・バンドは、音楽を愛する本土からの観光客たちの要望に応えて、グループのハパハオリの曲を集めるCDを作ったそうです。アップテンポで楽しいハパハオリの曲は、あとに続くダンスや音楽を活気づけるものとして、ショーの初めに使われるそうです。このように、ハワイアン・ミュージックの大御所は、ハワイの伝統的な曲をハワイ語で歌うだけでなく、ハパハオリの曲にも精通する奥行きがあります。
フェスティバルを主催するクムフラは、彼女のクムフラから、いつも「あらゆることに精通し、支持するように」と教わったそうです。私の所属するハラウのカーネギーホールでの公演でも、5つに分けたフラの時代考証の中で、ハパハオリは「ハリウッド・フラの時代」として立派に一部を担いました。それだけ、たくさんの曲やフラが存在した証拠でもあります。フラがいろいろな形を見せながら、現在までたどりついた歴史上、ハパハオリの音楽は決して無視できない重要な役割を占めています。そして、ハパハオリの音楽を絶やさないように、努力を続ける人たちが存在しているのも事実です。
●おまけ 毎週日曜日、午後5時から6時まで、ラジオ局(FM周波数105)で懐かしいハパハオリの曲を流しています。DJのお勧めトップ10をご紹介します。 ◎Harry’s hit list ●イベントのお知らせ (Kawailani) |
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