ウクレレ初体験
●見学のはずが週1回参加するはめに
ウクレレの先生の話を真剣に聞く参加者たち |
思いがけず「ウクレレ」を習うことになりました。「ハラウのミュージシャンの一人が、フラシスターの家に来て教えてくれるらしい」という話を耳にしたのは先月中旬。私は自他共に認める音痴ですし、子供の頃、お稽古事の主流だったピアノも「肩が凝る」という口実で「バイエルの赤い教科書」は途中で挫折しました。人並みに音符ぐらい読めなくては、と思い直して大学時代にマンドリン・オーケストラなるものに所属して、マンドリン系統の中低音楽器、マンドラを触りましたが1年と続きませんでした。ですから、プロのミュージシャンに教わるのは大変光栄なこととはいえ、他人事のように聞いていました。
フラシスターの家に住む私の犬に会いがてら、話のタネにクラスの風景を覗いてみることにしました。「見学」はくせ者です。庭で犬と再会を喜んでいると「早くしなさい、みんな待っているんだから」と呼ばれ、「アロハ」とみんなに挨拶している間に友人のウクレレを手にして、「私は見学に来ただけなんですけど」という間もなく、教材のペーパーを目の前にして座り、「来週までにバインダーを用意してね」という言葉に思わずうなずいてしまいました。我にかえって「えっ! 何で?」と救いを求めてフラシスターを視線で追うと、思い切り優しい目で「そのウクレレ、使っていいから」と返され、何も言えなくなるのでした。こうして、週に1回のクラスに参加することになったのです。
他人の楽器を借りるのは、他人の包丁を使うのと同じくらい気が引けます。借りる予定だったウクレレは、結局私と同じように習うはめになったフラシスターが使い、先生であるミュージシャンのウクレレを使わせてもらった時は緊張して練習になりませんでした。ウクレレは決して安い買い物ではありませんので、衝動買いは避けたいものです。カマカというブランドが人気ですが、私のような初心者には必要なはずもありません。という訳で、友人の紹介で手作りのウクレレをお手ごろ価格で手に入れることができました。
●ウクレレは耳で弾くもの
クラスは10人程度。8歳から45歳まで、和気あいあいの雰囲気で進みます。クラスには日本人のフラシスター達も参加しています。上手なんですねえ、彼らは。「楽器を習っていたのかなあ」と友人に聞いてみると、「真剣さが違うんじゃない、練習もしてくるようだし」と冷たく一言。先生いわく、「ウクレレは本来、耳で弾くもの」だそうです。耳で音を聞いてコードを換えれば、知らない曲でも弾けるそうです。確かにハラウでアラカイ達が初めての曲でも聴きながら弾くのを見ていると、なるほどと思えます。各小節の間であるバンプには数種類の弾き方があって、弾き手の好みによるそうです。先週は「チャンガラン」というスタイルと「チャンガランとロック」という2種類のスタイルを習いました。クムが弾くのはこのスタイルの1つなのでよく耳にはするものの、自分で弾くとなると難しく、「コモン」という通常のスタイルすらまともにできない私にとっては、まだ「人が弾くもの」にしか感じられませんでした。
●ひたすら突き進む
ウクレレは耳で弾く? 思い思いに練習に励んだが… |
私の基本的な問題点は2つ。チューニングができないことと、バンプが弾けないことです。何しろ音痴なので、音合わせができないから練習すら始められません。仕方がないのでピアノを習っているフラシスターの娘を捕まえて、いつもチューニングをしてもらうのですが、弾いていても私の耳にはどれが正しい音なのか間違っているのか識別できず、ひたすら突き進むしか道がありません。また、私の左手の指は固まってD7からG7に動かないので肝心のバンプが弾けず、次の小節に進めないのです。バンプになると、私と同じ悩みを抱えるフラシスターと顔を見合わせていつも苦笑いをしています。耳も指も満足に使えない私でも、先生は優しくおだててくれるので、どうにかこうにか続いています。
(Kawailani)
◎おまけ(その1)
お陰様で「ハワイ発フラのある生活」の売れ行きが好調のようで、増刷されることになりました。読者の方々の中にはメールを下さったり、アマゾン・ドットコム に感想を投稿して下さったり、ハワイでお会いできたり、ジーナのクラスを受けられた方々もいらっしゃいます。数々の雑誌にも紹介して頂いて本当に幸運です。この場をお借りしてお礼申し上げます。
◎おまけ(その2)
プリンスロット・フェスティバルが7月20日(土)にモアナルア・パークで開催されます。前回ご紹介したようにハラウからはワヒネ2クラス、ケイキ1クラス、カネ1クラスが参加します。カメハメハに因んだチャントが中心で、イプやイリイリを使ったカヒコをオリと一緒に30分間ブレイクなしで行う予定です。私はうまく使いこなすことができないので、今でも道具を使うチャントでは緊張します。以前、イオラニパレスで踊った時、前列で踊っていたイリイリが飛んできて頭をかすめたり、落ちたイリイリがダンサーの足の上に当たったりしたのを見てから、ますます緊張するようになりました。特にこのフェスティバルのために習っているチャント「へイノアノリケリケ」はノホ(座って踊るフラのスタイル)なので、練習中、タオルをかかせません。床でヒザをすりむいたり足首を痛めたりするからです。サッカーやバレーボールで使うニーパッドを装着して練習に励む人たちもいます。どうぞ、お楽しみに!
(写真提供、Nick Kato) |
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カルチャー体験記「フラ」の連載をまとめた「ハワイ発-フラのある生活」(杉原祥子著)が小学館から好評発売中! 貴重なフラの写真とともに、従来のイメージを覆す魅力を満載。そんなフラの魅力に取りつかれ、有名なフラ学校で約8年間も学び続ける日本人女性の体験記です。この本を読めばハワイアンたちがいかにフラを大切に育んできたかを知り、あなたもきっとフラを踊ってみたくなるはず。巻末にはお薦めのハワイアンミュージックのCD、現地情報、ミニ・ハワイ語辞典も収載。四六版、160頁、定価1200円(消費税別)。お近くの書店でお求め下さい。 |
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