ハワイの歩き方編集長、野崎彩子:本日はお忙しい中、ありがとうございます。読者のみなさんの憧れのフラダンサー、カノエ・ミラーさんにお話を伺うことができて本当にうれしいです。まずは、フラを始めたきっかけについて教えてください。
カノエ・ミラー(以下カノエ):私がフラを始めたのは、13才の時。母が私と妹に夏休みの間に何かやらせたかったのね。私たちが暇を持て余して困ったことをしでかさないようにね。でも、最初はフラはあまりやりたくなかったのよ。
彩子:えぇぇ〜? そうだったんですか?
カノエ:こんなこと聞いたらガックリきちゃう人もいるかもしれないけど、その頃はブロードウェイのタップダンサーになりたかったの。ニューヨークでダンサーになるのが夢だったのね。 彩子:へえ… カノエ:母は、「マイキ」というハラウに私たちを入れたの。私のクムはマイキ・アイウで、とても有名な先生なのよ。現在、ハワイでフラを教えている大勢のクムを教えた師匠なの。
彩子:そうだったんですか。カノエさんはフラを学び始めて、それが自分の人生にどんな影響を与えたと思いますか?
カノエ:フラを学びはじめてから自分の人生がより豊かになったと思うわ。自分の周りの世界をよく観察するようになったから。フラをしていると、踊りの中に出てくる場所を表現したり、自分の心の中にある感情を表現しなければいけないの。愛や孤独、楽しみ、悲しみなどの感情をね。ときには、木や花について表現する場合もあるわね。こういったことを踊りで表現していると、自分を取り囲む世界にもっとよく気づけるようになるの。
彩子:なるほど〜。
カノエ:たとえば、レフアの花について踊るとき、「レフアの花はどんな花なのかしら」と思うわね。そして興味が出てきて、周りを探したり、調べたりしてその花を見つけた時に「あ、レフアはこんな花なのね!」と新鮮な感動を覚えるの。そうすると、「この花について踊っているのね」という感慨があるわね。こんな風に、フラはあなたの世界を広げてくれるの。それから、フラを習っていると、自分を取り巻く自然の美しさに感謝するようになるわ。それから、人にも感謝といたわりの気持ちが持てるようになると思うわ。
彩子:なんだか、フラってただ体を動かす踊りではなくて、心で踊るものなのですね。カノエさんは、プロのフラダンサーとして活躍されてきましたが、さらにフラを深く掘り下げて学び続けていると聞きました。昨年は、大勢の有名クムから学べるフライベント、「インターナショナル・ワイキキ・フラ・カンファレンス」に生徒として参加されたそうですね。
カノエ:ええ。インターナショナル・ワイキキ・フラ・カンファレンスのことは聞いたことがあったので、ウェブサイトを見てみたら、フラをテーマにした講座のバラエティに驚いたわ。フラという踊りを習うだけではなく、フラの道具や衣装の作り方、歴史など、フラに関係した深い知識が得られることがわかったの。
彩子:それで、参加されようと思ったのですね?
カノエ:「全ての知識はひとつのハラウからくるものではない」というハワイのことわざがあるのだけれど、多くの異なる場所から知識を得るのが大切、ということなのね。フラ・カンファレンスに参加することによって様々なクラスやクム・フラ達から知識を得ることができると思ったの。
彩子:フラの知識はいろいろなところから得るのが大切なんですね。
カノエ:フラマスターの中には、現在は高齢のためにもうフラを教えられないようなクムもいらっしゃるのだけれど、そういった歴史的に重要な立場の人間国宝のような先生方のうちの何人もの方々が、このフラ・カンファレンスにいらっしゃったの。自分の持っている知識をみんなにシェアするために、インターナショナル・ワイキキ・フラ・カンファレンスには貴重なフラの知識を持った方々が一堂に集まっているの。こんなチャンスには、なかなかお目にかかれないわ。だから、すぐに申し込みをしたの。参加して本当に良かったと思う。
彩子:カノエさんが昨年、実際に受けてみて、良かったと思ったクラスはどれでしたか?
カノエ:私のフラマスターはマイキ・アイウですが、違う知識を持ったフラマスターのジョージ・ナオペやビーマー家のマスターたちのセミナーを取ることができたの。それから、80代のレイラニ・アラマ、プア・アラマはめったに表には出てこないから、直接学ぶことができて、とても嬉しかったわ。繰り返すけれど、全ての知識は1つのハラウにはないの。色々なところから、フラの知識を得ることが大切なのよ。そして常に学ぶことによって、自分の経験を広げられるの。私はそれをこのインターナショナル・ワイキキ・フラ・カンファレンスで実行したのよ。
彩子:そうですか。素晴らしい経験をされたのですね。クラスを受けていた参加者の方たちは、プロのフラダンサーとして有名なカノエさんが生徒として教室にいらっしゃるのでびっくりされたんじゃないですか?
カノエ:そうね。中には「あら、どうして彼女が(生徒として)ここにいるのかしら」みたいな感じでビックリした目で見ていた人もいたわね。休憩の時間には、日本のフラダンサーたちから「一緒に写真を撮ってください」って言われたりもしましたね。
彩子:フラダンサーの中には、カノエさんにフラを教えて欲しい、と思っている人も多いと思いますが、フラを教えることについてどう思いますか? カノエ:今まで、フラを教えたことはなかったわ。これまでは、自分をプロのダンサーとしてしか考えていなかったから。でも、このフラ・カンファレンスに参加してから、クムフラたちや参加者たちのフラに対する熱い想いに感動して、私もいずれは教えたいと思うようになったわ。
彩子:カノエさんの教えるフラのクラス! それは楽しみですね!
つづく…
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