ウクレレ・プレーヤーといえば、真っ先に名前が挙がるほど、ハワイはもとより、世界で活躍中のジェイク・シマブク ロさん。新アルバム「ピース・ラブ・ウクレレ」の発売を目前に控えたある日、ハワイの歩き方の編集部は、ヒッチハイク・レコードのオフィスにジェイクを訪 ねました。
ハワイで直撃インタビュー 第30回 ピース・ラブ・ウクレレ、ジェイク・シマブクロさん(前編)
ハワイが生んだウクレレの若き大家、ジェイク・シマブクロさん(以下ジェイク)。2009年度には初の南米、欧州ソロツアーを大成功させ、英国のエリザベス女王の前でも公演しました。2010年にはツアーが大成功。アル・ゴアやビル・ゲイツの前でもパフォーマンスを披露。ソロ・デビュー10周年目にあたる今年2011年の1月4日には、5年ぶりのスタジオ録音新作アルバム「PEACE LOVE UKULELE(ピース・ラブ・ウクレレ)」をリリースし、同アルバムは、ビルボード ワールド・ミュージック・アルバム部門で初登場1位を記録しています。 編集部キク(以下キク):はじめまして。今日は、ニュー・アルバムのことや音楽のことなど、色々とお話を聞かせてください。 ジェイク・シマブクロ(以下ジェイク):(爽やかに微笑みながら)こんにちは。今日はよろしくお願いします。 キク:ジェイクがウクレレを始めたのはいつですか? ジェイク:4才のとき。最初の先生は母親だったんだ。それからずっと、ウクレレを弾いているよ。 キク:1月4日のCDリリースおめでとうございます。 ジェイク:このCDのタイトルは「ピース・ラブ・ウクレレ」といって、ほとんどはオリジナル曲なんだけど、2曲だけ大好きな曲をカバーしているんだ。レナード・コーエンの「ハレルヤ」とクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」だよ。ドラムやベース、弦楽器にピアノなど、色々な楽器とウクレレのコラボで、それぞれの曲を表現したんだ。僕はソロで弾いていても、いつも頭の中ではドラムやピアノのパートなどでそれぞれの楽器の音が聴こえるんだよ。だからこのCDでは、いつも頭の中で聴いているように表現したかったんだ。 キク:このアルバムのコンセプトは? ジェイク:そうだね、それぞれの曲がウクレレでできる事を表現した、ショーケースのようなものかな? 例えば“Bring your adz(ブリング・ユア・アッズ)”という曲。Adzというのは古代のナイフで小さい斧みたいなものだけど、ウクレレ・ロックンロールを表現したかったんだ。ロック・ギタリストはよくギターのことを“斧(axe=アックス)”と呼ぶんだ「斧を持って来い」という彼らが良く使う言い回しはショーやイベントに「ギターを持って来い」という意味。そこからもじった、「アッズを持って来い」というのは ハワイのウクレレ・バージョンだね。この曲は、ウクレレの荒々しい一面を見せてくれるよ。アップテンポでロックン・ロール・スピリットを表現したかったんだ。ロック・コンサートでノリノリになるようなね。このアルバムの中の全ての曲はウクレレの違ったキャラクターを表現しているよ。ロックや、クラッシックだったり、穏やかな感じ、軽い感じ、楽しい感じなどね。このアルバムにはウクレレの多様性が詰まっているよ。 キク:なるほど、ウクレレって色々なキャラクターを持っているんですね。 ジェイク:もう一つの例が”Pianoforte (ピアノ・フォルテ) 2010″という曲。この曲ではピアノの音を表現したんだよ。ピアノは右手と左手を使うでしょう? そのように、この曲には右手のパートと左手のパートを作ったんだ。この曲は実際にピアノの前に座って、鍵盤を叩きながら作曲したんだ。ピアノと違って、ウクレレは2オクターブしかないから、ピアノでも2オクターブだけを使って、まるでウクレレを弾くような気持ちでね。 キク:ジェイクはウクレレ以外にも楽器を演奏するの? ジェイク:主にウクレレを演奏しているけど、少しギターも弾くし、ピアノも習った。高校時代はドラムも叩いたよ。色々な楽器の音色を聴くのは素晴らしいことだね。他の楽器を触って、それをどうウクレレに生かそうかと考えるんだ。特に琴の音色が好きだよ。僕はちゃんと琴を弾くことはできないけど、琴の前に座って弦をはじいて、その音を楽しむんだ。そしてウクレレにどのように応用しようかってね。 キク:好きな曲は何ですか? ジェイク:アルバムにも入っているけど、レナード・コーエンの「ハレルヤ」は、昔から好きな曲の1つだね。疲れた日やツイてない日、楽しかった日、1人でアイポッドを持って、ビーチへ行って「ハレルヤ」を聞いたりして。好きなバージョンは、ジェフ・バックリーのものだよ。心に響いて刺激を受ける曲だね。 キク:今年のツアーの予定を聞かせてください。 ジェイク:今年はたくさんツアーを行う予定だよ。今年はソロデビューして10周年目の節目の年なんだ。テレビのプロジェクトや、色々とワクワクするような事を考えてるよ。とっても「楽しみ(日本語で)」だな。過去数年間、本当にたくさんのツアーを行ってきたよ。年間9-10ヶ月はハワイを離れているんだ。だから、ハワイで過ごす貴重な時間、家族や友達とのを大事にしているよ。今年もきっと忙しくなるけど、でも本当に楽しみなんだ。ツアーで遠くへ行くことは、僕にとって「大学教育」のようなもの。できるだけたくさんの事を学んで、異文化に親しみ、ウクレレを通じて自分を表現することができるんだからね。 キク:日本へは行きますか? ジェイク:例年どおり、今年も日本に行くよ。夏には大きなツアーがあって25〜35回のコンサートを開くよ。日本ではいつも最高にファンタスティックな経験をするんだ。食べ物も美味しいしね。文化は素晴らしいし、人々はとても親切。毎年日本に行くたびに、幾つかの新しい場所で演奏するんだ。それぞれの土地について新しい事を学ぶよ。(日本語で)「富山といえば白エビ」でしょ。新潟のごはんは美味しいね。名古屋だったら「ひつまぶし」に「天むす」。あ、食べ物のことばかり話しちゃった(笑)。こんな風に、新しい事を学んで試すのが大好きだよ。僕は本当に恵まれていると思うよ。日本って本当に美しい場所、素晴らしい場所だよね。 キク:日本のファンやウクレレ演奏者にメッセージをお願いします。 ジェイク:今やウクレレは世界中ですごく演奏者が増えてきて、特に日本では人気があるよね。ウクレレだけじゃなく、日本の人々はハワイアン・カルチャーをすごく愛してくれる。フラや音楽、レイ・メイキングやハワイアン・キルトなどね。ウクレレを弾いて、ミュージシャン魂を燃やしてくれる。本当に嬉しいよ。日本には素晴らしいウクレレ演奏家がたくさんいるんだよ。ウクレレを演奏するのに、もっとも重要なことは、楽しむことだね。僕は4才からずっとウクレレを演奏しているけど、今でもウクレレを触るたびに楽しくてたまらない。ウクレレを愛しているんだ。もしウクレレを始めたばかりなら、簡単なコードを幾つか覚えて、好きな曲を楽しみながら弾いてみることだよ。ストレスが一杯の時、疲れたとき、ちょっとだけでも静かな場所を見つけて、軽くコードを奏でるだけで、素晴らしい気分になるはず。できるだけ時間を見つけて、ウクレレを弾いてみてね。 優しく微笑みながら、とても丁寧にインタビューに答えてくれたジェイク。次回は、ジェイクのふるさとハワイについても、ググーッと掘り下げて聞いてみますよ。お楽しみに。 |
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