Special Interview: Tadanobu Asano
海外で活躍する日本人俳優の中で最もカリスマ的な存在感を放ち、彼の出演する映画はポップカルチャー(大衆文化)にまでなると言われるのは、この人! 今年11月に開催された第35回ハワイ国際映画祭(以下HIFFと略称)では「Marverick(マーヴェリック)賞」を受賞、「過去20年間の映画史で、Japanese Cool(ジャパニーズクール)という言葉がぴったりくる男」と紹介された、浅野忠信さんです。映画祭でハワイ入りしていた浅野さんへMyハワイがインタビュー、映画やハワイの事についてズバリお聞きしました。
■今回浅野氏が受賞したMaverick賞とは?
HIFFによると、「Marverick賞は、刺激的で型破りの経歴を持ちながら、世界中から賞賛さている人物に与えられる賞。過去の受賞者の中には、千葉真一やクエンティン・タランティーノがいる。浅野忠信氏の場合は、出演した一連の作品、経歴の中でのカルト性と芸術的センスのある演技が認められた。また浅野氏は、90年代から2000年に多くの国際映画ファンを日本のカルトシネマへと導いた仕掛け人となった、カルトアイコン(大衆文化の偶像)でもある」ということです。
Myハワイ編集部(以下Myハワイ): 今回はHIFFでの受賞おめでとうございます。
浅野忠信さん(以下浅野): どうもありがとうございます。
Myハワイ: 浅野さんは各国の国際映画祭に参加、受賞されていますが、国際映画祭に参加するときの気持ちは?
浅野: そうですね。やはり若いときに初めて海外の映画祭に行ったときに、「あっ日本映画というのは国内だけの物ではないんだ」と実感しました。世界中の人たちが日本の映画を待っていて高く評価されているわけで、だとするとやはりそういうつもりで自分も出演しなければいけないですし、自分の映画がそうやって世の中に届いているということを自覚しなければいけない、ということを若いうちに学べて良かったと思います。
Myハワイ: ハワイ国際映画祭はどうでしたか?
浅野: いいですね。まず環境ですよね。ほかの国際映画祭にはあり得ないハワイ独特の空気が流れていて気持ちいいですよね。
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Myハワイ: 今回ハワイ国際映画祭で公開された浅野さんの新作「岸辺の旅」のQ&Aの時に、「こういう夫婦の役をやってみたかった」と言われていましたが、実際やってみてどうでしたか?
浅野: やっぱりやって良かったですね。この役(主人公の優介役)をいったい誰と一緒にやるかとなったときに、深津絵里さんが相手役をやってくれた事が一番大きかったと思います。というのも、彼女と僕はキャリアが似ている。同じ14才でデビューしてそこからずっとテレビや映画に出たりして、同じ世代(深津さんが一つ年上)ですし、一度こういう夫婦の役を一緒にやりたいと思っていたので、それを黒沢監督が言ってくれたということで、僕がそれまでイメージ しきれていなかったようでイメージしていたような事が出来たと思うんですよね。若いうちでは演じられない役ですし、出来なかった内容だったと思うので、とても奥行きのある作品になったと思いますね。
Myハワイ: 今回の映画で一番印象に残っているシーン、好きなシーンはありますか?
浅野: 僕が出ているわけではないんですが、深津絵里さんと蒼井優さんが出ている、女同士のバトルというか、あのシーンは観ていてドキドキするというか、僕にしか味わえないんですが、あの2人の話しているテーマの主人公は僕なわけですよね。観ていてすごく怖いというか、あのシーンは面白いですね。特に優介目線でみると面白いです。
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Myハワイ: 日本を代表する役者として今後はどんなジャンルに挑戦していきたいですか?
浅野: ジャンルというか、やはりシンプルな映画が良いなと思いますね。映画を複雑に描いても伝わらなければ意味がないですし、明確な筋の通った物語というものが必要なわけで、そういうものを続けていかないといけないかな、と思います。
Myハワイ: 海外で今気になっている俳優は? 共演してみたい人はいますか?
浅野: 「ラブ&マーシー 終わらないメロディー(Love & Mercy 2015年公開)」のポール・ダノ(米俳優。リトルミスサンシャインなどに出演)が良いですね。こちらへ来るときに彼が出演している、ビーチボーイズの映画「ラブ&マーシー」を観て、すごく魅力のある人だなと思いましたね。
Myハワイ: ポール・ダノ良いですね~。共演楽しみにしています!
Myハワイ: これは個人的に聞いてみたかったことなのですが、浅野さんが主演されている、「Ichi the Killer(殺し屋1)」が世界的なカルトムービー(熱狂的ファンによる小グループによって支持される映画)と言われることについて、どう思われますか?
浅野: いやぁ、すごいなぁと思いますね。本当にそれこそ自分でも想像つかないところまで広がっちゃってて。一番びっくりしたのは、僕はこの映画の中で垣原という男の役を演じたんですが、海外で垣原の入れ墨を入れている人に少なくとも5人くらいは会ったんですよね。これにはびっくりしましたね。まさか自分の顔の入れ墨を入れている奴がいとは! これには自分でも気を引き締めて彼らのためにも頑張らなければいけないな、と思いましたね(笑)。
Myハワイ: 今回の映画祭の時も会場に「殺し屋1」のDVDをもって来ている方を見かけたんですが、やはりすごいなと思いました。
浅野: やっぱり絶大な人気ですね。
Myハワイ: ハワイの印象はどうですか?
浅野: こちらへは映画「バトルシップ(2012年米作品)」の撮影以降来ていなかったのですが、バトルシップの撮影時に長期滞在していて、その時もすごくハワイの空気というかムードに癒されていましたし、一人で孤独にアメリカの映画に参加している、というのもハワイの風が救ってくれたというか、助けてもらっているような、不思議な感じでしたね。ほんとうに仕事を忘れてのんびりできる場所だな、と思いました。
Myハワイ: 良かったです。好きなローカルフードは?
浅野: ロコモコとか意外と好きですね(笑)。
Myハワイ: 日本の読者に何かメッセージをお願いできますか?
浅野: ほんとうにハワイの方たちにもとても暖かく迎えていただいて、僕のキャリアもきちんと認めていただきましたし、僕の映画が日本だけでなく海外にもちゃんと届いていますよ、という事を伝えたいですね。
Myハワイ: 今日はありがとうございました。
浅野: ありがとうございます。
<インタビューを終えて>浅野忠信さんの印象はひたすらナイスガイ。もちろん想像していた通りのカッコよさでしたが、その気取りの無さと腰の低さに真の大物の風格を見た編集部員でした。スクリーンの中の鋭い目つきや狂気に満ちた姿はこんな優しい彼からは想像も出来きず…やっぱり「世界のAsano」ですね! ますますの活躍を期待しつつ、これからもずっと応援していきます。
浅野忠信プロフィール: 1973年11月27日神奈川県出身。1990年に松岡錠司監督の「バタアシ金魚」でスクリーンデビュー。セルゲイ・ボドロフ監督「MONGOL」は第80回(2008)米アカデミー賞で外国語映画賞にノミネート。熊切和嘉監督「私の男」では、第36回モスクワ国際映画祭でコンペティション部門最優秀男優賞を受賞。その他海外作品では、マーベルコミックスのスーパーヒーロー映画「マイティー・ソー(2011)」、ハワイの真珠湾がロケ地となった「バトルシップ(2012)」、「マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2014)」、マーティン・スコセッシ監督の「Silence(米国で2016年公開予定)にも出演している。
●ハワイ・インターナショナル・フィルムフェスティバル
会場:リーガル・シアター・ドール・キャナリー18など
電話:(808) 447-0577
ホームページ(英語):www.hiff.org
上映スケジュール&チケット購入(英語):
www.hiff.org/program/schedule
◎リーガル・シアター・ドール・キャナリー18
住所:735 Iwilei Rd., Ste B, Honolulu, HI 96817(Kマートの近く)
電話:(808)526-3456
アクセス:ワイキキ・トロリーのレッド・ライン、またはワイキキからザ・バス19番または20番を利用
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