編集部、野崎彩子:マシューさんは、オアフ島でほとんどのレストランに行かれたことがあるそうですが、いちばんのお気に入りのレストランはどこなんですか?
マシュー:そうだねえ… いちばん気に入っているのは、オアフ島西部コオリナにあるイヒラニ・リゾート&スパ内のレストラン、「アズール(Azul)」だね。ここでは、地中海料理とパシフィック・リム料理、西洋料理のいいところだけを料理に生かしていると思うよ。風光明媚なコオリナにあるっていうのもいいし、まぁなんといってもサービスも最高なんだよ。
彩子:へえ。コオリナ〜?! 私、野生のイルカがいる西側のほうのビーチによく行くから、今度、ここに行ってみようっと。いいこと聞いちゃった。ハワイでいちばん味にうるさいマシューさんのお気に入りのレストラン、もっと知りたいなあ…。
マシュー:ホノルル市内にも、日本料理とか中華料理、インド料理、タイ料理などでとっておきの場所がぞれぞれあるけどね。
彩子:マシューさんのとっておきの場所ってどこなの?
マシュー: あ、彩子さん、今度僕がガイドするフード・ツアーに来てくださいよ。
彩子:フードツアーに?
マシュー:実は、3種類のツアーをやってるんだけど、そのツアーの中で、本当は誰にも教えたくない秘密のレストランとか、誰も知らないメニューをこっそり教えてるんだ。
彩子:そうなんだ〜! それはぜひお邪魔したいわ〜。でも、その3種類ってどんなツアーなのか、ちょっと教えてもらってもいいですか?
マシュー:おっと、ごめん、ごめん。まだちゃんと紹介してなかったね。まず、「ホール・イン・ザ・ウォール」というツアーなんだけど、これはローカルに人気の小さいレストランを4〜5箇所回るんだ。「ホール・イン・ザ・ウォール」、つまり「壁の穴ツアー」は、文字通り誰も知らない穴場のレストランに連れて行くんだよ。参加した人たちは、「おいしい、おいしい!」と言って大喜びしてくれるんだ。
 誰も知らない穴場や秘密のメニューをこっそり教えるよ! (みのもんたに似ている!?) |
彩子:4〜5箇所のレストランって、どんなところに行くの?
マシュー:それは内緒! 参加してのお楽しみ! なんてね。いやー、実はねその日によって行くところを変えてるんだ。というのも、このツアーはリピーターの人も参加してくれるので、前に行った所には行かないようにしたり気をつけてるんだ。みんなに2度も3度も楽しんでもらいたいからね。
彩子:へぇ。いろいろ考えてるんですね。
マシュー:そうだねぇ、僕はみんなに楽しんでもらいたくてこの仕事を始めたからね。で、2番目のツアーが「ハワイアン・フィースト・イン・パラダイス」なんだけど、これは雰囲気のいいレストランで、ディナーにハワイの伝統料理を食べてもらうツアーなんだ。これもハワイでしか食べられないものが味わえるから大人気だよ。そして、最後は、「グルメ・トリロジー・フード&ワイン・ラバーズ・ツアー」!
彩子:それは、どんなツアーなんですか?
マシュー:これはね、ディナーを3つのレストランで食べるツアーなんだ。前菜とメイン料理、そしてデザートをそれぞれ僕が厳選したレストランを回るの。
彩子:一晩に3つのレストランなんてなんだか落ち着かないですね。
マシュー:そう思うでしょ? でも、僕のポリシーは「みんなに楽しんでもらうこと!」だから、時間をかけてゆっくりと食べるんだ。だから、一つのレストランで平均1〜1.5時間くらいはいるかな。もちろん、ツアーの参加者を急かすこともないし、自分もゆっくり味わうようにしてる! おしゃべりをしながら、おいしい料理を食べるひとときは最高だよ。で、それぞれのレストランで、料理に合うワインを事前に僕がセレクトしておいて、その中からみんなに自分の好きなものを選んでもらうんだ。
 フード・ツアーは、マシューとキーラが2人でとっておきのスポットを案内! |
彩子:へぇ、なんだか楽しそう! やっぱり急いで食べる料理なんておいしさが半減しちゃうし、ゆっくり食べられるのはいいですね。それに、一晩で3つのレストランをはしごできちゃうのもいい! 有名なファイン・ダイニングばかりなんでしょ? もちろん秘密でしょうけど。
マシュー:よく分かってるじゃん。そう、行くところはファイン・ダイニングばかり。だから、参加者はもちろん、僕もキーラもお洒落をして出かけるんだよ。それもまた楽しいね。行くレストランは、「ホール・イン・ザ・ウォール」と同じくその日によって変えてるかな。
彩子:ますます行きたくなってきちゃった。絶対今度お邪魔させてくださいね。あ、そうだ! 今度、私も家族が日本から来るから、連れて行こうかしら。うちの家族は味にうるさいから、どのレストランに連れて行こうかすごく悩むのよ。美味しいところをひとまとめにして連れて行ってくれると助かるわあ。
マシュー:ぜひ来て下さいよ!
彩子:ありがとうございます。では、話を少しマシューさんのことに戻して… お料理の達人にしてグルメ評論家ということで、お料理を作ることや食べることにただならぬ情熱を持っていらっしゃるようにお見受けしますが、マシューさんにとって「料理」とは何ですか?
マシュー: 僕にとって「料理」とは… なんだか哲学的な質問だねぇ。そうだなぁ… 僕にとって料理とは、「まず人を満足させるもの。そして、一緒に分かち合うもの。最後に、人を誘惑するためのもの(笑)」かな? 僕は、料理という道を選んだことで、生涯を通じて続くかけがえのない友情や愛情を得ることができて本当に良かったと思っているんだ。「誰かと仲良くなりたい」と思ったら、「同じ釜の飯を食う」に限るね。大切な記念日を祝うときも、悲しいときも、いつも料理に助けられてきたんだ。料理は、人間の五感全てに訴えるもの。見ているだけでも美しく、おいしい匂いがかぐわしい、そして一たび口に入れると幸せな味がふわぁっと広がる。本当に奥が深くて、みんなを幸せにする不思議なものなんだ。料理を作ることって、人のハートや魂に触れることだと思うな。
彩子:マシューさんって、「グルメ評論家」っていうより、実は「幸せ仕掛け人」だったのね! 今、とっても良く分かったわ。人を幸せにしたいっていう気持ちが大きいのね。「美味しい」って言ってくれる人の喜ぶ顔を見ると、マシューさんも幸せなのよねえ。「人の幸せが自分の幸せ」って、とっても素敵よ。ところで、今日はマシューさんの幸せパートナーのキーラさんにもお越しいただいたので、せっかくですからちょっとお話伺ってもいいかしら? キーラさん、フード・チャンネルにマシューさんと一緒に出演しているの見ましたヨ! キーラさんのご親戚は、ロコモコ発祥のレストランを経営されていたそうですね。(編集部注:ロコモコは、ご飯の上にハンバーグと目玉焼き、グレービー・ソースがかかったローカルのお料理。)
キーラ:そうなんですよ。母方の祖父の妹に当たる人がハワイ島のヒロに「カフェ100」というレストランを経営していて。もともと、ハワイのローカルの家庭料理だったロコモコを初めてお店でメニューとして出し始めたのがここだったの。これは、今から35年以上も前の話だけど、実はこのお店、まだ営業しているのよ。
彩子:へえ。そうだったんですね。「食に歴史あり」とはまさにこのこと! 今では、ハワイにあるいろいろなレストランでそのお店独特のロコモコを出しているけど、その「カフェ100」がなかったら食べることができない幻のローカル・フードだったってわけね。ところで、ロコモコの「モコ」っていう言葉は、どういう意味なのかしら?
 ロコモコは、もともとハワイの家庭料理だった! |
キーラ:「ローカル・モーク」(Local Moke)って言葉を知ってる? 「モーク」っていう言葉は、「デュード」(dude)、つまり「野郎」みたいな意味なの。だから、「ローカル・モーク」っていうのは、「地元の若者」とか「サーファー野郎」って感じかな。で、そんな彼らが好んだのは、ボリューム満点の、値段が安い料理。どんぶり一杯で、ご飯もお肉も卵も一緒に食べられる「ロコモコ」はお腹をすかせた金欠気味のサーファー野郎たちにもってこいの料理なんですね。
彩子:なるほど。ロコモコは、「サーファー野郎御用達」ってことだったのね。
マシュー:ちなみに、スペイン語だと「ロコモコ」って「クレイジーな鼻水」っていう意味なんだよね。あはは。
彩子:ぎゃはは〜。スペイン語圏に旅行するときに覚えておくと便利ですね。「ロコモコ下さい!」なんてね。それでは、最後にマシューさんにとって「幸せの秘訣」とは? マシュー:「幸せ」っていろいろなものでできていると思うよ。まずは、やっぱり「愛」。恋人でも、家族でも友人でも。みんなに愛を分けて、そして自分も分け与えられる。それは本当に素敵なことだよね。次に、公私共に成功すること。私生活でも、仕事でもね。どちらも充実させることが幸せの秘訣。最後に、自分の溢れ出てくる独創力を満足させること… なんて格好いいこと言っちゃったかな?
彩子:いえいえ、納得ですよ。では、最後に読者のみなさんへの一言メッセージをどうぞ!
マシュー:ハワイでみなさんにお会いして、一緒に食事を楽しむことを楽しみにしています。
次回の「幸せのオーラ」では、「ハワイの歩き方」のイメージ・モデルがハワイ暮らしの幸せについて語ります!  |
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