Lei Making Instructor: Yukio Otani
ハワイで著名人にインタビューするこのシリーズ、今回はハワイの伝統文化であるレイ作りを広めるために旅を続ける、レイメイキング講師の大谷幸生さんにインタビューしました。
ハワイで直撃インタビュー 第108 回 大谷幸生さんにハワイでインタビュー
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もっとお花を楽しむ人が増えたら…と思ったのが始まり
Myハワイ(以下MH)活動の内容を教えてください。
大谷さん(以下大谷) 僕はレイの作り方を教える教室を開催しています。教室は東京と大阪にあって、後は単発でワークショップの依頼があれば行ったり、フラのコンペティションの依頼をうけて作るとかですね。
MH 日本のフラの大会ですよね?
大谷 そうですね。最近ではすごく多くなっています。
MH レイを作りはじめたのはいつ頃?
大谷 15年ほど前ですかね。
MH きっかけは?
大谷 最初は花屋さんからはじまって、後にフラワーアレンジメントの雑誌に花の作品を掲載して一般の人に見てもらうような感じでした。何の本かというと、それを見て皆が花を楽しもう、啓蒙するための雑誌だったんですが、なのに例えば、ちょっと高そうな花をたくさん使っていたりとか、あまり皆が持っていないような器を使っていたりとか。それってあまり実際に花を楽しむ事に繋がらないと思ったんですよね。
で、どうやってお花を楽しむ人を増やしたら良いかなと思った時に、地元でフラをやっている人たちが結構いたんですよね。その方々の話を聞いていたら、レイの作り方を知らないし、手に入らないからイミテーションをつけてやっているという。お花を必要としている人たちがここにいるのに供給出来ないだけなんだ、と思った時に「じゃあ(自分が)勉強して作れるようになったら、もっとお花を楽しむ人が増えるかな」と考えたのがきっかけですね。 それで勉強してみようと思ったんです。
MH どのような花でもレイは作れたのですか?
大谷 その時はそんな事は全然考えていなかったですね。とにかく自分でやってみようと思いました。最初は先生に習ったわけでもなかったので、洋書を買って独学で、お花自体も独学だったので、同じようにやっていけるのかなというくらいの簡単な気持ちで始めたんですけど。
MH 洋書というと英語で勉強されたのですか?
大谷 僕は英語がダメなので、読みながら、でも写真を見ながら、この花はこの花に似ているなという感じでやってみたりとか。本当に真似事みたいな感じでやり始めました。
MH 最初は先生にはつかず独学と言う事ですね?
大谷 そうですね。どこに先生がいるかもわからなかったし、まず国内では習えないし、今だったらあるんでしょうけど。当時はレイ教室なんてないし、だからどうして良いかもわからず、まさか(自分が)ここまでなるとは思っていなかったので、なんとなくちょこっと真似事みたいに出来れば良いかな、くらいに最初は思っていました。
MH もともとお花や植物に興味があったのですか?
大谷 そうですね。
MH それはいつ頃?
大谷 22才頃ですね。
MH 花屋さんに働いておられたのですか?
大谷 いいえ、ガソリンスタンドに働いていたんです。そこでお客さんにお花をプレゼントするのを始めて、その時に「お花って皆が喜ぶものだからすごく素敵だな」と思って、じゃあこんな仕事しないでお花屋さんになりたいなと思って、最終的にはお花屋さんになった、という。
MH そうなんですね。フラやハワイアン音楽にも興味がありましたか?
大谷 フラは僕は恥ずかしくて踊れないし、今も勉強していないのですが、音楽はすごく好きでしたね。
MH 先生に後でつかれたということですが、先生のお名前は?
大谷 マリー・マクドナルド(Marie McDonald)さんです。ハワイ島の方です。
MH どうやって見つけたのですか?
大谷 僕が最初にネットでたくさん買ったレイに関する本で彼女の本がヒットしたというか。それで会ってみたいと思いました。
MH 連絡されたのですか?
大谷 いいえ、連絡先が見つからなくて。それでハワイに詳しい身近な人たちにどうにか繋げてもらえないかと思っても全然だめで。そうしていたら、ハワイ島のアンセリウムを日本に輸入するというプロジェクトがあって、そのレポーターと農務省や日本の市場の方々が視察に来られた時に市場で声をかけられて。
「大谷さんはハワイを好きな人たちのことけっこう詳しいよね?」と言われて、どういう風にプロモーションして行ったら良いか、お花屋さんだけでなくて、エンドユーザー(商品を使う人)がどういう風なものを必要としてるかという話を聞かせてほしい、ということで定期的なミーティングに顔出すようになったんです。
そうしていたらヒロの農場に視察に行くという話になって、せっかくだから自腹でついて行かせてください、ということになりました。 ハワイ島では連日視察、ミーティングの毎日だったので、ハワイの農務官の人が「あまりに彼が可哀想だ、明日一時間でもどこか連れていってあげよう」と言ってくれて。
「どこか行きたいところはありますか?」と聞かれたので、僕は先生の本を持っていたので見せて、「この人に会ってみたいのですが、ハワイ島に住んでいるらしいのですが」と言ったら、担当の農務官と先生の娘さんが同級生だったらしく。じゃあ連絡するから行こうか、ということになったんですよね。それまではどんな手を尽くしても会うチャンスはなかったんです。
MH ハワイが結ぶ縁ですね。
大谷 そうですね。それに恵まれたとうか。
レイ作りの良いところは皆が笑顔になれること
MH お花の魅力 難しい点は?
大谷 日本では花を手に入れることが難しいですね。買わなければいけない。レイに使う花は実際買わなくても良いのですが、でも一般的には買わなければ作れないと思われているところが敷居が高いですね。
MH お花は自分の庭に植えているのですか?
大谷 僕はほとんど家に帰られないので、何もしていないです。自分で育てることが出来ないので、育てる人をサポートするという、自分が育てられるようになるまでは、育てている農家さんたちをサポートするようにしようと思って活動をしています。
レイ作りの良い点は、今は日本全国色んなところを旅していますが、こちらでもそうですが、レイが作れるだけでどこに行っても、皆がほんとうに笑顔になれるというか、それが一番ですね。 例えば、取材にいっても、2時間後にはすごく嬉しそうな顔になって、皆が打ち解けるというか。これってただ僕が行っただけではそうはならない。僕の見た目ではそういうものを作りそうにないって思われるし。
最初は取材にいって怪訝そうにしていても、出来上がってくる過程でみんなの反応が変わってくるのがわかるんです。どこにいってもみんなが喜んでくれるので、こんなに素敵なことを手にしているのだったら、もっともっと人に伝えて喜んでいただきたいと思って、休み無くあちこちで教えています。
MH そうなんですね、お疲れさまです。
大谷 でも、色んな方々から来てほしいと言わることはありがたいことなので。
MH 今回はカカアコの「PAIKO」でハクレイ作りのワークショップをされましたね? 私の友人が参加して、お花をたくさん取りすぎて難しかったと言っていましたが、レイ作りって難しいのですね?
大谷 それもまた1つの経験ですね。
MH コツ等ありますか?
大谷 それもまた、難しく考えないで取りあえず作ってみる、失敗してもまた作るということを繰り返していけば、良いと思いますね。最初から綺麗に作ろうと思っても絶対無理ですし、例えばキャベツの千切りを最初から細くしようと思っても無理ですよね? なので時が解決すると僕は思っていますね。
MH 私も卒業式などで作るのですが、けっこう簡単そうで難しいですよね?
大谷 簡単であり難しくもあり、作っていれば難しさにぶち当たることもあるんですが、今はとにかく難しいことを言うよりも、楽しくてたくさん作りたいと思ってもらうことのほうが大切かなと思います。楽しいからいっぱい作る、作っていれば上手になっていく、という風に思うようにしています。
MH ハワイでは卒業生にレイをあげるのが風習ですよね。大谷さんの写真で学生さんがレイをしている写真をみかけましたが、日本でも卒業式で作ったりしますか?
大谷 高校生がレイをしている写真は、桜のレイを作るというのを時々行っているのですが、福岡のある農業高校の学生が来たので皆で作った時のものです。日本で卒業式のレイはあまりないですが、一ヵ所だけ和歌山の古座川という場所でボランティアで教えて以来、そのおばちゃんたちが今でも3月になると小学校の6年生に作り方を教えているそうです。
ハワイでおすすめのボタニカルガーデンは?
MH ハワイへはどれくらいの頻度で来ていますか?
大谷 通常は年に一度くらいしか来れないんですよね。仕事が忙しくてなかなか時間がないんです。ハワイでのワークショップは仕事というより、開催していただくお店での材料費や経費以外は、ハワイの自然保護活動へ寄付して頂いています。
ここ最近、ハワイでもワークショップする人がすごく増えていて、トラディショナルな作り方がわからないので教えて欲しいとSNSを通じて言ってくる人が多いので、そういう方々にはできるだけ答えてあげたいと思いますね。 だって、英語もままならない僕が日本で練習して続けてきた事に、ハワイの人が興味を持ってくれるなんて、こんな光栄な事はないので。
MH ハワイの魅力は?
大谷 来るだけで自分がすごくリラックス出来るし、ハワイに来たら知りたいし教えて欲しいということもありますね。例えば、日本だったらハワイの人に教わるというのがステータスですけど、フラなんかもそうですよね? でもハワイの人たちは、僕がなに人であろうと、自分がそれを得たいと思えば興味を持って(ワークショップに)参加してくれるのはすごくありがたいし、そうやって認めてもらえることが嬉しいですね。
お花もいっぱい咲いているし、こんなにぼんやりしてて良いのだろうか?と思ったり(笑)。もちろん仕事をしていないのでぼんやり出来るんですが。 リラックス出来る環境、会う人会う人が皆さん笑顔だし、そういうところは素敵だなと思いますね。
MH ハワイで好きな場所は?
大谷 今回行って良かったなと思ったのはカウアイ島のリマフリガーデン(Limahuli Garden and Preserve)です。オアフだとカネオへのホオマルヒアボタニカルガーデン(Ho’omaluhia Botanical Garden)ですね。大きくて全部回りきれなかったんですが、山も見えていてスゴく綺麗な景色で、色んなゾーンに別れているので、ゾーンごとに特質すべき花があっておすすめです。
ちょっと前までは、先生に会うのが目的だったので、ハワイに来てもハワイ島のみで、オアフ島は乗り換えだけで立ち寄ることはほとんどなかったんですが、今はSNSを通じて皆さんから連絡を貰えるようになって、色んな島にも行くようになりました。
MH おすすめのレストランは?
大谷 今回もう一度食べに行きたいと思って行ったのは、カウアイ島の「オリンピックカフェ」のオートミールですね。でも前回食べたときのほうがもっと美味しく感じましたね。最近健康嗜好が流行っているのでそういうのを見てみたいのもあって、僕もコールドプレスジュースを飲んでみたり、ダウントゥアースでお惣菜を食べたりしてますね。
MH 世界で一番好きな花は?
大谷 まだ全部を知らないとは思うのですが、パンジーですね。お花の世界に入って一番最初にそれをみたときに可愛いなと思ったからです。
MH ハワイで好きな花は?
大谷 プアケニケニですね。良い香りがするなと思います。
MH 今後の抱負、夢は?
大谷 引き続き色んなことを旅して自分が与えてもらった技術をシェアしていくことが出来て、それでみんなが嬉しい時間が少しでも増えたら、良いなと思いますね。そのために自分が旅していくのが必要なのだと思います。
<インタビューを終えて> レイメイキングを通して、お花を広める活動をされている大谷さんは素敵だなと思いました。これからもたくさんの人々をお花で笑顔にしていって欲しいですね。
<大谷幸生さんプロフィール>1969年神奈川県生まれ。 自然との調和を心がけ花の持つ美しさや意味を 最大限に生かすことを心がけていたところ、レイと出会う。 その後レイ作りの巨匠マリー・マクドナルドさんのもとで勉強を続ける傍ら イベントやワークショップでその活動は全国各地にわたる。 日本の土地に育つ花とハワイに伝わる様々な手法を巧みに駆使し オリジナルのレイを編むレイメイカーとして、 また雑誌や広告の花などを手がけるフラワーアーティストとして活動中。日本国内の各地の農家で、規格外や廃棄の花を利用してレイ作りや講習などの活動も行っている。
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