編集部:本日はお忙しい中、ありがとうございます。韓国では大成功(680万人動員)を収めた「良い奴、悪い奴、変な奴」ですが、海外での反応について感想をお聞かせください。
キム・ジウン(以下ジウン):カンヌ、トロントなど権威ある国際映画祭で高い評価をいただき、また今回のハワイ国際映画祭ではマーヴェリック賞もいただくことが出来てとても感謝しています。観客の反応や評論家の批評を見聞きする限り、非常に好感を持っていただけたようなので幸せに思っています。最終的な興行面での成功についてはまだわかりませんが、これまでの感じは良好なので嬉しいですね。ただ韓国での上映は北京オリンピックと重なってしまったので、韓国選手の余りに素晴らしい活躍に、観客をずいぶんとられちゃったような気がしてるんです…(ちょっとスネた仕草にスタッフ一同爆笑)。
編集部:続いてキャスティングについて質問です。主役3人については企画当初からこのメンバーを想定されていましたか?
ジウン:はい。最初はイ・ビョンホンさんがちょっとためらっていたんですけどね。とにかく3人でここまでやって来れて、韓国版ウエスタンという新しいジャンルの映画を製作できたこと、3人の大物俳優が一作品で共演できたことはとても意義深く、またよくやったと自負しています。
編集部:出演者のイ・ビョンホンさんについて、感想をお聞かせください。
ジウン:イ・ビョンホンは3人の中で一番感受性が鋭く、神経が細やかな俳優だと思います。アイデアも豊富だし小さな事も見逃さずいちいち指摘するので、一緒に仕事をしていて助けられたことも多かったですね。今回「チョン・ウソンとハワイ国際映画祭に行くんだ」と伝えたところ、出発前日にメールが来て「一緒に行って遊べないなんて、おもしろくないな」ってボヤいてましたよ(笑)。
編集部:撮影で大変だったことは?
ジウン:これまで撮った映画の中でこの映画が一番大変だったんですけど(途中で咳き込む)、こんなに僕が咳をするのもすべてこの映画のせいなんですよ、ははは(笑)。冗談はさておいて、精神的にも肉体的にも大変苦労した映画だったんですが、韓国初のウエスタン映画を作るんだという決意の下、監督、俳優、スタッフ全員が心をひとつにしてがんばりました。賞をいただけたのは一重にチームワークのお陰です。あとは、主人公が3人いるので3人のバランスを取る作業が結構大変でしたね。
編集部:最初の構想と出来上がった作品を比べて、映画の出来具合に100パーセント満足されていますか?
ジウン:僕が個人的に好きな映画監督にウッディ・アレンがいるんですが、彼がこう言っているんですよ。「いつも最初に思い描いていた60パーセント位の出来にしかならない」って。まさにその通りで、今回は砂漠での銃撃シーンなどスタッフの熱意や努力なしでは不可能なシーンがたくさんあったので、全体的に見れば不満足な部分も多いですけどワンシーンごとには非常に満足しています。今回の映画には自分の持てる全エネルギーをつぎ込んだので、全シーンに自分の子供に対するような愛着が湧いています。特にオープニングシーンと、エンディングの銃撃シーンが記憶に残っています。愛情…というよりもむしろ愛憎に近いですけどね(笑)。
編集部:映画の公開前に、ご自分の作品はご覧になるんですか?
ジウン:映画の完成前まではそれこそ数え切れない程見てるんです。編集を終え試写会に出てしまえば、二度とその映画は見ないですよ。それ位製作に苦労しているし、見れば色々とまた手を入れたくなっちゃいますからね。
編集部:映画の完成までにどのくらいかかりましたか?
ジウン:約6ヶ月の撮影期間があり、全体としては中国ロケを含んで8ヶ月といったところかな。
編集部:イ・ビョンホンさんは一時期、他の映画とかけ持ちで大変だったと聞きましたが?
ジウン:映画俳優はひとつの作品の撮影が始まればそれに没頭したいのですが、今回それが出来なかったために、僕だけでなくイ・ビョンホンさんも苦しかったと思います。
編集部:では最後にもう一度。映画を採点するとしたら何点くらいの出来栄えでしょうか?
ジウン:先ほど言った通り、ウッディ・アレンでさえ60〜70パーセントしか満足できないんですから、僕の映画も当然70点には満たないようで、せいぜい67〜68点どまりといったところでしょうか? そうそう、今回撮り終えて「もう絶対しない」と決意したことが3つあるんですよ。ひとつ目はこんなにたくさん馬が出演する映画は撮らない。二番目は主役を3人も使わない。三番目はウエスタン映画はこれでおしまい。ね、苦労の程がうかがえるでしょ(スタッフ一同爆笑)?
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